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シーメンスヘルスケア,脳卒中プレスセミナー「迅速な治療の重要性と今後の展望について」を開催

2019-10-23

10月29日の世界脳卒中デーを前に開催された

10月29日の世界脳卒中デーを前に開催された

シーメンスヘルスケアは,2019年10月17日(木),同社の東京本社(東京都品川区)で脳卒中プレスセミナー「迅速な治療の重要性と今後の展望について」を開催した。10月29日の世界脳卒中デーを控えて開催されたもので,冒頭で挨拶に立ったシーメンスヘルスケアCardiology/IR事業部の中西哲也氏は,脳卒中は,要介護や認知症の大きな要因であり,医療・介護費などの点で社会的な課題であると述べ,シーメンスヘルスケアとして,画像診断をはじめとする広い領域のポートフォリオを活用し,解決を図っていきたいとした。

続いて,兵庫医科大学脳神経外科の吉村紳一氏による講演が行われた。脳卒中治療では,血栓溶解療法(rt-PA療法)の非適応・無効症例などに対し,血栓回収デバイスを用いた血管内治療(血栓回収療法)が行われており,日米のガイドラインでその推奨が明記されている。また,発症からより長時間が経過した症例に対して適応が拡大されたほか,より広範囲の症例に対する有効性を検証する臨床試験(RESCUE-Japan LIMIT)が進行中である。

吉村氏は,脳卒中治療の現状をこのようにまとめた上で,脳卒中の治療開始時間が1時間遅れると社会復帰の可能性が12%減少するとのデータを示し,改めて迅速な治療の重要性を強調した。脳卒中発症後,血管内治療が不可能な一次救急病院に搬送された場合は,搬入施設で画像検査(頭部CT)とrt-PA点滴(drip)を行い,主幹動脈閉塞例は脳卒中センターへ転送(ship)される。その際,あらかじめ検査画像をセンターに送信し,転送中にrt-PA点滴を行うことで,脳卒中センター到着後の治療が短縮され,転送による時間ロスを減らすことが可能である。また,血管撮影装置とCTの一体化や血管撮影装置による頭部のCTライクイメージングにより,院内での移動時間の短縮などが見込まれるとした。さらに,解析ソフトウエア「RAPID」や開発が進む次世代血栓回収デバイスなども紹介し,医療機器の進歩に伴う治療の発展への期待も示した。

中西哲也 氏(シーメンスヘルスケア)

中西哲也 氏
(シーメンスヘルスケア)

吉村紳一 氏(兵庫医科大学)

吉村紳一 氏
(兵庫医科大学)

 

 

また,日本脳卒中学会では,「脳卒中センター化構想」に基づき,一次脳卒中センターの認定を開始する。脳卒中センター化構想は,包括的脳卒中センターや一次脳卒中センター,遠隔一次脳卒中センターなどで構成され,このうち一次脳卒中センターは,脳卒中専門医が1名以上常勤し,24時間365日脳卒中患者の受け入れが可能で,患者搬入後は可及的速やかにrt-PA療法を含む診療が開始可能なことなどを要件とする。吉村氏らの研究室で行った解析では,一次脳卒中センターまで救急車で60分以内に搬送可能な地域は,日本の全人口の約98%をカバーすると見込まれており,カバーされない地域では,遠隔医療での対応が想定されるとした。

一方,全国調査(RESCUE-Japan研究)の結果,近年,病院到着から再開通までの時間は短縮されているものの,発症から病院到着までの時間は依然として短縮されていないことが示されている。そこで吉村氏は,解決策の一つとして,搬送前の脳卒中分類の有用性を挙げ,吉村氏らが開発した「病院前脳卒中病型分類スコア(JUST Score)」を紹介した。これは救急隊員が発症現場で評価可能な項目(年齢,既往歴,意識状態など)を基に病型を判別するシステムで,兵庫医科大学では,同スコアの導入後,血管内治療の治療数が増加しており,広島市では正式採用されたことなどが紹介された。

最後に吉村氏は,血管内治療は今後,治療の適応の拡大,質の向上,センター化などが見込まれるとした上で,一人でも多くの患者を救うには医療従事者の情熱が不可欠であると述べ,講演を締めくくった。

 

●問い合わせ先
シーメンスヘルスケア(株)
TEL 0120-041-387
https://www.siemens-healthineers.com/jp/