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介護現場のICT化と効率化を考える
日本福祉介護情報学会第21回研究大会が開催

2019-12-16

介護現場のICT化と効率化の課題がテーマ

介護現場のICT化と効率化の課題がテーマ

日本福祉介護情報学会は2019年12月8日(日),立教大学池袋キャンパス(東京都豊島区)において,第21回研究大会を開催した。現在,国を挙げて働き方改革による生産性向上が進められるが,介護分野においても介護職の離職率の高さなどが指摘されており,生産性向上は喫緊の課題となっている。介護分野の生産性向上に向けては,ロボットやICT,IoTなどの最先端技術の活用がカギを握っているが,現状ではコストなどの問題から十分に普及していない。このような現状を踏まえて,今回は「介護現場におけるICT化と効率化の課題」をテーマに,基調講演とシンポジウム,自由研究というプログラムで構成された。

午後から行われた基調講演では,厚生労働省老健局高齢者支援課課長補佐/介護ロボット開発・普及推進室室長補佐(併)経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課医療・福祉機器産業室室長補佐の井上栄貴氏が登壇。「介護業務のICT化(介護ロボット)の現状とこれからの展望」をテーマに講演した。井上氏は,2040年に向けた社会保障のあり方について説明し,医療・福祉サービスの改革プランとして,ロボット・AI・ICTの実用化推進,データヘルス改革などの施策を解説した。その上で,介護現場革新会議のパイロット事業として,宮城県や福島県など7地域のロボット・AI・ICT活用事例を紹介。さらに,井上氏は,厚生労働省が作成した生産性向上に関するガイドラインを取り上げたほか,生産性向上のための支援施策などを概説した。

続くシンポジウムでは,「介護サービスICT化の現状と課題」をテーマに,同学会副代表理事で社会福祉法人愛和福祉会理事長の林 恭裕氏がコーディネーターを務め,3名のシンポジストが,自施設・法人におけるロボットやICT,IoTの活用事例を紹介した。最初に登壇した社会福祉法人善光会理事/最高執行責任者の宮本隆史氏は,法人内に設立したロボットやICTなどに関するシンクタンクであるサンタフェ総合研究所を紹介したほか,介護ロボットのインターフェイスを統合し,効率的な介護を可能にする“SCOT”について解説した。次いで,登壇した社会福祉法人一誠会の常務理事/統括施設長で特別養護老人ホーム「第二偕楽園ホーム」の施設長の水野敬生氏は,見守りセンサなどの介護ロボットを用いた入居者の自立支援への取り組みを紹介した。3人目のシンポジストである(株)マザアス代表取締役社長の吉田 肇氏は,サービス付き高齢者向け住宅などにおけるICT化について,見守りセンサの実証実験の結果を報告した。

3名のシンポジストの発表に続き,基調講演を行った井上氏と同学会代表理事で関西学院大学人間福祉学部教授の生田正幸氏がコメンテーターとして加わり,総合討論が行われた。ロボットやICTの導入・運用コストをどのようにするか,介護報酬での評価などに意見が出されたほか,見守りセンサや介護システム,IoT機器の相互運用性を確保するための標準化について,参加者も交えて話し合われた。

井上栄貴 氏(厚生労働省)

井上栄貴 氏
(厚生労働省)

林 恭裕 氏(愛和福祉会)

林 恭裕 氏
(愛和福祉会)

宮本隆史 氏(善光会)

宮本隆史 氏
(善光会)

     
水野敬生 氏(一誠会)

水野敬生 氏
(一誠会)

吉田 肇 氏(マザアス)

吉田 肇 氏
(マザアス)

生田正幸 氏(関西学院大学)

生田正幸 氏
(関西学院大学)

 

●問い合わせ先
日本福祉介護情報学会第21回研究大会事務局
E-mail taikai2019@jissi.jp
http://jissi.jp