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シーメンス・ジャパンがネーミングを新たにした「SOMATOM Symposium 2014」を開催

2014-9-1

海外から最新鋭DSCT「SOMATOM Force」第1号機の臨床経験も報告

海外から最新鋭DSCT「SOMATOM Force」
第1号機の臨床経験も報告

シーメンス・ジャパン(株)は2014年8月30日(土),TKP東京ガーデンシティ品川(東京都港区)において,「SOMATOM Symposium 2014」を開催した。「SOMATOM Symposium」は,同社が2009年から5回にわたり開催してきたdual source CT(DSCT)の最新技術とその臨床応用を紹介する「Definition Symposium」を名称変更したもの。DSCTに限らず,single source CT(SSCT)も対象にし,臨床現場に付加価値のある情報を幅広く提供するシンポジウムとして新たなスタートを切った。

開会に当たって挨拶したモデレータの内藤博昭氏(国立循環器病研究センター病院)は,CTは医学分野における20世紀最大の発明の一つであり,これまで形態情報を中心に臨床に役立つ情報を提供してきたが,近年は,新たな情報を提供する計測機器としての進歩も進んでいると述べた。その上で内藤氏は,同社はCT開発の先頭を走っており,最先端の情報をわれわれに提供しているとし,参加者にはシンポジウムを通じて新たな知見を得ていただきたいとまとめた。

「SOMATOM Symposium」と名称変更

「SOMATOM Symposium」と名称変更

モデレータ:内藤博昭 氏(国立循環器病研究センター病院)

モデレータ:内藤博昭 氏
(国立循環器病研究
センター病院)

 

 

座長:今井 裕 氏(東海大学)

座長:今井 裕 氏
(東海大学)

座長:市川勝弘 氏(金沢大学)

座長:市川勝弘 氏
(金沢大学)

 
     
座長:福田国彦 氏(東京慈恵会医科大学)

座長:福田国彦 氏
(東京慈恵会医科大学)

座長:平野雅春 氏(東京医科大学)

座長:平野雅春 氏
(東京医科大学)

 

 

プログラムは,「CT Image Contest 2014 Japanese Edition」「Latest Stories」「Synergies in Oncology CT」「Frontier of Cardiac CT」「Special Lecture」の5セッションが設けられた。

はじめに「CT Image Contest 2014 Japanese Edition」が行われた。これは昨2013年のDefinition Symposiumで初めて設けられたイメージコンテストで,同社の被ばく低減コンセプト“CARE Right”に基づき,臨床的有用性が高く,画質と被ばくのバランスが優れた画像を表彰する。 今回は,今井 裕氏(東海大学)と市川勝弘氏(金沢大学)が座長を務めた。コンテストは,「General」「Cardio-Vascular」 「Oncology」「Dual Energy」「Pediatric」「Technical」「Best Overall」の7部門で事前に選考が行われ,シンポジウムのセッション1として受賞者がプレゼンテーションを行った。

続くセッション2の「Latest Stories」では,今井氏と福田国彦氏(東京慈恵会医科大学)が座長を務めた。まずDSCTについて,東北大学の大田英揮氏が「慢性血栓塞栓性肺高血圧症におけるDual Source CTの臨床応用」をテーマに講演した。大田氏は,慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)について概要を述べた上で,肺血流シンチグラムやCTA,lung PBVなどによる鑑別診断を解説。さらに,治療支援としての3D-CTAとlung PBV,血管内治療の効果判定としてのDSCTの有用性を説明し,将来的にはCTEPHにおけるイメージングバイオマーカーになる可能性があることを示唆した。

次のSSCTに関する講演では,東海大学の丹羽 徹氏が「Dual Energy Imaging Single Source CT」と題して,128スライスCT「SOMATOM Definition Edge」でのdual energy imagingについて講演した。丹羽氏は,SOMATOM Definition Edgeで低エネルギー(80kVp)と高エネルギー(140kVp)の連続撮影を行い,「syngo.via」で解析処理することにより,120kVpでの撮影と同等の被ばく線量でdual energy imagingが得られると説明した。丹羽氏は,動きの少ない部位であれば,通常のCT撮影の延長線上でdual energy imagingができるとまとめた。

大田英揮 氏(東北大学)

大田英揮 氏
(東北大学)

丹羽 徹 氏(東海大学)

丹羽 徹 氏
(東海大学)

 

 

セッション3「Synergies in Oncology CT」では,福田氏と市川氏を座長に2講演が行われた。まず,「Computer Aided Detection」について,バリューHRビルクリニックの西村 崇氏が「検診領域でのsyngo.viaの活用」と題して発表した。同クリニックでは,CTやマンモグラフィなどから発生した画像データをsyngo.viaで処理し,2D,3D画像といった,解析処理結果を施設内に配信している。心電図や眼底カメラのデータも扱っているため,その稼働率は2012年に世界で最も多かったという。西村氏は,syngo.viaではあらかじめ指定したワークフローで自動処理されるので,経時的な所見の比較が容易であると述べた。その上で,西村氏は,肺がん検診において,アプリケーション“Lung CARE”によって比較読影が容易になり,自動位置合わせで病巣の計測も速やかに行えるなどの有用性を報告した。

