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ITEM2021 アンフォースレイセイフ ブースレポート 個人線量計の性能改善が図られた「RaySafe i3」など,被ばく線量低減・被ばく線量管理をサポートする製品群をアピール

2021-5-21

アンフォースレイセイフブース

アンフォースレイセイフブース

被ばく線量低減および線量管理をサポートする製品を豊富に取りそろえるアンフォースレイセイフでは,同社製品のほか,提携グループ企業である長瀬ランダウアの製品も含め,特に医療従事者の被ばく回避や被ばく線量管理をサポートする製品に焦点を当てて展示を行った。
医療被ばくに対しては,2019年の「医療法施行規則の一部を改正する省令」の公布に伴い,2020年4月に診療用放射線に係る安全管理体制に関する規定が施行されたほか,同年7月には5年ぶりに改訂された「日本の診断参考レベル(2020年版)」(通称:Japan DRLs)が公表された。また,今年4月からは,職業被ばくに関する眼の水晶体の等価線量限度が引き下げられるなど,近年,医療被ばくの正当化と最適化に向けた動きが加速している。こうした状況を受け,今回の展示では,個人線量計の性能改善が図られた医療従事者向けのリアルタイム被ばくモニタリングシステム「RaySafe i3」や,今年4月にサービスを開始したばかりの眼部被ばく線量測定「ビジョンバッジ」(長瀬ランダウア)などが中心にアピールされた。
このほか,ITEM 2019では参考出展だったハイブリットサーベイメータ「RaySafe 452」や,同社の主力製品である半導体技術を採用した診断用X線測定器「RaySafe X2シリーズ」などが紹介された。

「RaySafe i3」のポスター

「RaySafe i3」のポスター

 

●医療従事者の被ばく回避に貢献するリアルタイム被ばくモニタリングシステム「RaySafe i3」

RaySafe i3は,「RaySafe i2」の後継機。基本性能はRaySafe i2と同じであるが,個人線量計(PDM)の性能が改善され,散乱線の検出性能が向上したほか,従来はメーカー側で行う必要があった電池交換をユーザー側で行うことが可能となった。また,RaySafe i2のユーザーは,i3個人線量計に交換あるいは併用することができる。
RaySafe i3は,個人線量計(標準4個)とリアルタイムディスプレイ,および被ばく状況をPCで解析するためのソフトウエア“DoseViewer”(標準)と“DoseManager”(オプション)で構成されている。医療従事者は小型・軽量の個人線量計を身につけるだけで,1秒ごとの個人線量当量率と累積個人線量当量がリアルタイムに測定・記録される。また,記録されたデータをPCに取り込めば,累積個人線量当量は時間ごとに5年分を記録できるほか,個人線量当量率は上記のソフトウエアを用いてより詳細な解析が可能である。被ばく状況は,リアルタイムディスプレイで最大8人まで表示できるため,特にインターベンション(IVR)治療時には,すぐに被ばく回避行動につなげられることも大きなメリットである。

個人線量計の性能向上が図られたリアルタイム被ばくモニタリングシステム「RaySafe i3」

個人線量計の性能向上が図られたリアルタイム被ばくモニタリングシステム「RaySafe i3」

 

●半導体を採用し高感度・高精度な診断用X線測定が可能な「RaySafe X2」

診断用X線のQA・QC用測定器であるRaySafe X2は,フルモダリティに対応し,センサーを付け替えることでさまざまなX線装置での測定が可能である。センサーは,一般撮影・透視用の「R/Fセンサー」,CT用の「CTセンサー」,マンモグラフィ用の「MAMセンサー」,モニタなどの輝度・照度測定用の「ライトセンサー」,漏洩線量・散乱線量測定用の「X2サーベイセンサー」がある。いずれも小型・軽量で扱いやすく,きわめて簡単に線量や線量率などの必要な測定を行うことができる。装置本体はタッチパネル式で直感的に操作でき,以前行った照射データとの比較なども容易に可能である。PC専用のソフトウエアを使用すれば測定データの分析もできるため,Excelなどでのレポート作成も簡単に行うことができる。また,RaySafe X2シリーズとして,特定ニーズ向け単一モダリティ対応機で一般撮影・透視用の「RaySafe X2 Solo R/F」と,歯科用の「RaySafe X2 Solo DENT」がラインアップされている。

このほか,診断用X線測定器「RaySafe ThinX」や,X線 / 光照射野アライメントツール「RaySafe DXR+」が展示された。

診断用X線測定器「RaySafe X2シリーズ」(左下・右上),「RaySafe ThinX」(右下)と,X線 / 光照射野アライメントツール「RaySafe DXR+」(左上)

診断用X線測定器「RaySafe X2シリーズ」(左下・右上),「RaySafe ThinX」(右下)と,X線 / 光照射野アライメントツール「RaySafe DXR+」(左上)

 

●半導体とGM管を搭載したハイブリッドサーベイメータ「RaySafe 452」

RaySafe 452は,検出器に半導体とGM管の両方を搭載したハイブリッドサーベイメータ。検出器部分を付け替えるだけで,空間の線量率と表面汚染測定の両方を1台で行うことができる。X線装置の漏洩X線の測定や,放射線管理区域内の環境測定,撮影室内の散乱線測定などが可能なほか,従来の電離箱式では測定できなかった放射線の平均エネルギーなど,半導体技術を生かした新しいパラメータの測定も可能となっている。これにより,複数のサーベイメータを用意する必要がないことが大きなメリットである。

ハイブリッドサーベイメータ「RaySafe 452」

ハイブリッドサーベイメータ「RaySafe 452」

 

●眼の水晶体被ばく線量を測定する線量計「ビジョンバッジ」

2021年4月に「改正電離放射線障害防止規則」が施行され,眼の水晶体の等価線量限度が50mSv / 1年かつ100mSv / 5年となり,また,線量の測定方法も1cm線量当量および70μm線量当量で行うとしていたものに3mm線量当量での測定が追加されている。近年では,眼の被ばく低減のため,透視ガイド下インターベンションに携わるスタッフは放射線防護メガネを着用することが増えたが,そのような場合,襟元などに付けた線量計での測定では過大評価になる可能性があった。
長瀬ランダウアのビジョンバッジは,放射線防護メガネに取り付けて使用できる個人線量計で,防護メガネの遮蔽効果を反映した水晶体の3mm線量当量を測定することができる。検出素子にはTDLが採用されており,TLD素子を封入したレンズを小さなフックに取り付けて使用する。非常に小さく,軽量で,作業の邪魔にならないほか,フックの大きさは3種類用意されており,どのタイプの防護メガネにも取り付けることができる。また,防護メガネに使用しないときは,体幹部用のルミネスバッジに取り付けることもできる。線量測定後は線量計部分のみを返却すると,後日,結果が報告される。2回目以降はユーザー自身が線量計部分を付け替えるが,付け替えは非常に簡単である。

このほか,長瀬ランダウアの製品として,患者の被ばく線量をユーザー自身で管理可能とする被ばく線量計測定システム「microSTAR ii」などが展示された。

眼の水晶体被ばく線量を測定する「ビジョンバッジ」

眼の水晶体被ばく線量を測定する「ビジョンバッジ」

 

クリップ上のフックを防護メガネに取り付けて使用

クリップ上のフックを防護メガネに取り付けて使用

 

被ばく線量計測定システム「microSTAR ii」

被ばく線量計測定システム「microSTAR ii」

 

●お問い合わせ先
社名:アンフォースレイセイフ株式会社
住所:東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟6階
TEL:03-6714-3033
URL:https://www.raysafe.com/