innavi net画像とITの医療情報ポータルサイト

ホーム

ITEM2026 GEヘルスケア・ジャパン ブースレポート 「Our BOLDEST ideas yet ―無限の可能性を,共に切り拓く―」をテーマに掲げ,フォトンカウンティングCTなど最新製品を披露

2026-5-8

GEヘルスケア・ジャパンブース

GEヘルスケア・ジャパンブース

GEヘルスケア・ジャパンは,「Our BOLDEST ideas yet ―無限の可能性を,共に切り拓く―」をテーマに,フォトンカウンティングCT「Photonova Spectra」を筆頭に,多彩な最新製品を披露した。ITEM 2026初日の開場直後には,Photonova Spectraのアンベールイベントを実施。2月に代表取締役社長兼CEOに就任した松岡慎一氏が登壇し,2023年1月にGE HealthCareとして新たなスタートを切って以降,革新的な技術開発によってヘルスケア領域にブレイクスルーをもたらしてきたと強調した。
この挨拶の後にお披露目されたPhotonova Spectraは,展示テーマの「Our BOLDEST ideas yet―無限の可能性を,共に切り拓く ―」を具現化した装置で,今回の最大の目玉となった。同社はフォトンカウンティングCTの開発に際し,当初カドミウム亜鉛テルライド(CZT)検出器の搭載をめざしたが,パイルアップ,チャージシェアリング,クロストークといった物理的限界の克服を優先し,シリコン素材を用いることに方針を転換。マンモグラフィで実用化したシリコン半導体技術をCTへ応用し,板状検出器素材の側面方向に複数の電極を深さ方向に配列する「エッジオン技術」を独自に確立した。これにより,従来素材では両立困難だった超高空間分解能と高精度なスペクトラル情報の同時取得を実現している。さらに,8ビンのエネルギー分解能による最適なビームハードニングと散乱線が補正できるようになり,1回のスキャンで超高分解能画像と超高精細なスペクトラル画像の再構成が可能となった。加えて,検出器幅8cmのワイドカバレッジ設計によって広い撮像範囲をカバー。NVIDIAと共同開発した高速コンピューティングユニットによって,従来よりも大量のスキャンデータを処理できるようになり円滑なワークフローをもたらす。検出器幅を4cmにしたエントリーモデル「Photonova Spectra Select」もラインアップし,幅広い施設ニーズに対応する。
Women's Healthコーナーでは,ITEM 2026初日に発表されたディープラーニング画像再構成技術「Pristina Via with Recon DL」をアピールした。前回のITEMで発表したデジタルマンモグラフィ「Pristina Via」のオプションとして提供されるもので,独自のディープラーニング画像再構成技術「AIR Recon DL」と逐次近似画像再構成技術を組み合わせ,低線量撮影でも高画質を維持しながらアーチファクトやノイズを低減。微細構造の視認性を向上させる。デジタル・ブレスト・トモシンセシス(DBT)と合成2D画像に適用でき,読影者の負担軽減につながる。また,Ultrasoundでは,3月に発表した自動スキャン機能が特徴の乳房用超音波診断装置「Invenia ABUS Premium」も展示した。新開発プローブのほか,人工知能(AI)によるニップル位置の自動検出機能「Auto Nipple Detection」,スキャン品質を自動評価する「Scan Quality Assessment」を搭載し,撮像時間を40%削減する。
MRIは,ソフトウエアの最新バージョン「MR31」を紹介した。そのメインとなるのがディープラーニング画像再構成技術の「AIR Recon DL」「Sonic DL」「AIR Recon DL Phase Correction」である。AIR Recon DLはk空間データへのアプローチによりノイズ低減と分解能向上を実現しており,3D Dixon対応へのなど適用できるシーケンスも拡大している。Sonic DLはシネMRIから全身の3D撮像へ適用を広げ,最大12倍の高速化とアーチファクトの低減を両立する。AIR Recon DL Phase Correctionはディフュージョン撮像向けで,拡散係数の正確な定量計測を可能にする。
MI(Molecular Imaging)では,2025年11月に前立腺がんへのPSMA治療が保険適用となった背景を踏まえ,SPECT/CT「StarGuide GX」や線量計画ソフトの「MIM SurePlan MRT」と組み合わせたセラノスティクスのトータルソリューションを提示した。また,PET/CTの「Omni Legend」に搭載されるディープラーニング画像再構成技術「Precision DL」は,FDG検査に加えてPSMA検査も可能となり,マルチトレーサーに対応することをアナウンスした。
Surgeryで展示された外科用Cアーム装置のフラッグシップモデル「OEC 3D」は,コーンビームCT(CBCT)の撮影時間が従来の約30秒から16秒へ短縮。さらに,椎体ラベリング機能などアプリケーションを拡充している。また,Interventionalのコーナーでは,血管撮影装置「Allia IGS Pulse」などに搭載されるディープラーニング画像再構成技術「CleaRecon DL」を紹介した。拍動によるアーチファクトを補正し血管を明瞭に描出する。
ヘルスケアITに関しては,「コマンドセンター」やデジタルサービス,VNA(Vendor Neutral Archive)を提案した。コマンドセンターは,2021年の淡海医療センターでの運用開始以降,導入施設を拡大。ITEM 2026の時点で41施設の導入実績があり,総タイル使用数は174に上る。デジタルサービスのソリューションでは,線量管理システムの「DoseWatch」,故障予兆検知サービス「OnWatch/TubeWatch」,iPadベースのサービスプラットフォーム「ORiGEN」のデモンストレーションを行った。また,VNAについては,ITコスト高騰・BCP対策の需要増加を背景に,地域連携や院内における医用画像データの一元管理の事例を紹介した。

