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富士フイルムメディカルが「FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2021 エクセレントカンファレンス」をWebセミナーとして開催

2021-7-20

FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2021 エクセレントカンファレンス

富士フイルムメディカル(株)は,2021年7月11日(日),「FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2021 エクセレントカンファレンス」をZOOMによるWebセミナーとして開催した。エクセレントカンファレンスは,デジタルマンモグラフィによる乳房画像診断についてエキスパートが解説するセミナー形式のイベントで,参加者は事前に提供されたマンモグラフィ画像をあらかじめ読影し,当日の講演の中で答え合わせを行いながら,診断のポイントや病理画像との対比などを通じて学ぶことができる。2017年に“エクセレントセミナー”としてスタートし,昨年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止となり今回が2年ぶり4回目の開催となる。従来は東京と大阪に設けられたメイン会場と,全国のサテライト会場をTV中継システムで結んで音声や映像を配信することで多くの参加者を集めていたが(2019年は24会場830名が参加),今回は会場の様子を配信するWebセミナーのスタイルでの開催となった。

冒頭に挨拶した富士フイルムメディカルの安田傳司常務執行役員は,事前の参加登録が1644名になったことを紹介し,「会を重ねるごとに参加者が増えており,エクセレントカンファレンスに対する期待の大きさを実感している」と述べ,富士フイルムではマンモ領域のAI開発も含めて製品開発に取り組んでおり,引き続き期待してほしいと結んだ。

安田傳司 氏(富士フイルムメディカル常務執行役員)

安田傳司 氏(富士フイルムメディカル常務執行役員)

 

当日は,丹黒 章氏(徳島大学大学院医歯薬研究部 胸部・内分泌・腫瘍外科学分野教授)が司会を務め,画像オブザーバーとして遠藤登喜子氏(独立行政法人国立病院機構 東名古屋病院 乳腺外科),病理オブザーバーとして森谷鈴子氏(滋賀医科大学医学部附属病院 病理部 病理診断科 准教授)が登壇して,それぞれの立場から解説を行った。

カンファレンスで取り上げられた症例は15例で,症例1〜5を鴨 宣之氏(みぎたクリニック院長)が,症例6〜10を千島隆司氏(横浜労災病院包括的乳腺先進医療センター長兼乳腺外科部長)が,症例11〜15を高橋優子氏(名古屋医療センター乳腺外科)が解説した。参加者は事前に配布されたマンモグラフィ画像を基に乳腺構成とカテゴリー分類の読影を行い,アンケートとして回答,当日の症例解説時にその集計結果が表示された。今回は1011件の回答があった。

症例1〜5を担当した鴨氏は,微小な病変をテーマにピックアップした5つの症例を解説した。その中で,乳腺構成について2021年4月に出版された『マンモグラフィガイドライン』の第4版での改訂内容について,画像オブザーバーの遠藤氏から解説があった。第4版での乳腺構成については,“脂肪性”“乳腺散在”“不均一高濃度”“極めて高濃度”の分類に変更はないが,乳房構成の判定のための具体的な方法が示された。もともと乳腺組織が存在していたと考えられる領域を分母として,分子に乳腺組織を取り,その割合で10%未満を脂肪性,10〜50%未満を乳腺散在,50〜80%未満を不均一高濃度,80%以上を極めて高濃度と判定するというものだ。遠藤氏は,「乳腺構成は項目のバラツキが大きく完全に収束させることは難しいが,10%,50%,80%という数字を頭に入れて読影してほしい」とコメントした。また,鴨氏は最新の臨床例から,新型コロナウイルスワクチン接種後の反応性リンパ節腫脹の画像を追加症例として供覧した。続いて,症例6〜10について千島氏は横浜市の乳がん検診の中から教訓を得た症例を紹介。症例11〜15を解説した高橋氏は,区域性の病変を2Dと3Dでどこまで読めるかをテーマとして,トモシンセシス画像を含めて解説した。

最後に画像オブザーバーの遠藤氏が総括し,石灰化や病変だけを見るのではなく,それを作ってきた周囲の組織を読み取ることが必要で,漠然と観察するのではなくポイントを絞って診断することが重要で,そのためには撮影の際にも乳腺をしっかりと伸展させることで早期の病変や微細な変化をとらえられる可能性が高まると述べた。遠藤氏は,「1000名を超える参加者が同じ症例を共有できた意義は大きい」と多くの参加者を集めたカンファレンスを評価して閉会となった。

 

●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
MS事業部 営業技術部
TEL 03-6419-8075
https://www.fujifilm.com/fms/