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線量管理のための「CADIシステム」の新バージョンを発表―低線量肺がんCT検診の施設認定制度を見据えたデモンストレーションを実施―

2016-2-17

CADIシステムの紹介を行う開発者の石垣陸太氏(京都医療科学大学:右)と運用責任者の山口 功氏(大阪物療大学:左)

CADIシステムの紹介を行う
開発者の石垣陸太氏(京都医療科学大学:右)と
運用責任者の山口 功氏(大阪物療大学:左)

2016年2月12日(金),13日(土)の2日間,柏の葉カンファレンスセンター(千葉県柏市)にて第23回日本CT検診学会学術集会(大会長:大松広伸氏・国立がん研究センター東病院)が開催された。会期中,大会長・技術部会(部会長:村松禎久氏・国立がん研究センター東病院)の合同企画として,最新のCADIシステムの紹介とデモンストレーションが行われた。

CADIシステムは,医療機関における低線量肺がんCT検査の被ばく線量データと画像を匿名化した上で収集,データベース化し,そのデータベースを基に,適切な線量と画質での検診ができているかを確認できるソフトウエア。CADIは,“Combined Application Dose Index”の略で,米国放射線医学会(ACR)が運用している「ACR-DIR」を参考に開発され,2012年の同学会夏期セミナーにて初リリースし,2013年から試験運用を開始している。

CADIシステムの利用者は,施設内にデータセンターとデータの送受信を行うための専用端末(CADIクライアント)を設置し,DICOM SR形式の線量レポートと画像をデータセンターに送信する。データセンターにデータが送信されると,視覚評価委員により,適切な線量で最適な画質が得られているか,画像評価が行われる。さらに,CADIクライアントからWebベースで動作する“CADI web”を用いて,Web Access to DICOM Objects(WADO)により,データセンターに集められている同じCT機種・ソフトウエアを所有する他施設の撮影画像や検査プロトコール,被ばく線量などを比較することも可能である。また,利用者の評価や線量などの数値が,同じCT機種・ソフトウエアを所有する施設間で最下位となった場合は,利用者の端末画面上だけ,その項目を“レッドエリア”で表示し,改善を促す。このように,医療機関ごとに異なる画質や検査プロトコール,被ばく線量を見える化して情報を共有することで,施設間での格差をなくし,質の高い検査に結びつけることができる。

今回のデモンストレーションでは,会場の外に設置された東芝メディカルシステムズ(株)の16列マルチスライスCT「Alexion」を搭載した(株)SanseiのコンテナCT「MC-Cube」と連携し,そこで胸部ファントム[(株)京都科学の「LSCTファントム」]の撮影を行って進められた。MC-Cubeで撮影した画像と線量レポートは,DICOMビューワ“OsiriX”がインストールされたCADIクライアントから京都医療科学大学にあるCADIサーバに送信される。さらに,柏の葉カンファレンスセンターの会場からCADIサーバにアクセスして,そのデータを参照できるようにした。また,参加者が画質を評価するという視覚評価委員の疑似体験も実施された。

現在,肺がんCT検診認定機構では施設認定制度の準備を進めており,CADIシステムは,その受審施設と審査機関の審査業務を円滑に行うための支援ツールとしての利用も見込んでいる。CADIシステムを用いることで,(1)申請データの転送と受信,(2)審査員による線量と画質の評価,(3)評価結果の統計処理,(4)審査結果のフィードバック,が行われる。また,現在は肺がんCTのみに対応しているが,DICOM SR形式を用いているため,ほかの領域やモダリティにも対応できるため,今後のシステムの拡充も期待できる。CADIシステムは2016年4月以降,臨床現場での実運用をめざした新たな展開を模索していく。

会場外に設置されたコンテナCTのMC-Cube[(株)Sansei]

会場外に設置されたコンテナCTのMC-Cube
[(株)Sansei]

コンテナ内のAlexionに胸部ファントム(LSCTファントム)を設置して撮影

コンテナ内のAlexionに胸部ファントム
(LSCTファントム)を設置して撮影

   
撮影した画像と線量レポートを送信するコンテナ内のCADIクライアント

撮影した画像と線量レポートを送信する
コンテナ内のCADIクライアント(

CADIクライアントでの画質評価

CADIクライアントでの画質評価

   
会場内の展示コーナーにあるCADIクライアントのCADI webで線量を確認(レッドエリアは最下位)

会場内の展示コーナーにあるCADIクライアントのCADI webで線量を確認(レッドエリアは最下位)

Skypeによるデモの様子

Skypeによるデモの様子

   
学会参加者が画質評価を体験

学会参加者が画質評価を体験

 

 

●問い合わせ先
日本CT検診学会技術部会(学会事務局)
TEL 03-3238-1689
http://www.jscts.org

 

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