2026-7-1
会場(国立がん研究センター中央病院)と
オンデマンド配信で開催
第7回「Rise Up CT Conference」が,2026年5月30日(土)に国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)で開催された。キヤノンメディカルシステムズ(株)の共催で代表世話人は石原敏裕氏(国立成育医療研究センター)が務め,講演の模様は6月6日~6月30日までオンデマンド配信された。プログラムは,「CT装置情報提供」2題,「画論からのトピックス」2題,「アプリケーションソフトセッション」2題,「装置性能に関するセッション」4題,「Rise Up Lecture」が設けられた。開催の挨拶で石原氏は改めて会の設立の目的について言及し,CT技術を主体的に的確に使いこなすためにRise Upする(奮起し立ち上がる)ことで医療の質向上と社会還元をめざすとし,「活発な議論を通じて,最新技術を共有し互いに切磋琢磨する場となることを期待している」と述べた。
代表世話人:石原敏裕 氏
(国立成育医療研究センター)
CT装置情報提供では,宮下宗治氏(イーメディカル東京あかつきクリニック)が座長を務めた。キヤノンメディカルシステムズから「キヤノンCT最新情報」としてITEM 2026でアンベールされた国産初のフォトンカウンティングCT「Ultimion」が紹介された。Ultimionは,CZT(テルル化亜鉛カドミウム)を素材とした半導体検出器を採用して高分解能化を実現し,ディープラーニング画像再構成技術のAiCEなどソフトウエア技術との相乗効果で,高精細画像を高スループットで運用できる。続いて,中村仁志氏(カレス記念病院)から北海道で初稼働となった「Aquilion Rise導入と初期使用経験」が報告された。2025年4月に開院した札幌市にあるカレス記念病院では,2台目のCTとして今年4月からマルチポジションCTのAquilion Riseが稼働した。中村氏は,導入の経緯として他に例のない装置で「新たな臨床的価値の創出」につながることに加え,「明確なニーズの顕在化前に先行導入」として経営的判断が大きかったと述べた。そのため,マルチポジションCTの価値や可能性を院内や連携するクリニックの医師などへプロモーションを行い,認知度の向上から検査依頼につなげた経緯を説明した。
座長:宮下宗治 氏
(イーメディカル東京あかつきクリニック)
中村仁志 氏(カレス記念病院)
画論からのトピックスでは,辻岡勝美氏(藤田医科大学)と長澤宏文氏(国立成育医療研究センター)を座長として,2025年末に開催された「画論33rd The Best Image」のCT部門入賞施設から2演題の講演があった。最初に「嚥下4D-CTAを用いたbony stroke診断」を安達卓哉氏(杏林大学医学部付属病院)が講演。安達氏は,潜因性脳梗塞の原因を引き起こすbony strokeについて,4D-CTAで嚥下のダイナミック撮像を行い,舌骨や甲状軟骨が椎骨動脈を圧迫し虚血につながる機序を明らかにして治療につなげた手法を報告した。続いて,畔柳達也氏(藤田医科大学病院)が,「高精細CTによる迷走神経の可視化とVNS手術支援画像」について発表した。畔柳氏は,従来,CTとMRIのフュージョンで描出していたVNS(迷走神経刺激療法)の術前画像を,高精細CT(Aquilion Precision)のみで撮影し迷走神経と総頸動脈,内頸静脈の関係を正確に描出して手術を支援する方法を紹介した。
座長:辻岡勝美氏(藤田医科大学)と
長澤宏文氏(国立成育医療研究センター)
安達卓哉 氏(杏林大学医学部付属病院)
畔柳達也 氏(藤田医科大学病院)