続いて登壇した奈良医科大学の玉本哲郎氏は,「Therapy Planning」について,「放射線治療計画用CT SOMATOM Definition AS Open RT-Pro Edition—高精度低侵襲を目指す放射線治療のパートナーとなりえるか」と題して講演した。玉本氏は,放射線治療におけるtarget volumeについて説明した上で,80cmという広いFOVを有する「SOMATOM Definition AS Open RT-Pro Edition」の特徴を紹介。そして,放射線治療計画用CTに求められる要素技術として,(1)CT to EDの不変性,(2)位置精度の不変性,(3)target definitionに耐えうる画質,(4)4D(呼吸同期)撮影・再構成機能を挙げた。玉本氏は,この中から(1)(2)(4)に関するSOMATOM Definition AS Open RT-Pro Editionの性能について症例画像を提示しながら解説。高精度・低侵襲な放射線治療のための治療計画用CTとして,十分な装置であると述べた。

西村 崇 氏(バリューHRビルクリニック)

西村 崇 氏
(バリューHRビル
クリニック)

玉本哲郎 氏(奈良医科大学)

玉本哲郎 氏
(奈良医科大学)

 

 

「Frontier of Cardiac CT」をテーマにしたセッション4では,内藤氏と平野雅春氏(東京医科大学)が座長を務めた。まず,「Low kV, Low Contrast Medium」について,高崎総合医療センターの静 毅人氏が登壇。「当院の循環器領域における低電圧・低造影剤量撮影の取り組みとその応用について」をテーマに講演した。静氏は,シーメンス社の被ばく低減技術の歴史を振り返り,検出器の“Stellar Detector”について解説。さらに,循環器領域における80〜100kVの低電圧撮影と100〜120kV撮影の画質評価の結果を示し,低被ばく,低侵襲で良好な画像が得られていると説明した。また,静氏は,同センターの心臓・脳血管カテーテルセンターにおいて,冠動脈CTA施行時に全身の動脈硬化が疑われる症例に対しABI検査を行い,その結果により腎動脈・下肢動脈CTAを追加していると解説。低電圧撮影により低被ばくで造影剤量を抑えた検査を施行できていること,テストボーラストラッキング(TBT)法により効率的で精度の高い撮影を行えていることなどを報告した。

次のテーマである「New Benchmark of CAD diagnosis」では,三重大学の北川覚也氏が登壇した。北川氏は,同院における心臓perfusion検査について,従来はMRIが多かったものの,2010年からCTを施行するようになり,その比率が増加していると説明。理由として,空間分解能が高いこと,MBFの計測が容易なこと,CTAとCTPのfusion画像が得られることや遅延造影CTが可能になることなどを挙げた。そして,同院におけるstress dynamic CTPについて症例画像を示しながら解説した。このほか北川氏は,CTPや遅延造影CTに関するマルチセンタースタディ「AMPLIFiED」の紹介も行った。

静 毅人 氏(高崎総合医療センター)

静 毅人 氏
(高崎総合医療センター)

北川覚也 氏(三重大学)

北川覚也 氏
(三重大学)

 

 

最後のセッション5「Special Lecture」では,同じく内藤氏と平野氏を座長に,「Two Steps Ahead in CT Field」のテーマでUniversity Medical Centre MannheimのThomas Henzler氏が講演した。Henzler氏は,「Personalized CT imaging with SOMATOM Force」とのタイトルで,「SOMATOM Force」第1号機の使用経験について講演した。SOMATOM Forceは,2014年4月に国内発表された最新鋭DSCTである。新開発のX線管“VECTRON”を搭載したことにより低電圧の撮影で高画質が得られ,X線一般撮影と同等の被ばく量で検査を行える。また,造影コントラストが向上するため,造影剤の使用量も減らすことができる。さらに,秒間70cm以上の撮影速度を誇る。Henzler氏は,これらの低被ばく,造影剤量低減といった特長を紹介。さらに,息止め不要の検査が可能であり,機能情報や治療に有用な情報を提供できる装置として,症例画像を提示しながらSOMATOM Forceの使用経験を報告した。

Thomas Henzler 氏(University Medical Centre Mannheim)

Thomas Henzler 氏
(University Medical Centre Mannheim)

   

 

最新鋭の装置について海外の最新使用経験が報告されるなど,新たな「SOMATOM Symposium」は,参加者にとって有意義なシンポジウムとなった。閉会後の情報交換会では,「CT Image Contest 2014 Japanese Edition」の表彰式も行われるなど,最後まで活気に包まれていた。

会場後方で紹介された“Stellar Detector”と“Straton”管球

会場後方で紹介された“Stellar Detector”と
“Straton”管球

SOMATOM ForceのVECTRON管球

SOMATOM ForceのVECTRON管球

   
syngo.viaのデモンストレーション

syngo.viaのデモンストレーション

 

 

CT Image Contest 2014 Japanese Editionの受賞者

・Best Overall
 長田弘二 氏(金沢医科大学病院医療技術部診療放射線部門)
*表彰式は欠席。

長田弘二 氏

 

・General
 田村文香 氏(東京都保健医療公社大久保病院放射線科)

田村文香 氏

 

・Cardio-Vascular
 鷲塚冬記 氏(東邦大学医療センター大森病院中央放射線部)

鷲塚冬記 氏

 

・Oncology
 吉田亮一 氏(東海大学医学部付属病院診療技術部放射線技術科)

吉田亮一 氏

 

・Dual Energy
 川嶋広貴 氏(金沢大学付属病院放射線部)

川嶋広貴 氏

 

・Pediatric
 佐藤和宏 氏(東北大学病院診療技術部放射線部門)

佐藤和宏 氏

 

・Technical
 永澤直樹 氏(三重大学医学部附属病院中央放射線部)

永澤直樹 氏

 

●問い合わせ先
シーメンス・ジャパン株式会社
コミュニケーション部
へルスケアマーケティングコミュニケーショングループ
TEL 03-3493-7630
http://www.healthcare.siemens.co.jp/medical-imaging

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