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東京ケアウィーク2020(4)見守りシステム編:介護の深刻な人手不足をいかにサポートするかを各社が競う

2020-3-12

会場内では出展企業によるプレゼンテーションも行われた。

会場内では出展企業による
プレゼンテーションも行われた。

「東京23区の介護職の有効求人倍率は10.7倍。他産業の有効求人倍率が1.9倍ということを考えると介護業界の人手不足は深刻」。あるブースのプレゼンテーションで示されたデータである。2025年には34万人が不足するとも言われる介護人材だが,すでに“人材枯渇”とも言える厳しい状況の中で,介護事業者の期待を集め,また,各社がさまざまなサービスを開発・提供しているのが“見守りシステム”である。
2020年2月12日(水)~14日(金)の3日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された東京ケアウィーク2020内の専門展であるCareTEX東京や見守りシステム東京においても,各社が多様な見守りシステムを展示した。見守りの仕組み自体は,基本的には利用者の行動をセンサなどでモニタし,そのデータから訪室などの対応の必要があるかを判断することで,スタッフの業務負担を軽減するものだ。しかし,一口に見守りシステムと言ってもモニタリングや情報提供の方法,他システムの連携などその機能は各社さまざまであり,当然導入コストも異なる。導入側の事業者にとっては選択肢が増える一方で,どこにプライオリティをおくかが悩ましい問題となりそうだ。

導入前サポートから人材育成までトータルにサポート

コニカミノルタの介護事業子会社であるコニカミノルタQOLソリューションズがアピールしたのは,トータルパッケージとしての充実したサポートである。同社では,見守りシステムだけでなく,導入前の業務診断サービス,導入後の業務支援,ICTをベースにした組織構築・運用などの支援をトータルに提供することで,ケア品質の向上と業務の効率化を行う「HitomeQ(ヒトメク)ケアサポート」を提供している。ブースでは,見守りシステムである“ケアサポートシステム(旧ケアサポートソリューション)”,データを元に最適な介護オペレーションを行う“ケアディレクター”,見守りシステムから得られたデータの可視化,分析を行う“ケアルーペ”などのソリューションを中心に,事業所におけるデータに基づいた介護オペレーションの構築を支援できることをPRした。
ケアサポートシステムでは,居室の天井に取り付けた行動分析センサで起床,離床,転倒/転落を画像で認識し,静止画像とともに通知を送信する。スタッフは,スマートフォンに送信された画像のほか,端末からライブ画像を見たり,“どうしました?”など話しかけたりすることも可能で,本当に訪室が必要かどうかを的確に判断できる。ケアサポートシステムでは,イベントがあった時以外は画像は記録されず,利用者のプライバシーを保護する。反対に転倒転落時には前後1分のエビデンス動画が保存され,家族への説明や再発防止に役立てることができる。
また,ケアディレクターは,見守りシステムで収集されたデータを活用して,施設内での最適な介護オペレーションを提供するための司令塔となる新たな専門職である。同社が,社会福祉法人善光会と共同で開発したもので,ケアサポートシステムなどで収集されたデータを元に状況を総合的に把握し,必要な情報を介護スタッフに提供して,利用者の状態に応じた適切なケアを提供する役割を担う。同社では,ケアディレクター育成のためのプログラムの提供するほか,データを可視化し分析するためのツール“ケアルーペ”を開発して,ケアディレクターの業務を支援する。

ICTで介護現場を支えるケアサポートシステム

ICTで介護現場を支えるケアサポートシステム

 

ケアディレクターの業務の4つのキーワード

ケアディレクターの業務の4つのキーワード

 

収集されたデータの可視化,分析を行うためのツールであるケアルーペ

収集されたデータの可視化,分析を行うためのツールであるケアルーペ

 

スマートフォンを核にした拡張性の高いネットワークを提供

病院や介護施設のナースコールで高いシェアと豊富な実績を持つケアコムは,「福祉施設向けスマートフォンソリューション」を出展した。ナースコールをはじめ,見守りシステム,内線・外線電話,介護記録などをスマートフォンに集約することができる。他社システムと連携できることが特徴で,例えば見守りシステムであれば「Sensing Wave介護見守りシステム」(凸版印刷),「みまもり安心サービス」(パナソニック)など,介護システムでは「CARE KARTE」(富士データシステム),「ワイズマンシステムSP」(ワイズマン),「ほのぼのNEXT」(NDソフトウェア)などと接続できる。さらに既設のナースコールをそのまま利用した導入にも対応するなど,拡張性と継続性を備えているのが特徴だ。

ナースコールなどのシステムをスマートフォンに集約

ナースコールなどのシステムをスマートフォンに集約

 

SNS機能などスマートフォンの特性を生かしたサービスを提供

SNS機能などスマートフォンの特性を生かしたサービスを提供

 

