2025-12-1
イノベーションエリアでは先進のCTシステムを展示
キヤノンメディカルシステムズのCTは,ブース全体で4台のモックアップが展示された。先進の装置や技術を紹介するイノベーションエリアに配置されたのが,日本国内ではITEM2025で展示された世界初のマルチポジションCTとフォトンカウンティングCT(いずれもW.I.P.)だ。
マルチポジションCTは,回転・昇降するガントリにより立位・座位・臥位撮影に1台で対応する,これまでにない新しいカテゴリーのCTである。ガントリポジションの立位・座位/臥位の変更はボタン一つで1分以内に完了することや,ガントリチルトによるスムーズな患者動線などが,デモンストレーションで紹介された。米国での展開はこれからであるが,立位・座位撮影の臨床的有用性や低線量撮影の検討が進められており,CT検査にイノベーションをもたらす装置として米国での発表が待たれる。
RSNA初展示となったマルチポジションCT(W.I.P.)
RSNA2024で検出器モジュールの実物(一部)が初展示されたフォトンカウンティングCTは,今回遂にモックアップが展示された。研究開発用として世界4サイトで稼働している現行のフォトンカウンティングCTは,高精細CT「Aquilion Precision」をベースにハードウエアがつくられているが,展示されたモックアップはADCTのフラッグシップ装置「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」をベースに開発されている。外装だけでなく,ガントリ内蔵カメラを用いた患者の自動ポジショニングやAIを活用した検査自動化技術の「INSTINX」に対応するほか,空冷システムのためチラーレス・コンパクトで,既設CTからの更新も可能な装置として製品化をめざしている。
フラッグシップADCTをベースにハードが設計されているフォトンカウンティングCT(W.I.P.)
フォトンカウンティングCTはガントリ前面に黒いラインがデザインされポジショニングカメラなどを装備
プロダクトエリアの正面に据えられたAquilion ONE / INSIGHT Editionは,最速0.24s/rotのガントリ回転速度や開口径80cmのオープンデザイン,超解像画像再構成技術「Precise IQ Engine (PIQE)」やINSTINXの搭載など,320列ADCTと高精細CT「Aquilion Precision」で培った技術を集約した装置で,2023年に販売を開始した。
今回は新たに血管撮影装置「Alphenix」と組み合わせたアンギオCT「Alphenix 4D CT」のコンポーネントとして採用され,モックアップが展示された。
フラッグシップADCT「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」
Aquilion ONE / INSIGHT EditionがアンギオCT「Alphenix 4D CT」に採用され
高精細画像と低被ばくで手技をサポート
4日目(12月3日)には,South HallのInnovation TheaterでフォトンカウンティングCTに関するプレゼンテーションが行われた。Canon Healthcare USA, Inc.のDirectorを務めるRichard Thompson, PhDが「The Future of Diagnostic Imaging: Innovations in CT」と題して発表し,立ち見も出るほど盛況であった。
Innovation Theaterで関心を集めたフォトンカウンティングCTのプレゼンテーション
