FUJIFILM MRI全国ユーザー会 
~見るから体感するへ ―FUJIFILM MRI全国ユーザー会の挑戦~
ECHELON FUNS Meeting世話人代表 伊藤 祐介(大雄会第一病院 副技師長)

2026-9-25


2024年,FUJIFILM MRIユーザーによる全国規模のユーザーコミュニティとして「ECHELON FUNS Meeting(Fujifilm MRI Users Network and Skills enhancement)」が発足した。
近年,MRI装置の高性能化や検査の高度化が進む一方で,撮像技術の習得や施設間の情報共有,人材育成といった課題は依然として大きい。こうした背景から,本会は「基礎から学び,臨床に活かせる情報を共有する」ことを理念に設立された。
FUJIFILM MRIは撮像条件の自由度が高く,施設ごとの診療方針や患者背景に応じた柔軟な検査設計が可能である。その一方で,「どのような考え方でパラメータを調整すべきか」「他施設ではどのような工夫を行っているのか」といった情報交換の場を求める声も少なくなかった。全国ユーザー会は,こうした現場のニーズに応えるため,ユーザー主導によるコミュニティとして活動を開始した。
本会の最大の特徴は,一般的なWeb講演会とは異なり,MRI実機を使用したライブ配信を積極的に取り入れている点である。講演を聴くだけではなく,実際の装置操作やパラメータ変更に伴う画像変化をリアルタイムで確認できるため,参加者はまるで装置の前に立っているかのような感覚で学習することができる。これまで実施してきたユーザー会では,毎回,撮像パラメータや画像変化を体感的に理解できる実機演習をプログラムに組み込んできた。このような「体感型ユーザー会」は,われわれ独自の取り組みであり,単なる知識の共有にとどまらず,参加者自身が撮像条件や画像形成の考え方を理解し,日常診療へ応用できる実践的な学びの場をめざしてきた。
本会のもう一つの特徴は,富士フイルムユーザーだけでなく,他社MRIユーザーにも広く門戸を開いている点である。装置メーカーの垣根を越え,MRIの基礎や臨床応用を幅広く学ぶことで,日本全体のMRI撮像技術向上に貢献することも同時にめざしてきた(図1)。

図1 ECHELON FUNS Meetingの活動コンセプト

図1 ECHELON FUNS Meetingの活動コンセプト

 

これまでの歩み

記念すべき第1回は2024年3月,「FSE法」をテーマに開催された。MRI検査で最も使用頻度の高い撮像法の一つであるFSE(Fast Spin Echo)について,基礎から臨床応用まで幅広く学ぶ機会となった。初学者から経験豊富な技師までが参加し,活発な質疑応答が行われた。
その後も半年ごとに開催を重ね,
第2回:「IR(Inversion Recovery)法」
第3回:「頭部MR Angiography」
第4回:「GE(Gradient Echo)法」
第5回:「Motion artifact」
など,臨床現場で重要性の高いテーマを取り上げてきた。各回では,基礎講演(図2),開発者の視点,ユーザー講演(図3),パラメータTips情報(図4)に加え,実機演習やパラメータ検討会(図5)を実施し,「理論」「臨床」「実践」を一度に学べる構成としてきた。

図2 第3回 「頭部MR Angiography」での基礎講演スライド(抜粋) MRI初学者でもわかりやすいよう,アプリケーション担当者が基礎からレクチャーしてくれるパート。

図2 第3回 「頭部MR Angiography」での基礎講演スライド(抜粋)
MRI初学者でもわかりやすいよう,アプリケーション担当者が基礎からレクチャーしてくれるパート。

 

図3 第3回 「頭部MR Angiography」でのユーザー講演スライド(抜粋) 撮像プロトコールが定まった背景など,ユーザーが基礎検討を紹介しながらロジカルに解説してくれるパート。

図3 第3回 「頭部MR Angiography」でのユーザー講演スライド(抜粋)
撮像プロトコールが定まった背景など,ユーザーが基礎検討を紹介しながらロジカルに解説してくれるパート。

 

図4 第3回 「頭部MR Angiography」での「知って得する 頭頸部MRAのTips」(抜粋) FUJIFILM MRIならではの,画質改善アプローチをメーカーより情報提供いただくパート。

図4 第3回 「頭部MR Angiography」での「知って得する 頭頸部MRAのTips」(抜粋)
FUJIFILM MRIならではの,画質改善アプローチをメーカーより情報提供いただくパート。

 

図5 「実機演習」配信の様子〔富士フイルム メディカルシステム開発センター(千葉県柏市)にて〕 基礎講演,ユーザー講演で学んだことを,装置を使って確認するだけでなく,参加者の要望をその場で聞き,その場で撮像ニーズに応えることも行ってきた。まさに実践形式の実機演習となっている。

図5 「実機演習」配信の様子〔富士フイルム メディカルシステム開発センター(千葉県柏市)にて〕
基礎講演,ユーザー講演で学んだことを,装置を使って確認するだけでなく,参加者の要望をその場で聞き,その場で撮像ニーズに応えることも行ってきた。まさに実践形式の実機演習となっている。

 

ユーザー会がもたらした価値

本会の目的は単なる勉強会ではない。ユーザー会発足時には,目的として以下の項目が掲げられた。
○MRI原理の理解促進
○MRI撮像技術の向上
○撮像シーケンスのアイデアの創出
○情報交換と人的ネットワーク形成
実際に参加者からは,「他施設の撮像ノウハウを学ぶことができた」「基礎理論を改めて理解できた」「新しい撮像アプローチを自施設へ導入できた」といった声が寄せられている。
富士フイルムメディカルにとっても,現場の課題や要望を直接把握できる場となっているようで,ユーザー会発足当初からユーザーとメーカーが共に成長する“共創の場”となってきたことも事実である。

次なるステージへ

近年,AI技術や高速撮像技術の進歩によりMRIは大きく進化している。しかし,どれほど技術が進歩しても,それを使いこなす人材育成の重要性は変わらない。ECHELON FUNS Meetingは単なる講演会ではなく,「理解する」だけでなく「体感する」ことを重視した新しい学習スタイルを取り入れてきた。臨場感あふれる実機ライブ配信は,全国どこからでも参加できるオンライン形式であり,現地実習に近い学びをめざしてきた。今後,われわれのECHELON FUNS Meetingは,MRIを伝えたい人と学びたい人を結び,富士フイルムのMRI技術向上に貢献する「体感型MRIコミュニティ」として発展を続けていきたい。


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