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富士通・電子カルテフォーラム「利用の達人」第15回総会が開催

2018-7-18

会場の様子

会場の様子

富士通の電子カルテシステムのユーザー会である電子カルテフォーラム「利用の達人」の第15回総会が,2018年7月7日(土),富士通(株)本社ビル汐留シティセンター(東京都港区)で開かれた。利用の達人は,富士通電子カルテシステムのユーザー会として2004年に発足,会員相互の情報交換や交流だけでなく,ユーザーからの要望や意見を集め,システムのレベルアップにつなげる活動を継続して行っているのが特徴だ。年1回開催される総会では,運営体制などの承認事項,功労賞の表彰,各フォーラムの活動報告のほか,特別講演や富士通からの情報提供が行われた。

開会に当たって挨拶した会長の社会医療法人河北医療財団理事長の河北博文氏は,「利用の達人は,電子カルテのユーザー会として機能向上やデータ利活用など“情報処理”を中心に活動してきた。しかし,世界のICT企業の状況を見るまでもなく,ネットワークやビッグデータを活用してこそ事業や活動のスケールが上がり,豊かで成熟した国や社会の発展につながる。利用の達人は,これまで任意団体として活動してきたが,今後は膨大な医療情報をベースにしたビッグデータ解析やAI利用などで社会に貢献することが求められる。改正個人情報保護法や次世代医療基盤法などが整備される中で,新たな役割に対応するためにも,法人化を含めた今後の方向性を探っていきたい」と述べた。

河北会長のコメントを受けて,代表世話人の一般財団法人竹田健康財団理事長の竹田 秀氏は閉会挨拶で,「利用の達人は,これまでパッケージの電子カルテシステムの機能向上を中心に議論してきたが,これからは医介連携や遠隔診療,生活習慣病予防のためのIoT活用,さらには医療情報システムにおけるAI技術の活用などといった,次世代の総合医療情報システムのあり方がテーマになる。現在のフォーラムにはそれを議論する場がないので,新たな議論の場を設けられるように検討したい。来年15周年を迎えるが,ユーザー会としての活動の幅を広げるためには法人化が大きなテーマであり,検討を進めて方向性を示したい」と述べ,電子カルテのユーザー会としてスタートした利用の達人が大きな転機を迎えていることを感じさせた。

会長:河北博文 氏(河北医療財団)

会長:河北博文 氏
(河北医療財団)

代表世話人:竹田 秀 氏(竹田健康財団)

代表世話人:竹田 秀 氏
(竹田健康財団)

 

 

特別講演として,医療情報システム開発センター理事長の山本隆一氏による「次世代医療基盤法について〜医療の未来に何をもたらす?!」が行われた。山本氏は,NDB(National Insurance Claim and Health Check-up DB)やMid-net Project,全国がん登録などの日本におけるデータベース(DB)構築の現状を説明し,目的や趣旨に即した公的DB整備は進んだが,それを横断的に利用することが改正個人情報保護法によって難しくなった状況にあると述べた。2015年に公布,2017年に施行された改正個人情報保護法では,個人識別符号の導入と匿名加工情報の追加,要配慮情報の概念の導入が行われた。その中で,要配慮個人情報に病歴が含まれたことから,オプトアウトによる医療情報の二次利用が難しくなった。そこで,最先端の研究開発や創薬,医療機器開発のために,オプトアウトで利用できるように情報の加工や取り扱いについての規則を定めたのが医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(通称:次世代医療基盤法)である。山本氏は,“ていねいなオプトアウト”や認定匿名加工医療情報作成事業者など次世代医療基盤法の概要を説明し,現在設立を進めている「一般財団法人匿名加工医療情報公正利用促進機構(Fair and safe of Anonymized STandardized Health Data of Japan:FAST-HDJ)」の概要についても紹介した。

司会:高橋弘充 氏(東京医科歯科大学医学部附属病院)

司会:高橋弘充 氏
(東京医科歯科大学医学部附属病院)

特別講演:山本隆一 氏(医療情報システム開発センター)

特別講演:山本隆一 氏
(医療情報システム開発センター)

 

 

後半のプログラムは,各フォーラムからの2017年度の活動実績と2018年度の活動内容を報告した。導入/運用関連フォーラムでは名古屋第二赤十字病院医療情報管理センター情報システム室長の岸真司氏から,メインイベントである利用の達人&地域医療ネットワーク研究会合同企画の「導入/運用ノウハウ事例発表会」が,2018年9月29日(土),30日(日)に,富士通関西システムラボラトリをメイン会場に開催が予定されていることが紹介された。また,レベルアップフォーラムは,香川県立中央病院院長補佐の高口浩一氏がHOPE EGMAIN-GXのバージョンアップの状況と今後の対応を説明,富士通からはレポート未読既読管理機能強化への取り組みの説明もあった。情報管理/活用フォーラムでは,千葉県済生会習志野病院事務部長の兵藤敏美氏から,データの利活用について入力から抽出・分析までが中心だった活動から,今後はBIツールなどを用いた具体的な活用方法を視野に入れて“情報活用ワーキングループ”を新たに立ち上げたことなどが説明された。

岸 真司 氏(名古屋第二赤十字病院)

岸 真司 氏
(名古屋第二赤十字病院)

高口浩一 氏(香川県立中央病院)

高口浩一 氏
(香川県立中央病院)

兵藤敏美 氏(千葉県済生会習志野病院)

兵藤敏美 氏
(千葉県済生会習志野病院)

 

また,森田嘉昭氏(第二ヘルスケアソリューション事業本部第五ソリューション事業部長)が,“富士通からのお知らせ”として「次世代医療ICTに向けた取り組み」と題して講演,富士通が取り組む次世代ICTとして,“データ利活用”“ヘルスケアAI”“ゲノム医療(個別化医療へ)”の3つの領域を中心に最新事例を紹介した。

森田嘉昭 氏(富士通第二ヘルスケアソリューション事業本部)

森田嘉昭 氏
(富士通第二ヘルスケアソリューション事業本部)

   

 

●問い合わせ先
電子カルテフォーラム「利用の達人」事務局
富士通株式会社カスタマー・コミュニケーション推進部
TEL 03-6252-2521
https://www.r-tatsujin.com