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Healthtech Summit 2025が開催 
ピッチコンテストは,きづなろが最優秀賞を受賞

2025-12-12

「Into Your Hands~つなげるテクノロジーで拓く,次世代のヘルスケア~」がテーマ

「Into Your Hands~つなげるテクノロジーで拓く,
次世代のヘルスケア~」がテーマ

Healthtech Summit 2025が12月7日(日),8日(月)の2日間,室町三井ホール&カンファレンス(東京都中央区)を会場に開催された。11回目となるHealthtech Summitであるが,開催曜日が移され,今回初めて日曜日と月曜日の開催となった。テーマには「Into Your Hands~つなげるテクノロジーで拓く,次世代のヘルスケア~」が掲げられた。
1日目の7日には,オープニングダイアログ「~Into Your Handsいま,ヘルスケアが臨んでいること~」が行われ,日本医師会会長の松本吉郎氏のビデオメッセージが紹介された。この中で松本氏は,医療・創薬などヘルスケア領域において,人工知能(AI)が急速に普及している状況や,医療情報の活用が研究から実装フェーズに移行していること,全国医療情報プラットフォームの整備,PHRの普及に言及。患者が自分自身で健康データを主体的に扱う時代が到来していると述べた。一方で,新たな技術が広がっていく中で安全性の確保やプライバシー保護といった課題が生まれていると指摘。医師の専門性とAIなどの技術が相互に補完して信頼に基づく医療を守り,進化させていくことで,新たな知見が生まれるとし,Healthtech Summitへの期待を示した。

Healthtech Summit 2025への期待をビデオメッセージで伝える日本医師会会長の松本吉郎氏

Healthtech Summit 2025への期待をビデオメッセージで伝える日本医師会会長の松本吉郎氏

 

同日行われた「『#病院経営』に効く処方箋-AI?業務効率化?本当に必要とされるものとは」では,村上沙穂氏〔VISIONEO(同)代表〕がモデレータを務めて,パネリストとして石川賀代氏(HITO病院理事長/石川ヘルスケアグループ総院長)が登壇。さらに,4名のデモワーが病院経営に寄与する技術・サービスのプレゼンテーションを行った。三沢英生〔(株)ユカリア代表取締役社長〕は,RPAによる業務改善について紹介。沼山 翼氏〔(株)セールスフォース·ジャパン公共·金融・地域SXソリューション本部保険・医療ソリューション部Associate,Account SE〕が,AIエージェントを活用した患者情報統合管理をアピールした。また,宇賀慎一郎氏〔メドピア(株)理事/医療機関支援プラットフォーム事業推進部部長〕は,Web予約システム「やくばと」について説明。さらに,逆瀬川光人氏〔(株)ヘンリー代表取締役〕は,生成AIによる音声認識を用いたカルテ入力などによる業務効率化を紹介した。プレゼンテーション後のパネルディスカッションでは,DXのための組織体制の在り方やAIなどのデジタル技術導入のための意思決定について意見が交換された。

AI活用などDXによる経営改善がテーマとなった「『#病院経営』に効く処方箋-AI?業務効率化?本当に必要とされるものとは」

AI活用などDXによる経営改善がテーマとなった「『#病院経営』に効く処方箋-AI?業務効率化?本当に必要とされるものとは」

 

「How Clinicians Turn GenAI On?-急速に医療現場に浸透する生成AI活用の『いま』」をテーマにしたセッションでは,モデレータを村本耀一氏〔順天堂大学放射線治療学講座/聖マリアンナ医科大学放射線治療科助教/(株)TenGen代表取締役〕,岩澤 諄一郎氏〔(株)Preferred Networksテックリード〕と藤巻 伍氏〔TMI総合法律事務所弁護士(日本/ニューヨーク州)〕がパネリストを務めて,2社がプレゼンテーションを行った。最初に発表した大筋由里桂氏〔Google(同)クリニカルスペシャリスト〕は,医師の業務効率化,スキル向上などに有用な「NotebookLM」の活用方法を紹介した。また,髙橋宏瑞氏〔(同)Ishify代表社員〕は,AI患者シミュレータ「MILA」による医療面接スキル向上のためのソリューションをプレゼンテーションした。また,久野真弘氏(がん研究会有明病院腫瘍内科フェロー/慶應義塾大学医学部石井・石橋記念講座拡張知能医学博士課程)は,医師の生成AI活用事例として,「CancerGPT」など,自身が日常どのような生成AIを活用しているのかを披露した。3人の発表後に設けられたパネルディスカッションでは,生成AIのリテラシー向上が議題になったほか,法制面での課題などが議論された。
同じく1日目に行われた「『医師の働き方改革』の本質とは?-現場のいまとテクノロジーが支える未来へ」では,モデレーターを石見 陽氏〔メドピア取締役会長(医師・医学博士)〕,パネリストを城戸輝仁氏(愛媛大学大学院 医学系研究科放射線医学講座教授)が務めて,3社のプレゼンテーションが行われた。最初に登壇した奥井伸輔氏〔(株)Cubec代表取締役CEO〕は,臨床での疑問に対しエビデンスに基づいて回答する「Cubec」を紹介した。続いて発表した丸山由莉氏〔(株)ALY取締役COO)は,既存の電子カルテと接続して使用する文書作成支援AI「ALY Assistant」について説明し,退院サマリ作成時間の短縮化などの診療現場の効率化の効果を強調した。さらに,野村怜太郎〔(株)medimo共同代表取締役〕は患者との会話内容を基にカルテを自動作成する「medimo」のデモンストレーションを行った。パネルディスカッションでは,生成AIを活用した技術により,医療の質を確保しつつ,文書作成時間の短縮などの効果が生まれていることが取り上げられた。
2日目の8日には,恒例のピッチコンテストがあり,8名のファイナリストがプレゼンテーションを行った。ファイナリストは,栄田 源氏〔(株)Genics代表取締役〕,松本光浩氏〔(株)ネミエル代表取締役CEO〕,大槻知史氏〔(株)きづなろ代表取締役〕,永島 匡氏〔(株)ジョシュ代表取締役),棚瀬将康氏〔(株)アークス代表取締役〕,矢野慎一氏〔(株)Egret・Lab代表取締役〕,韓 昌熙氏〔カリスト(株)CEO〕,古田国之氏〔(株)SOIK代表取締役〕の8名。この中から,最優秀賞とオーディエンス賞を大槻氏のきづなろ,インテージヘルスケア賞を栄田氏のGenicsが受賞した。きづなろの「ぴんぴんセンサー」は,室内の壁に小型センサを貼付して,プライバシーに配慮しながら日常生活動作(ADL)を24時間モニタリング。骨格データを基にAIが異常を検知する。すでに,ケーブルテレビ事業者などと提携して,サービスを展開している。また,Genicsは,歯ブラシロボット「g.eN」を手がけている。最優秀賞を受賞したきづなろには,賞金100万円が贈られた。

恒例のピッチコンテストの最優秀とオーディエンス賞はきづなろ,インテージヘルスケア賞はGenicsが受賞

恒例のピッチコンテストの最優秀とオーディエンス賞はきづなろ,インテージヘルスケア賞はGenicsが受賞