Photonova Spectraのアンベールイベントで笑顔を見せる松岡慎一代表取締役社長兼CEO

Photonova Spectraのアンベールイベントで笑顔を見せる松岡慎一代表取締役社長兼CEO

 

●CT:独自のディープシリコン検出器採用のフォトンカウンティングCT「Photonova Spectra」を発表
●Women's Health:ディープラーニング画像再構成技術「Pristina Via with Recon DL」によりデジタルブレストトモシンセシスの画質向上を訴求
●MRI:ディープラーニング画像再構成技術「AIR Recon DL」「Sonic DL」「AIR Recon DL Phase Correction」の進化による高画質・高速・高効率を強調
●MI:セラノスティクスの本格普及に向けてPET/CT「Omni Legend」やSPECT/CT「StarGuide GX」など診断・治療をトータルでサポートするソリューションを提案
●X線:外科用Cアーム装置「OEC 3D」搭載の手術支援アプリケーションや血管撮影装置のディープラーニング画像再構成技術「CleaRecon DL」をアピール
●US:スキャン時間を約40%短縮し,AI技術も採用した新型乳房用超音波診断装置「Invenia ABUS Premium」を展示
●ヘルスケアIT:病院経営に寄与する「コマンドセンター」や放射線部門業務改善に貢献するデジタルサービス群,医療画像管理を効率化するVNAを紹介

 

