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「GE Healthcare Japan Edison Seminar 2019」が開催

2019-9-4

事前登録制で満席となったセミナー会場

事前登録制で満席となったセミナー会場

GEヘルスケア・ジャパン(株)は2019年8月31日(土),ベルサール新宿セントラルパーク(東京都新宿区)にて「GE Healthcare Japan Edison Seminar 2019」を開催した。セミナーは,医療政策動向と人工知能(AI)技術活用についての基調講演2題と,MR,核医学,CTの最先端技術・臨床応用に関するモダリティセッション3題がプログラムされた。複数のモダリティセッションを組み込んだセミナーは,同社として11年ぶりの開催となる。
はじめにオープニングとして,同社代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏が登壇し,「日本の医療課題を踏まえたGEヘルスケア・ジャパンのビジョンと戦略,変革への取組み」と題してプレゼンテーションを行った。多田氏は,社会課題の解決に取り組む前段としての社内の課題解決のための取り組みや,同社が掲げるプレシジョン・ヘルスについて説明した上で,課題解決のためには共創が求められると述べ,産学・産産連携,グローバル連携のパートナーシップの具体例を紹介した。そして,実装に向けたAI活用のためのプラットフォーム“Edison”について概要を説明した。Edisonでは,Amazon Web Service(AWS)を利用したEdison Platform上で開発したAIを,モダリティに実装した“Edison Smart Devices”,あるいは単体ソフトウエア“Edison Applications”として提供していく。

多田荘一郎 氏(GEヘルスケア・ジャパン)

多田荘一郎 氏
(GEヘルスケア・ジャパン)

   

 

続いて,多田氏による司会進行で基調講演が行われ,1題目に内閣官房健康・医療戦略室参事官の宮原光穂氏が「次期健康・医療戦略の方向性について」と題して講演した。宮原氏はまず,健康寿命の延伸をめざして推進されてきたこれまでの健康・医療戦略の取り組みを説明。そして,取り組みをとおして見えてきた課題やエビデンス(アンケート調査や論文調査など)を踏まえた,次期(2019年度中に改定予定)戦略の検討の方向性として,AMEDを核とした統合プロジェクトや研究開発方針,新産業創出・国際展開などの方針を解説した。
2題目に,慶應義塾大学医学部放射線科学教室(診断)教授の陣崎雅弘氏が登壇し,「慶應義塾大学病院のIT・AI化への取り組み」と題して,同院が進めるAIホスピタルプロジェクトについて紹介した。同院では,2017年にメディカルAIセンターを設立し,ICTやAI技術を実装・統合した高度診断・治療システムを取り入れたAIホスピタルモデルの構築をめざして活動している。陣崎氏は,プロジェクト推進のための体制づくりなどについて説明した上で,音声を用いた医療記録入力システムや統合ビューワ・VNAを用いた患者医療情報の統合など,具体的な取り組み内容を紹介した。また,放射線科は他科に先駆けて早くからAIに取り組み,あらゆる診療科と横断的にかかわる病院ネットワークの中核であるとし,AIホスピタルにおいても重要な役割を担っていくだろうと述べた。

宮原光穂 氏(内閣官房)

宮原光穂 氏
(内閣官房)

陣崎雅弘 氏(慶應義塾大学)

陣崎雅弘 氏
(慶應義塾大学)

 

 