低電力発信機で複数のセンサ情報をまとめて表示

インフォコムは,IoT見守り支援サービス「MIMAMOA(ミマモア)」を出展。ミマモアは,センサを利用して入居者の行動を把握して,見回り業務をサポートし介護スタッフの負担を軽減するサービスだ。各種センサの接続には無線(低消費電力無線規格“EnOcean”)を採用,システムはクラウドサービスで提供されるため,柔軟な構築が可能になる。ミマモアの特徴の一つは,さまざまなセンサを接続できることで,ベッド(離床,臥床),マット(離床),ドア(開閉),温湿度,照度やコールボタンなどがつなげられる。また,クラウドサービスとして提供されるため,サーバの設置は必要なく機能の追加なども容易に行える。通知はPCのほかスマートフォンでも受け取れる。スマートフォン用のアプリが用意されており,ログインすることで確認時間や担当者などの記録も可能になる。センサとゲートウェイ間の通信には低消費電力無線規格(EnOcean)を採用しており,これによって電池交換なしで長時間(10年)の運用を可能にしている。

ベッドセンサーやコールボタンなどさまざまなセンサを接続可能

ベッドセンサーやコールボタンなどさまざまなセンサを接続可能

 

スマートフォンへの通知で適切なタイミングでのケアを提供

スマートフォンへの通知で適切なタイミングでのケアを提供

 

低電力無線規格採用のセンサで低コストで柔軟なシステム構築

Z-Worksは,見守りシステム「ライブコネクト」を展示し,無線とクラウドの利用で容易かつ低コストで見守りシステムの環境が構築できることをアピールした。センサ類は低電力で長時間の稼働が可能な無線規格“Z-Wave”を採用しており,また,各種センサやゲートウェイは電池式で無線環境での構築を可能にしている。センサには,マルチセンサー(モーション,温度・湿度,明るさ),バイタルレーダー(ベッド上の動き,脈動・横隔膜の動き),ドアセンサー(ドア開閉)などがラインアップされている。収集したデータは,クラウドサービスの“Z-Works IoT Cloud”に送信して行動解析を行い,スタッフの対応が必要かどうかを判断して通知することで,現場のスタッフの負担を軽減する。

無線規格“Z-Wave”を採用したセンサとクラウドサービスで見守りシステムを構築可能

無線規格“Z-Wave”を採用したセンサとクラウドサービスで見守りシステムを構築可能

 

プライバシーに配慮したシルエット画像で利用者を見守り

N&Fテクノサービスは,ノーリツプレシジョンの次世代予測型見守りシステム「Neos+Care(ネオスケア)」を展示した。同社は,メディカル事業として富士フイルムの医療機器やシステムの設置・メンテナンスサービスを展開しており,その実績を生かし介護福祉施設での見守りシステムの運用をサポートできるのがメリットだ。ネオスケアは,距離センサと赤外線による見守りセンサで,利用者のプライバシーを保護しながら状態を把握できることが特徴である。シルエット画像から起き上がり,端座位,離床,ずり落ちなどの危険動作を検知して通知することで転倒事故を予防する“予測型”のシステムである。シルエット画像はドライブレコーダーのように記録できるので,転倒などがあった際にどのような状況だったのかを後から確認することができる。また,同社ではネオスケアと,「CARE KARTE」(富士データシステム),「福祉の森」(日立システムズ)などの介護記録システム,ナースコール,インカムなどを連携させてトータルで提供することで,業務の効率化を支援できることをアピールした。

距離センサと赤外線センサでプライバシーを保護しながら状態を把握可能

距離センサと赤外線センサでプライバシーを保護しながら状態を把握可能

 

シルエット画像による通知で状態を的確に把握

シルエット画像による通知で状態を的確に把握

 

スマートフォンとICタグで介護記録の入力をサポート

介護現場の負担軽減では,大量で煩雑な介護記録の入力をサポートするシステムの普及も期待される。NTTデータ アイは,ICタグとスマートフォンを利用した介護記録システム「びびっとケア」を展示した。びびっとケアでは,あらかじめICタグに,“排泄”や“入浴”,“食事”などの記事を登録しておくことで,NFC搭載のスマートフォンをかざすだけで時間や場所とともに介護記録が行える。詳細な内容については,スマートフォン上で選択肢をタップすることで,その場で簡単に記録することができる。記載した内容については,後からPCで修正することも可能だ。また,必要な情報を記載したICカードを薬剤や食事(配膳)などの場面や利用者ごとに用意することで記録でき,また誤薬や配膳ミスのチェックも行える。

スマートフォンでICタグを読み取ることで簡単に記録可能

スマートフォンでICタグを読み取ることで簡単に記録可能

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