●CT:独自のディープシリコン検出器採用のフォトンカウンティングCT「Photonova Spectra」を発表

ITEM 2026のGEヘルスケア・ジャパンブースの目玉が,初のフォトンカウンティングCT(PCD-CT/PCCT)「Photonova Spectra」だ。初日にアンベールされたPhotonova Spectraは,GEヘルスケアのCT技術の集大成として最新技術が惜しみなく投入されており,多くの来場者の注目を浴びた。
Photonova Spectraの最大の特徴は,他社が採用するCZT検出器とは一線を画す独自のディープシリコン検出器にある。GEヘルスケアは1993年からフォトンカウンティングCTの開発に着手してきたが,当初はCZT検出器での研究を積み重ねてきた。しかし,フォトンを取りこぼすパイルアップ,本来と異なるエネルギーでカウントするチャージシェアリング,本来と異なる位置でカウントするクロストークといった物理的限界に阻まれ,超高分解能と超高精度スペクトラルの両立が困難であった。そこで,目をつけたのがシリコン素材であり,板状検出器の側面方向に複数の電極を配列する独自の「エッジオン」技術を開発。より多くのフォトン情報を正確に取得することに成功し,長年の課題を克服してPhotonova Spectraの誕生へとつながった。
Photonova Spectraは,空間分解能0.12mm,FOV 50cm・ガントリ回転速度0.23s/rotのスペックを持つ。そのセリングポイントは,8つのエネルギービンによる収集だ。各ビンで正確にカウントされたエネルギー情報を基に最適なビームハードニング補正・散乱線補正が実行され,画質とスペクトラル精度を飛躍的に向上。1回の撮影で超高分解能画像と超高精度スペクトラル画像を同時に取得できる。8cmのワイドカバレッジを有しており,心臓を含む広範囲の撮影にも対応する。さらに,NVIDIAと共同開発したコンピューティングユニットを搭載したことで,画像再構成を高速化し,あらゆる患者・検査において円滑なワークフローを可能にする。さらに,心臓CTでのモーションアーチファクトを抑制するアプリケーション「SnapShot Freeze 2.0」や,AI 3Dカメラによる自動ポジショニング機能も装備する。製品ラインアップとしては8cmカバレッジのPhotonova Spectraと,4cmカバレッジの「Photonova Spectra Select」をそろえて,施設のニーズに応じた選択が可能となっている。
一方,従来型CTに関しては,新たなディープラーニング画像再構成技術「True Definition DL(TDDL)」を紹介した。画像の高精細化を図る技術で,「Revolution Apex」および「Revolution Vibe」に搭載予定。スライス厚を0.625mmから0.3mmレベルまで高精細化でき,肺野など微細構造の描出能を大幅に向上させる。
また,CT画像を活用したIVR支援ナビゲーションシステム「IMACTIS CT ナビゲーションシステム」も展示した。GPSを搭載したデバイスにより取得ずみのCT画像上でリアルタイム位置情報を同期させ,穿刺の角度・深さを正確に表示。高精度かつ安全な手技を支援する。

独自のディープシリコン検出器を搭載し満を持して登場したフォトンカウンティングCT「Photonova Spectra」

独自のディープシリコン検出器を搭載し満を持して登場した
フォトンカウンティングCT「Photonova Spectra」

 

「Photonova Spectra」はAI 3Dカメラによる自動ポジショニング機能も装備

「Photonova Spectra」はAI 3Dカメラによる自動ポジショニング機能も装備

 

高精度かつ安全な穿刺を支援する「IMACTIS CT ナビゲーションシステム」

高精度かつ安全な穿刺を支援する「IMACTIS CT ナビゲーションシステム」

 

●Women's Health:ディープラーニング画像再構成技術「Pristina Via with Recon DL」によりデジタルブレストトモシンセシスの画質向上を訴求

