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「第2回Point-of-Care超音波研究会」が開催

2016-10-31

質疑応答が多くPOCUSへの関心の高さがうかがえた会場

質疑応答が多くPOCUSへの関心の高さが
うかがえた会場

2016年10月29日(土),30日(日)の2日間,「第2回Point-of-Care超音波研究会(POCUS研究会)」が,国立研究開発法人国立国際医療研究センター大会議室(東京都新宿区)において開催された。POCUS研究会は2016年に設立。第1回目の研究会が4月9,10日に開催された。

近年,タブレット型やポケットに収まるサイズの超音波診断装置が登場したことなどにより,救急や在宅医療といった場面で,医師がその場ですぐに検査を施行し,診断まで行うPOCUSが広がっている。X線撮影装置のように被ばくがなく,聴診器のように簡単に施行できることから,今後ますます普及していくことが見込まれる。一方で,超音波検査は,プローブの走査や画像診断において,施行者の技術や経験が重要となり,医師がそれを身につける機会は限られている。そこでPOCUS研究会では,診療科の医師や総合医,研修医,学生などを対象に,超音波検査を学ぶ機会を提供するとともに,POCUSに関する研究発表の場を設けることを目的に設立された。

開会に当たって挨拶した代表世話人の谷口信行氏(自治医科大学臨床検査医学)は,POCUSは臨床に直結する超音波検査であると述べた上で,研究会の目的を説明。そして,現在は,ハンズオンなど基礎的な内容が中心であるが,次回以降上級者向けのセミナーも設けたいと,今後の活動の方向性を示した。この後当番世話人の木村昭夫氏(国立国際医療研究センター救命救急センター)が挨拶し,最初のプログラムである「講義:心臓」へと進んだ。

「講義:心臓」では,山田博胤氏(徳島大学病院循環器内科/超音波センター)と亀田 徹氏(安曇野赤十字病院救急科)が司会を務めて進められた。柴山謙太郎氏(東京ベイ・浦安市川医療センター循環器内科),方波見謙一氏(北海道大学病院先進急性期医療センター救急科),森 崇晃氏(東京都立小児総合医療センター救命救急科)が,心臓領域におけるプローブの走査など検査の進め方と,診断のポイントについて症例を提示しながら説明した。

続く「講義:神経血管」では,司会を野村岳志氏(横浜市立大学医学部麻酔科学教室)と児玉貴光氏(愛知医科大学災害医療研究センター)が務めた。講義1では,石田亮介氏(島根県立中央病院救命救急科)が超音波ガイド下の末梢神経ブロックについて解説した。また,講義2では,太田智行氏(東京慈恵会医科大学病院放射線科)が下大静脈径と深部静脈血栓症(DVT)の診断について説明した。

続くパネルディスカッション「Point-of-Care Ultrasoundと教育」では,木村氏が座長を務め,4題の発表が行われた。まず,谷口隼人氏(横浜市立大学医学部救急医学教室/横須賀共済病院救命救急センター)が,救急医療での超音波検査・診断の教育を行う「J-POCKEYS」について紹介した。また,次いで登壇した山田直人氏(岩手医科大学附属病院麻酔科)は,患者急変時の超音波診断についてeラーニングなどを用いて学ぶ「ABCD sonography」の取り組みを説明した。3番目に登壇した森氏は,小児領域の超音波検査・診断の教育・研修について解説した。さらに,4番目に発表した児玉氏は,米国における救急領域の超音波検査・診断の教育環境について,自身の経験も含めて述べた。この後,質疑応答が行われて,教育のためのコスト,CTとの使い分けなどについて意見を交換した。

昼には,ランチョンセミナーも用意された。コニカミノルタジャパン(株)が提供したこのセミナーでは,谷口信行氏が座長を務め,小林英夫氏(防衛医科大学校医学教育部医学科)が「呼吸器超音波のこれまでとこれから」をテーマに講演した。

この後,休憩を挟み,谷口信行氏が司会を務め,「超音波基礎1」として,「パルスドプラ,カラードプラについて」をテーマに,岡田一孝氏〔(株)日立製作所ヘルスケアビジネスユニットマーケティング本部〕が講演した。岡田氏は,パルスドプラ,カラードプラの原理を紹介し,使い分けなどのポイントを解説した。

次いで,「教育講演1~3」が行われた。教育講演1では谷口信行氏が座長となり,石田秀明氏(秋田赤十字病院超音波センター)が,「ビギナーのための腹部超音波簡単レシピ」をテーマに,プローブ走査と読影のポイントなどを動画を交えて紹介した。また,教育講演2では,谷口信行氏を司会に,小縣正明氏(神戸市立医療センター西市民病院救急総合診療部)が,「急性腹症に対するPoint-of-Care超音波―救急初療での活用―」と題して,腹腔内貯留液などの鑑別のポイントについて講演した。教育講演3では,木村氏が座長を務め,小淵岳恒氏(福井大学医学部附属病院救急部/総合診療部)が「Minor emergencyとPoint-of-Care」をテーマに,眼科救急などマイナーな事例におけるPOCUSについて解説した。

この教育講演1~3と並行して,別室では経験豊富な医師による心臓,神経血管のハンズオンセミナーが行われた。さらに,2日目には,講義として「肺気道」「運動器軟部」「腹部」と「教育講演4,5」「超音波基礎2」,一般演題の発表が2題あった。また,2日目のハンズオンセミナーは「腹部」「運動器軟部」「肺気道」が設けられた。第1回よりもプログラムが充実した今回,会場もPOCUSを学ぼうとする若い医師の参加が目立ち,その関心の高さがうかがえた。

代表世話人:谷口信行 氏(自治医科大学)

代表世話人:谷口信行 氏
(自治医科大学)

当番世話人:木村昭夫 氏(国立国際医療研究センター)

当番世話人:木村昭夫 氏
(国立国際医療研究センター)

 

 

POCUS普及のための教育をテーマにしたパネルディスカッション

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「神経血管」のハンズオンセミナー

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●問い合わせ先
Point-of-Care超音波研究会
事務局(自治医科大学臨床検査医学講座内)
E-mail pocus2015@jichi.ac.jp
http://www.jichi.ac.jp/usr/cpc/clipatho/poc/