2025-12-3
「Azurion」プラットフォームの最新機能を紹介
Philips(フィリップス)のImage Guided Therapy(IGT)は,血管撮影装置「Azurion」プラットフォームの最新トピックスや,X線を使わずにガイドワイヤをリアルタイムに可視化する「LumiGuide」を紹介した。
Azurionは,ClarityIQテクノロジーによる高画質と低被ばくの両立,ワークフローを向上させるユーザビリティ,サードパーティも含めたさまざまな機器と接続できるコネクティビティが特長の血管撮影装置プラットフォームで,幅広いラインアップをそろえ,簡易的な手技から高度な手技まで用途に応じて使い分けることができる。
最新トピックスとして紹介したのが,脳卒中治療をサポートするアプリケーション「SmartCT 3.0」(510 k Pending,日本国内では2024年に発売)である。新機能の一つが,大幅に画質改善が図られたコーンビームCTで,国内施設との共同研究をとおして製品化され,筑波大学や大阪けいさつ病院などに導入されている。従来のCBCTが平面の軌道で画像収集を行うのに対して,SmartCT 3.0では従来の軌道に頭尾方向の傾きを追加し,2軸での回転撮影(Helical CBCT)を行う。これにより1軸撮影で生じる特有のアーチファクトを低減し,軟部組織の画質が大幅に向上,通常のCT画像にも匹敵するCBCT画像をCTよりも低線量で取得できる。
Helical CBCTにより軟部組織の画質を大幅に向上した「SmartCT 3.0」
模型によるデモンストレーションで紹介されたユニークなソリューションが,LumiGuideである。血管内治療は長時間の透視で術者の被ばくが課題となっており,各社が被ばく低減の取り組みを進めている。従来,ガイドワイヤなどのデバイス挿入は透視下で行うが,LumiGuideは光ファイバーRealShape(FORS)技術を用いることでX線を使用せずにデバイスを可視化し,デバイス挿入のガイダンスを可能にした。フィリップスでは,血管内超音波診断装置の最大手であったボルケーノ社の買収・統合を機に,血管内治療の製品開発に注力してきた経緯があり,術者の被ばく低減という課題に対してまったく新しい解決策を示した形だ。LumiGuideは,専用のガイドワイヤ3Dハブ,ドック,エンジンなどで構成される。ガイドワイヤに内蔵された光ファイバーに光を送信し,戻ってきた光を分析してガイドワイヤの形状と位置を認識,事前に撮影したCT画像から作成した血管の3Dモデルに重ねて表示することで,血管内のガイドワイヤをリアルタイムに視認することができる。Azurionプラットフォームとシームレスに統合でき,新たな血管内治療の環境を提供する。米国などで24システムがインストールされており,大動脈瘤の手技では面積線量を半分近くに低減するといった効果を得られていることを紹介した。
X線を使わない3Dデバイスガイダンス「LumiGuide」
光ファイバーRealShape(FORS)技術でリアルタイムにデバイスを可視化
すでに24システムが導入され成果を上げている