Women's Healthコーナーでは,デジタルマンモグラフィ「Pristina Via」向けのディープラーニング画像再構成技術「Pristina Via with Recon DL」を紹介した。4月17日に国内販売を開始したPristina Via with Recon DLは,GEヘルスケア独自のMRI用ディープラーニング画像再構成技術の「AIR Recon DL」技術をベースに,デジタルブレストトモシンセシス(DBT)に最適化。合成2D画像にも適用でき,視認性とシャープネスを大幅に向上させる。これにより,被ばく線量を増加させることなく,アーチファクトの少ない高画質画像を安定して提供する。Pristina Viaを導入済みの施設においても,アップグレードにより本機能を利用可能である。
Pristina Viaは,「より快適な検査体験」と「効率的なワークフロー」をコンセプトに開発されたGEヘルスケアの最新デジタルマンモグラフィであり,前回のITEMで披露された。25°の撮影角度内でstep and shoot方式による9回の撮影を行う。「zero-click acquisition」機能によってコンソール操作を簡略化し,検査のスループットを高めるとともに,術者が被検者のケアに専念できる環境を整えている。
Women's Healthに関しては,女性の骨粗鬆症対策に寄与する骨密度測定装置「Lunar iDXA」と「PRODIGY Fuga」のプレゼンテーションも行われた。GEヘルスケアの骨密度測定装置は,DXA法で測定する高エネルギーと低エネルギーを高精度に検出するためにフォトンカウンティング技術を採用。加えて,独自の鋭角ファンビーム方式を用いることで,被検者の体位や左右の位置によらず一定の骨面積が測定できる高い精度を特長とする。腰椎と大腿骨を体位変更なしに1回で測定できる「OneScan」機能により検査時間を短縮。被検者の負担を軽減する。骨粗鬆症の確定診断やモニタリングにおいて腰椎・大腿骨DXA法はガイドラインで推奨されており,診療報酬上も最も高い点数が設定されており,今後さらなる市場の拡大が見込まれる。

DBTに最適化されたディープラーニング画像再構成技術「Pristina Via with Recon DL」

DBTに最適化されたディープラーニング画像再構成技術「Pristina Via with Recon DL」

 

「Pristina Via with Recon DL」を搭載可能なデジタルマンモグラフィ「Pristina Via」

「Pristina Via with Recon DL」を搭載可能なデジタルマンモグラフィ
「Pristina Via」

 

Women's Healthでは女性の骨粗鬆症対策のための骨密度測定装置をアピール

Women's Healthでは女性の骨粗鬆症対策のための骨密度測定装置をアピール

 

●MRI:ディープラーニング画像再構成技術「AIR Recon DL」「Sonic DL」「AIR Recon DL Phase Correction」の進化による高画質・高速・高効率を強調

MRIのコーナーでは,最新ソフトウエア「MR31」で実装されるディープラーニングを用いた3つの画像再構成技術をアピールした。GEヘルスケアは,「ディープラーニングでMRIそのものを再定義する」というコンセプトを継続的に掲げており,現時点での到達点となる技術がMR31には採用されている。
1つ目の「AIR Recon DL」は,k空間データにディープラーニングを適用することで,ノイズを低減するだけでなく,空間分解能を向上し,トランケーションアーチファクトを抑える。MR31ではAIR Recon DLの適用可能なシーケンスを拡大。マルチショットDWI,3D Dixon,MP2RAGEにも対応した。
2つ目の「Sonic DL」は,AIR Recon DLがリコンストラクション段階にディープラーニングを適用するのとは異なり,アクイジション段階からディープラーニングに最適化したデータの間引きを実行し,高速化と画質維持を両立させている。従来はシネMRIのみに対応していたが,MR31では3D撮像全般へと適用を拡大した。画質劣化なくアーチファクトを抑制して,最大12倍の高速化,スキャン時間を最大8割短縮する。頭部から四肢関節まで全身の撮像をカバーしており,検査枠の拡大やワークフローの改善にも貢献する。
3つ目は,DWI向けの「AIR Recon DL Phase Correction」である。新たなアルゴリズムにより従来のAIR Recon DLでは補正しきれなかった位相エラー由来のノイズを除去する。DWIではb値が高くなるほど信号がノイズに埋もれ,線形性が損なわれてしまう問題があった。AIR Recon DL Phase Correctionはこのノイズを抑えて線形性を維持することで,拡散係数の正確な定量計測を可能にする。がんの診断や治療効果評価など,定量精度が求められる場面での活用が期待される。
このほかにも,GEヘルスケアの最新技術が来場者の関心を引き寄せた。ブランケットのような「AIRコイル」の充実したラインアップを展示。21チャンネルの「AIR MPコイル」は,腹部・骨盤・心臓から膝・肩などの四肢関節まで1コイルできるカバーする汎用性が特長で,幅広い検査に対応する。さらに,柔軟性に富み身体に密着させることができるので,高画質向上にも寄与する。
また,画質向上と検査の効率化に向けた弛まぬ企業努力によりMRI本体にも手を加えられており,その改良点が紹介された。3T装置の「SIGNA Hero」はテーブルとコイルが刷新され,操作性が向上している。また,1.5T装置の「SIGNA Champion」はヘリウム消費量を抑えたマグネットを採用。ランニングコスト削減など経済性の面で医療機関の負担を軽減するための改良が図られている。さらに,他施設の装置入れ替えで廃棄されるマグネットを国内でリファービッシュし,最新装置として再提供する「SIGNA Prime E」も紹介していた。古い装置からのアップグレード導入も可能で,環境・経済両面に配慮した選択肢として注目される。全ラインアップから最新装置へのアップグレードパスを維持している点も,伝統あるSIGNAブランドが長年堅持する強みだ。