モダリティセッションは,MR,核医学,CTの3セッションが設けられた。セッションでは,オンラインでリアルタイムに投票・集計できるサービス「Mentimeter」を用いて,会場にいる参加者にアンケートをとる試みも行われた。
MRセッションでは,大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座放射線医学教室教授の富山憲幸氏が座長を務め,山梨大学医学部放射線医学講座准教授の本杉宇太郎氏が「腹部MRI最前線:今後の展望」と題して発表した。本杉氏は,腹部領域におけるMRIの最新トピックスとして,Air Technology,肝動脈相の高画質化,ディープラーニングによる画像再構成の3つを取り上げて解説した。肝動脈相の撮像については,撮像タイミングの失敗と息止め不良によるアーチファクトが良好な画像を得られない原因であるとし,その解決策として多時相撮像や息止め不要の撮像法について,臨床画像を示して詳述した。
核医学セッションでは,金沢大学医薬保健研究域医学系核医学科教授の絹谷清剛氏が座長となり,京都大学大学院医学研究科放射線医学講座准教授の中本裕士氏が「Theranosticsを軸とした画像診断の将来展望ー腫瘍診断における”核医学”画像の現在・過去・未来」を講演した。Theranosticsとは,治療(Therapy)と診断(Diagnostics)を融合した言葉で,薬剤を体内に投与して画像情報を取得するとともに腫瘍に対する治療を行う技術。中本氏は,核医学のこれまでの発展について述べた上で,Theranosticsの最新研究について紹介し,個別化医療につながる技術であるとして今後の発展に期待を示した。
続くCTセッションでは,国際医療福祉大学学長の大友 邦氏が座長を務め,広島大学大学院医系科学研究科放射線診断学研究室准教授の立神史稔氏が「Dual Energy CTのUpdateとディープラーニング画像再構成(TrueFidelity)の使用経験」をテーマに報告した。GE社製「Revolution CT」に搭載されたdual energy“GSI Xtream”では高速に画像再構成が可能なことから,広島大学では,同装置で撮影するほぼ全例でdual energy撮影を行っている。立神氏は,dual energy CTの概要と,低keV画像/ヨード密度画像,脂肪密度画像,水密度画像の臨床応用について説明した。さらに,ディープラーニングを用いた再構成法”TrueFidelity”について,画像を供覧しながら特長と可能性について紹介した。

座長:富山憲幸 氏(大阪大学)

座長:富山憲幸 氏
(大阪大学)

本杉宇太郎 氏(山梨大学)

本杉宇太郎 氏
(山梨大学)

座長:絹谷清剛 氏(金沢大学)

座長:絹谷清剛 氏
(金沢大学)

     
中本裕士 氏(京都大学)

中本裕士 氏
(京都大学)

座長:大友 邦 氏(国際医療福祉大学)

座長:大友 邦 氏
(国際医療福祉大学)

立神史稔 氏(広島大学)

立神史稔 氏
(広島大学)

 

モダリティセッションで行われたリアルタイム投票

モダリティセッションで行われたリアルタイム投票

 

 

モダリティセッションに続いてスポンサードセッションが行われ,インテル(株)インダストリー事業本部ヘルスケア・ライフサイエンス担当部長の清水由香氏と,アマゾン ウェブ サービス ジャパン(株)パブリックセクター技術本部シニアソリューションアーキテクトの遠山仁啓氏が,それぞれ自社のヘルスケア領域の取り組みについてプレゼンテーションした。
セミナー会場隣のホールでは機器展示も行われ,Air Technologyの実機展示やCT,核医学,ヘルスケアITなどの最新技術・製品を紹介するとともに,共催企業各社の展示も行われた。なお,共催は以下のとおり(五十音順)。アマゾン ウェブ サービス ジャパン(株),インテル(株),EIZO(株),デル(株),日本メジフィジックス(株),バルコ(株)。

清水由香 氏(インテル)

清水由香 氏
(インテル)

遠山仁啓 氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン)

遠山仁啓 氏
(アマゾン ウェブ サービス ジャパン)

 

 

Air Technologyの実機展示

Air Technologyの実機展示

 

 

<共催企業機器展示>

インテル

インテル

EIZO

EIZO

   
デル

デル

日本メジフィジックス

日本メジフィジックス

   
バルコ

バルコ

 

 

●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
GEヘルスケアセミナー事務局
E-mail eds_2019@seminar.jp
www.gehealthcare.co.jp