アプリケーションソフトセッションは,片岡由美氏(藤田医科大学)と石川和希氏(神戸大学医学部附属病院)が座長を務めた。「頭部Dual-Energy撮影〜DE-Vol方式とサブトラクション方式の検討~」を講演した金森祐貴氏(岐阜県総合医療センター)は,急性期脳梗塞に対する機械的血栓回収術後の出血判断におけるdual energy撮影(2回転DE方式)とサブトラクション方式(Type-M)の有用性を概説した。続いて,「3D Landmark Scanが拓く利便性の革新〜下肢CTAサブトラクションへの応用〜」を講演した井戸端伸晃氏(植月医院)は,3D Landmark Scanを下肢CTAサブトラクションのマスク画像に用いることで被ばく低減やワークフローの改善が可能になることを報告した。
座長:石川和希 氏(神戸大学医学部附属病院)と
片岡由美 氏(藤田医科大学)
金森祐貴 氏(岐阜県総合医療センター)
井戸端伸晃 氏(植月医院)
装置性能に関するセッションでは,瓜倉厚志氏(茨城県立医療大学)と日比野友也氏(大雄会)が座長を務めた。最初に「高精細な大腸CTはこんなに診える!」を,小林穂乃香氏(小樽掖済会病院)が講演。小林氏は,高精細CT「Aquilion Precision」を用いた大腸CT検査(CTC)の有用性を報告し,1024マトリクスの高精細画像をCTCに用いることで解像度が向上し存在診断から鑑別診断が可能になり,AiCEによって被ばく低減も期待できると述べた。続いて下田沙也加氏(国立がん研究センター中央病院)が,「Silver filterを付加したCT撮像による線質変化と画像ノイズへの影響」を講演した。下田氏は,「Aquilion ONE / PRISM Edition」の「SilverBeam Filter」の線質変化が吸収線量や画像ノイズに与える影響について報告した。次に,「腹部領域におけるPIQEの有用性」について三垣宏晃氏(福岡大学病院)が講演。三垣氏は,超解像技術であるPIQEの腹部領域での有用性についてAIDR 3DやAiCEとの物理評価の結果や膵がんなどなどの臨床画像を含めて提示し,PIQE(Body)では末梢血管の描出能が改善し低コントラスト領域ではノイズ低減が可能で病変の検出能に優れていると述べた。最後に,「Aquilion ONE / INSIGHT Editionにおける心臓領域の使用経験について」と題して,川畑秀一氏(大阪大学医学部附属病院)が登壇した。川畑氏は,「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」による心臓領域の有用性について,PIQEや動き補正技術のCLEAR Motionの効果,1024マトリクスの画像評価,小焦点撮影テクニックなどを紹介した。
座長:瓜倉厚志 氏(茨城県立医療大学)と
日比野友也 氏(大雄会)
小林穂乃香 氏(小樽掖済会病院)
下田沙也加 氏(国立がん研究センター中央病院)
三垣宏晃 氏(福岡大学病院)
川畑秀一 氏(大阪大学医学部附属病院)
Rise Up Lecture は,石原氏と遠藤和之氏(東海大学医学部付属八王子病院)が座長を務め,「高精細面検出器CTによる呼吸器画像診断」について森谷浩史氏(大原綜合病院)が講演した。森谷氏は,320列CTの登場で可能になった呼吸器領域の動態撮影を中心とした画像診断について,キヤノンのCT装置の進化や最新技術を含めて講演した。320列CTのフラッグシップである「Aquilion ONE / INSIGHT Edition」,高精細CTの「Aquilion Precision」,Aquilion Precisionの画像を教師データとした超解像技術の「PIQE(Precise IQ Engine)」,動き補正技術の「CLEAR Motion」による気管支描出能の向上,SilverBeam Filterを用いた「3D Landmark Scan」での低線量撮影などの有用性を紹介し,高速化,高精細化,低線量化によって呼吸器領域の臨床応用の可能性が広がっていると述べた。
座長:遠藤和之 氏(東海大学医学部付属八王子病院)と石原氏
森谷浩史 氏(大原綜合病院)
●問い合わせ先
Rise up CT Conference事務局
http://riseupct.kenkyuukai.jp/