最新バージョン「MR31」における「AIR Recon DL」の拡張

最新バージョン「MR31」における「AIR Recon DL」の拡張

 

最新バージョン「MR31」における「Sonic DL」の3D volume imagingへの拡張

最新バージョン「MR31」における「Sonic DL」の3D volume imagingへの拡張

 

「AIR Recon DL Phase Correction」の代表的画像例

「AIR Recon DL Phase Correction」の代表的画像例

 

「AIRコイル」の充実したラインアップを紹介

「AIRコイル」の充実したラインアップを紹介

 

●MI:セラノスティクスの本格普及に向けてPET/CT「Omni Legend」やSPECT/CT「StarGuide GX」など診断・治療をトータルでサポートするソリューションを提案

MI(Molecular Imaging )の展示は,診断と治療を一体化したセラノスティクスへの対応を前面に打ち出した。GEヘルスケアは創薬・診断・治療モニタリング・画像解析までをトータルでサポートする「Total MI Solution」を提唱してきた。日本では,2025年11月に前立腺がんに対する68GaPSMAを用いたPET診断と177LuPSMAによる治療(プルヴィクト)が保険適用となり,今後セラノスティクスの本格的な普及が見込まれる。こうした背景の下,GEヘルスケアは子会社である日本メジフィジックスとの連携による診断薬の安定供給体制を整えるとともに,傘下である米国MIM SoftwareのAI自動セグメンテーション機能を活用した治療線量モニタリングを可能にする環境を整備している。MIのコーナーではTotal MI Solutionの中核を担う画像診断装置として,SPECT/CT「StarGuide GX」とPET/CT「Omni Legend」,さらにMIM Softwareのソフトウエアの3つの柱をアピールした。
SPECT/CTのStarGuide GXは,2022年に発表された「StarGuide」の第2世代として大幅なアップデートが図られている。空間分解能・エネルギー分解能・感度の3要素をすべて向上させながら,撮像時間を従来の15分から8分へと約半減させることが可能である。最大の技術的特徴は,2種類のコリメータを切り替えて使用できる独自設計の新型検出器「dual-side CZT(dsCZT)」を搭載したことだ。β線より治療効果の高いアクチニウム225(225Ac)を用いたα線治療が有望視されているが,その治療モニタリングには440keVという高エネルギーのイメージングが必要となる。dual-side CZT検出器は,この高エネルギー撮像にも対応する。従来機種では手作業で5分程度要していたコリメータの切り替えが3秒で自動的に行え,ワークフローを効率化し,スループットも向上する。なお,このコリメータは日野の本社工場で設計・製造から出荷まで一貫して行われる。
PET/CTのOmni Legendは,2023年に国内販売を開始した半導体検出器搭載装置。世界で1000台超,日本国内には37台の導入実績を持つ。今回の展示ではOmni Legend に搭載された2つの新技術が関心を集めた。一つはディープラーニング画像再構成技術「Precision DL」がマルチトレーサーに対応したことである。従来,FDG-PET検査に限られていたがPSMA-PET検査にも適応可能となった。もう一つは「Enhanced AC II」の適用範囲拡大だ。PETとCTの位置ずれに起因するアーチファクト補正技術として2024年にリリースされた同機能は,新バージョンで対応範囲を広げており,呼吸性移動対策に有用である。
さらに,MIM Softwareの「MIM SurePlan MRT」はセラノスティクスにおける線量評価を行うソフトウエア。AIによる自動セグメンテーション機能を搭載しており,コンツーリングを自動化することで,治療モニタリングの精度と効率を向上させる。

