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オリンパス,呼吸器インターベンションの医療機器メーカー 米Veran Medical Technologies社の買収契約を締結製品ポートフォリオの拡充により肺がんの早期診断・治療に貢献

2020-12-4

オリンパス(株)は,呼吸器インターベンション分野*1に注力する米国のVeran Medical Technologies社(ベラン・メディカル・テクノロジーズ,本社:米国セントルイス,以下VMT社)の株式100%を取得する契約を締結した。買収金額は340百万USドルを想定しており,米国の地域統括会社であるOlympus Corporation of the Americas(OCA)を通じて実施する予定。
VMT社の持つ,気管支の末梢部分へのスムーズな到達をサポートする電磁ナビゲーションシステムをはじめとした先進的な医療技術と,同社の持つ気管支鏡とのシナジーによって,世界的に増加傾向にある肺がんをはじめとした呼吸器疾患の早期診断・低侵襲治療に貢献していく。

*1 気管支鏡を使った治療・診断

オリンパスは,2019年11月に発表した経営戦略のひとつとして,「治療機器事業への注力と拡大」を掲げ,その事業展開を加速させるため,治療機器分野におけるグローバル事業統括機能を米国に配置している。また,同社は同事業において特に消化器科,泌尿器科,呼吸器科の3つを注力分野としており,今回のVMT社の買収はまさにこの戦略に基づいた決定である。

肺がんは,がんの中でも罹患率・死亡率ともに世界1位*2 の疾患。昨今では低線量CT検査*3 の普及・拡大により,肺野部(気管支末梢領域)の病変が発見されることが増えてきている。これに伴い,病変部の組織や細胞を採取し確定診断を行うため,気管支鏡検査が行われる機会が増えてくると予想される。

*2 WHOがん統計データ:https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/cancer
*3 診断が可能な最低限の線量で行う低侵襲なCT検査(通常のCT検査の約1/10の被ばく線量)

VMT社が持つ電磁ナビゲーションシステムは,細く枝分かれした気管支末梢部への気管支鏡や処置具の挿入を支援するシステムであり同社が持つ気管支鏡とのシナジーが期待できる。また,VMT社の経験豊富なセールススタッフを迎え入れることは,呼吸器事業における販売機能の強化につながり,これによって事業の成長を促進していきたいと考えている。

OCAの社長兼CEOで,オリンパスのCOO(最高執行責任者)であるナチョ・アビア(Nacho Abia)氏は,「VMT社の買収は,オリンパスの呼吸器事業における製品ポートフォリオを強化するだけでなく,双方の強みを補完し合うものであり,今後,このシナジーによって期待される呼吸器事業のさらなる成長が,治療機器事業の拡大につながるものだと確信しています。特に,VMT社の電磁ナビゲーションシステムは,今後の製品ポートフォリオ拡充において,非常に魅力的な製品だと考えています。」と語っている。

VMT社のCEOであるJason Pesterfield氏は,「100年の歴史を持ち,世界的にも品質に定評があるオリンパスの一員となることを嬉しく思っています。オリンパスは,グローバル・メドテック・カンパニーとなるための明確な戦略を持っており,我々の強みや専門性がその実現のための一部となることを誇りに思います。」と語っている。

<Veran Medical Technologies社概要>
会社名:Veran Medical Technologies, Inc.
本社所在:米国ミズーリ州 セントルイス
設立年月日:2003年8月7日
CEO:Jason Pesterfield
資本金:6百万円*4
売上:3,022百万円*4((2019年12月期)
営業損益:△1,215百万円*4(2019年12月期)
事業内容:呼吸器科関連医療機器の製造・販売
従業員数:約130人

*4 1米ドル=103.89 円(2020年11月末の為替レート)で換算。

 

●問い合わせ先
オリンパス(株)
www.olympus.co.jp/