innavi net画像とITの医療情報ポータルサイト

ホーム

平成23年度東北復興に向けた地域ヘルスケア構築推進事業成果報告会を開催

2013-2-13

会場風景

会場風景

 経済産業省の「東北復興に向けた地域ヘルスケア構築推進事業(被災地域における医療・介護周辺サービスの提供拠点整備の推進及び医療情報等の共有システムの推進のための調査事業)」の平成23年度の成果報告会が,2013年2月12日(火),東京都千代田区の日経ホールで開催された。東北復興に向けた地域ヘルスケア構築推進事業(以下東北ヘルスケア構築推進事業)は,医療機関・介護事業者間などとの情報共有,診療情報などの共有化などを含めた医療環境整備のため調査事業として実施されたもので,NTTデータ経営研究所が委託を受け事業の公募を行い,「ア,被災地における医療・介護周辺サービスの推進の調査事業」ならびに「イ,被災地における医療情報等の共有等を可能にするシステムの推進の調査事業」で,16の事業が採択された。今回はその中から,イの「どこでもMY病院構想」と「シームレスな地域連携医療」の事業の10のコンソーシアムから成果が発表された。

ロビーでは各コンソーシアムのシステムのデモ,ポスター展示が行われた。

ロビーでは各コンソーシアムのシステムのデモ,ポスター展示が行われた。

 開会挨拶に立った経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課の福島洋氏は,「新政権下では産業競争力会議が発足し,産業を強化する施策が求められている。この推進事業の成果が,医療分野の情報化のメリットをわかりやすく説明し,次の成長戦略に繋がるような形で継続されていくことを期待したい」と述べた。続いて,事業の進捗状況を管理する推進委員会と,3つのワーキンググループ(WG)のひとつであるシステムWGの座長を務める,東京大学大学院情報学環の山本隆一准教授が,事業成果の報告を講演した。山本氏は,今事業が平成22年度に行われた医療情報化促進事業の成果を受け継いで,患者による情報活用,医療機関間の情報連携について,実証を重ねたことを紹介し,システムWGでは事業の中でのさまざまな技術的な課題(事業間連携,共通モジュールの製品化,セキュリティ要件の精査など)について行った検討内容を概説した。

福島 洋 氏 (経済産業省)

福島 洋 氏
(経済産業省)

山本隆一 氏(東京大学)

山本隆一 氏
(東京大学)

 

児島純司 氏(京都産業大学)

児島純司 氏
(京都産業大学)

 最初のセッションでは,「どこでもMY病院構想」WGの取り組みについて紹介した。最初に同WGの座長である京都産業大学経営学部の児島純司氏が,どこでもMY病院構想WGの全体の概要と検討課題について講演し,どこでもMY病院事業としては継続性,データ保管,信頼性,責任,普及に向けた取り組み,連携について検討を行ったことを紹介し,特に救急医療や災害時の活用例について説明した。続いて,各コンソーシアムから成果報告が行われた。5つの事業は次の通り。
1) 私の安心健康づくり事業(代表団体:パナソニックヘルスケア),健保組合型の事業における健康管理や増進への活用について
2) 健康情報生涯活用事業(三菱総合研究所),被災地福島における紙などで提供される診療情報の電子的な長期管理と活用の仕組み
3) がん健康金庫利活用事業(リベルタス・コンサルティング),がん患者などの医療・健康情報の長期間にわたる保管と活用が可能なサービス提供の仕組み
4) 周産期小児健康情報事業(日本電気),周産期から幼児期の医療や健診情報を活用する仕組み
5) のとでもMyライフ事業(社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院),在宅介護を受ける高齢者の健康情報管理や医療・介護事業者の情報の保管,活用の仕組み

近藤克幸 氏(秋田大学)

近藤克幸 氏
(秋田大学)

 次のセッションでは,「シームレスな地域連携医療」WGからの報告として,最初に同WG座長の秋田大学医学部附属病院医療情報部教授の近藤克幸氏から,事業推進における検討課題などについて概説した。
 続いて,各コンソーシアムから成果報告が行われたが,5つの事業は次の通り。
1) 東北小児がん長期ケア事業(代表団体:システム環境研究所),東北地方における小児がん患者の患者情報の医療機関間の共有の仕組みの構築
2) メンタルヘルスネット事業(イーソリューションズ),主治医と職場の産業医の情報共有とeーlearningコンテンツの開発
3) NEXT in 西宮事業(フクダ電子),PCI患者について基幹病院とかかりつけ医で情報共有。テキストや数値だけでなく実波形(MFER)まで取り込み
4) 糖尿病疾病管理推進事業(カルナヘルスサポート),糖尿病の予防や早期発見早期治療のため基幹病院とかかりつけ医の情報連携による疾病管理モデルを構築,在宅の訪問看護との連携まで拡大
5) 小児疾患連携医療事業(日本システムサイエンス),つくば小児アレルギー情報ネットワーク(TーPAN)の運用について

 最後に,山本,児島,近藤の各氏が登壇し,会場からの質疑応答を行った。事業継続性の課題や地域医療連携における同意の範囲の問題など,活発な討議が行われた。

※3月15日に,成果報告会で使用された資料 がNTTデータ経営研究所のホームページに掲載された。
※5月1日に,「平成23年度東北復興に向けた地域ヘルスケア構築推進事業」成果報告書 が公開された。

 

●問い合わせ先
(株)NTTデータ経営研究所
東北復興医療情報化調査事業事務局
TEL 03-5213-4110

 

【関連コンテンツ】