SPECT/CT「StarGuide GX」は撮像時間を従来機種の15分から8分へと約半減させることが可能

SPECT/CT「StarGuide GX」は撮像時間を従来機種の15分から8分へと約半減させることが可能

 

「StarGuide GX」で採用された独自設計の新型検出器「dual-side CZT(dsCZT)」

「StarGuide GX」で採用された独自設計の新型検出器「dual-side CZT(dsCZT)」

 

PET/CT「Omni Legend」のディープラーニング画像再構成技術「Precision DL」はマルチトレーサーに対応

PET/CT「Omni Legend」のディープラーニング画像再構成技術「Precision DL」はマルチトレーサーに対応

 

●X線:外科用Cアーム装置「OEC 3D」搭載の手術支援アプリケーションや血管撮影装置のディープラーニング画像再構成技術「CleaRecon DL」をアピール

X線関連では,外科用Cアーム装置のフラッグシップモデル「OEC 3D」を展示し,手術支援アプリケーションを紹介したほか,血管撮影装置「Allia IGS」シリーズに搭載されるディープラーニング画像再構成技術「CleaRecon DL」をアピールした。
OEC 3Dは31cm×31cmの大口径CMOSフラットパネルディテクタ(FPD)を採用。コーンビームCT(CBCT)撮影で最大19cm×19cm×19cmというボリュームサイズの画像を得られる。2025年10月のメジャーバージョンアップで,第4世代へと進化した。その最大の変更点は,CBCTのスキャン速度の向上である。従来は200°の回転に30秒を要していたが,最速16秒と大幅に短縮された。ほぼ半分となったことで,気管支鏡検査のように呼吸の影響を受けやすい手技において,モーションアーチファクトの低減が期待される。また,整形外科手術での術中CBCT撮影においても,息止めや時間の短縮により患者の身体的負担を軽減できる。
手術支援アプリケーションの充実もOEC 3Dの注目すべきポイントだ。脊椎手術を支援する「Spine Suite」は,撮影した3D画像に対してスクリューの自動認識とナンバリングを行い,ワンタッチでスクリューや椎体に沿ったオブリーク画像を表示することが可能で,術後確認や術者・操作者間のコミュニケーションを効率化する。また,呼吸器科手術を支援する「Lung Suite」では,「Augmented Fluoroscopy」機能を紹介した。術中に撮影した3D画像上でマーキングしたターゲットを,リアルタイムの透視画像にオーバーレイ表示する。外科用Cアーム装置では唯一の機能とされる。今回さらに進化し,従来の丸形マーカーに加え,任意の領域をハイライト表示できるようになった。これにより病変部位や関心領域をわかりやすく可視化する。
Allia IGSシリーズに搭載されるCleaRecon DLは,血管の拍動によるモーションアーチファクトを補正し,明瞭なCBCT画像を描出。フィーダーやナイダス,ステントグラフトの開存状態などを鮮明に確認できるようになる。また,Allia IGSシリーズでは,寝台横に設置されたタッチパネルのインターフェイスを改良し,操作性を向上させている。プロファイルボタンを活用することで,冠動脈や頭部など手技に応じた撮影条件のみを画面に表示させて,スマートフォンのカスタマイズに近い操作を実現。術者自身が X線の照射レベルや画像の見え方を調整でき,操作者への指示を介さずに即座に最適な条件を選択できる。さらに,ワークステーション「Advantage Workstation」に搭載される心血管インターベンション向けのアプリケーション「3DStent」を紹介した。3DStentは,動きを補正したCBCT画像から冠動脈に留置したステントを3Dで描出。ステント径や最小ステント面積(MSA)などの計測も可能である。

外科用Cアーム装置のフラッグシップモデル「OEC 3D」

外科用Cアーム装置のフラッグシップモデル「OEC 3D」

 

脊椎手術を支援する「Spine Suite」3D画像上でスクリューを認識して自動ナンバリング

脊椎手術を支援する「Spine Suite」3D画像上でスクリューを認識して自動ナンバリング

 

呼吸器手術向けのアプリケーションとして「Lung Suite」を用意

呼吸器手術向けのアプリケーションとして「Lung Suite」を用意

 

「Allia IGS」シリーズに搭載されるディープラーニング画像再構成技術「CleaRecon DL」

「Allia IGS」シリーズに搭載されるディープラーニング画像再構成技術「CleaRecon DL」

 

●US:スキャン時間を約40%短縮し,AI技術も採用した新型乳房用超音波診断装置「Invenia ABUS Premium」を展示

超音波診断装置は,Women's Healthのコーナーで「Invenia ABUS Premium」を展示した。Invenia ABUS PremiumはITEM 2026直前の3月に発表したばかりの乳房専用装置。「Invenia ABUS」「Invenia ABUS 2.0」に続く自動スキャン機能搭載装置で,8年ぶりのフルモデルチェンジを果たした。初めてAI技術を用いた撮像支援機能を搭載するなど,ハードウエア・ソフトウエアの両方で大幅な機能強化が図られている。新開発のプローブ「Reverse Curve」は,スキャン速度を高速化。従来比で約40%スキャン時間を短縮する。また,AI技術を用いた検査支援アプリケーションの一つである「Auto Nipple Detection」は,検査時に乳頭の位置を自動検出。検査精度と再現性の向上に寄与。同じくAI技術を用いてスキャン終了後に撮像範囲やスキャン品質を視覚的に提示する「Scan Quality Assessment」により,適切な検査を支援する。データ収集部と読影・解析用のワークステーションを完全に分離した設計を採用することで,ワークフローの効率化を図れるほか,遠隔読影にも対応する。さらに,オプションとして車載運用向けの固定具も用意した。
超音波診断装置としては,汎用型の「LOGIQ P10」も展示した。LOGIQシリーズのコストパフォーマンスモデルとして位置づけられ,コンパクトな筐体ながら大型モニタを採用。診療科や施設の幅広いニーズに対応する。乳腺や腹部の画像が高く評価されており,乳腺外科や消化器内科での活用が進んでいる。最上位機種「LOGIQ E10」と同じプローブを採用するなど,高い画像品質を維持しながら,フレキシブルな運用が可能である。

新型プローブやAI技術などハードウエア・ソフトウエアの両方で大幅な機能強化が図られた「Invenia ABUS Premium」

新型プローブやAI技術などハードウエア・ソフトウエアの両方で
大幅な機能強化が図られた「Invenia ABUS Premium」

 

診療科や施設の幅広いニーズに対応する汎用超音波診断装置「LOGIQ P10」

診療科や施設の幅広いニーズに対応する
汎用超音波診断装置「LOGIQ P10」

 

●ヘルスケアIT:病院経営に寄与する「コマンドセンター」や放射線部門業務改善に貢献するデジタルサービス群,医療画像管理を効率化するVNAを提案

Digital Solutionコーナーでは,「コマンドセンター」,デジタルサービスの「DoseWatch」「OnWatch/TubeWatch」「ORiGEN」,そしてVNA(Vendor Neutral Archive)といったソリューションを提案した。
コマンドセンターは,病院の業務データをリアルタイムで可視化・分析し,経営判断や業務改善を支援するプラットフォーム。国内では,2021年に淡海医療センターが初導入して以降,着実に実績を拡大しITEM 2026時点で東京大学医学部附属病院を含む41施設が採用。「タイル」と呼ばれるアプリケーションの総使用数は174に上る。病床規模100床から1000床超まで,大学病院や急性期病院,ケアミックス型病院など多様な施設形態で活用されている。
今回の展示では,実導入施設による具体的な成果報告を中心に紹介した。例えば,富山西総合病院では,コマンドセンターの導入により,退院予定患者の情報を連携先となる慢性期病院や介護施設とリアルタイムで共有する「プル型」の患者転送モデルを構築した。従来は急性期側から受け入れを打診する形式だったが,連携先施設が自ら患者を引き取る「手挙げ式」へと転換。患者数4.7%増,平均在院日数7.8%短縮,患者単価5.3%向上を達成し,初年度でシステム導入コストを回収している。
コマンドセンターではAIの活用が進んでいる。例えば,今後2週間の入退院動向をオーダのデータとAIの予測値を組み合わせ,稼働率の低下が見込まれる時期に待機患者を前倒しで入院させるなど,目標稼働率への平準化と,職員の負担軽減を図れる。さらに,放射線部門向けタイルも信州大学医学部附属病院と共同で開発しており,ここでもNLP(自然言語処理AI)が活用されている。
デジタルサービスに関しては,DoseWatchとOnWatch/TubeWatch,ORiGENのデモンストレーションを行った。DoseWatchは,2020年の医療法施行規則改正による医療放射線の線量管理・記録の義務化や,「日本の診断参考レベル(2025)(Japan DRLs 2025)」への対応を支援する線量管理システム。患者の寝台上の位置ずれを検出して検査担当者にフィードバックする機能など,線量の最適化まで踏み込んだソリューションである。OnWatch/TubeWatchは,CT・MRIなどの装置からX線管球・検出器・高電圧発生装置などのデータを収集し,AIで解析することで故障を予測するサービス。「20日後」「10日後」など具体的な故障予測期間を提示し,予定修理への移行により突発的な検査停止やキャンセル・延期の回避,あるいはダウンタイムの短縮化を図れる。
ORiGENはiPadを使用するサービスプラットフォーム。聴障者と健聴者とのスムーズなコミュニケーションを支援するアプリケーション「こえとら」(情報通信研究機構)や外国語の翻訳サービス「DeepL」(DeepL)などが利用可能。また,MRI検査の適合性をデータベースで即座に検索できる「Nextant」(メディエ)も提供しており,安全なMRI検査やワークフロー効率化に寄与する。
同社のVNAについては,標準規格・ITプラットフォーム・データフォーマットのいずれに対してもニュートラルであるメリットを生かし,異なる病院IDの名寄せによる地域連携や,放射線部門以外の画像データも含めた一元管理,部門調達のHWや仮想基盤の活用を可能にしている。ブース内では,その導入事例を紹介した。

41施設が採用するなど「コマンドセンター」の実績をアピール

41施設が採用するなど「コマンドセンター」の実績をアピール

 

線量管理・記録,医療被ばくの最適化に活用できる被ばく線量管理システム「DoseWatch」

線量管理・記録,医療被ばくの最適化に活用できる被ばく線量管理システム「DoseWatch」

 

AIで解析することで故障を予測する「OnWatch/TubeWatch」

AIで解析することで故障を予測する「OnWatch/TubeWatch」

 

「Nextant」を利用できる「ORiGEN」

「Nextant」を利用できる「ORiGEN」

 

VNAは倉敷中央病院の導入事例をパネルで紹介

VNAは倉敷中央病院の導入事例をパネルで紹介

 

●お問い合わせ先
社名:GEヘルスケア・ジャパン株式会社
住所:東京都日野市旭が丘4-7-127
TEL:0120-202-021(平日営業日 8:00-20:00 受付)
URL:gehealthcare.co.jp