協議会の取り組みと北まるnetの現状とこれから 
北見市医療福祉情報連携協議会 システム構築専門部会長 
北星記念病院 医療情報管理室 室長 
田頭 剛弦さん

北まるnetについて、関係者が説明します!
協議会でシステムを担当する田頭剛弦さんが北まるnetの内容について、北まるnetのシステムを開発した株式会社DBPowersの有賀啓之さんが開発の経緯やシステム概要について解説します。

2019-10-23


田頭 剛弦さん

北まるnetの現状

北まるnetは、医療・介護情報連携システム(DASCH Pro)を基幹システムとし、介護認定審査会システム、救急医療情報Padなどで構成されています。医療・介護機関は、インターネット環境とパソコン・タブレットがあればユーザー登録後に利用可能になります。現在の登録数は、医療機関22件、介護機関40件、公的機関3件です。運用コストは、すべて北見市の予算で賄われていて、ユーザー利用料は徴収していません。

医療介護連携で利用されているシステム

医療・介護情報連携システム

医療・介護情報連携システムは、患者ごとに権限を付与された医療・介護機関が情報を登録・閲覧し、掲示板機能を用いてコミュニケーションを図ることができます。医療機関とケアマネジャー間の退院調整では、システムを活用することで、医療機関からケアマネジャーへの退院時連絡率を導入前の40%から60%へ向上させる成果を上げました。

介護認定審査会システム

介護認定審査会システムは、審査会委員がクラウドサーバからダウンロードした介護認定審査会の資料をiPadで事前に閲覧・修正し、所属機関にいながらにして、パソコン上に映し出された他委員の顔と資料を見ながら審査を行うことができる、ペーパーレスかつWeb会議のシステムです。資料の郵送コストと郵送時間の削減、資料の廃棄の簡便さなどの利点をもたらしました。また、委員の移動時間が不要になるため、特に医師の委員からは大変好評でした。

救急医療情報Pad

救急医療情報Padは、救急救命士が搬送先を選定する際の支援情報となる緊急連絡先、かかりつけ医、病名、服用薬などの情報を、医療・介護情報連携システムから転用し、集約表示するシステムです。介護施設からの要請を対象とした救急搬送で実証実験を行い、現場到着から出発するまでの時間を前年実績から平均2分37秒短縮することができました。また、医療情報に精通していない介護職員でも安心して救急要請ができると好評でした。

北まるnetのこれから

助成事業を利用して構築した北まるnetは、稼働して8年目を迎えました。継続性を考慮すると、システムの更新が必須で、特にセキュリティ面の更新は、個人情報を守る上で喫緊の課題でした。助成事業で構築したシステムが、運用コストや改修コストを調達できず、停止に追い込まれる例が後を絶たないと聞きます。しかし北まるnetは、医師会と市が中心となって運営しているため、市の予算で、2019年4月にシステムの改修が実現しました。
現在は、医療機関とケアマネジャーの入退院連携を促進するため、入院時情報提供書システム(図1)を構築し、多忙なケアマネジャーが、入院時情報提供加算の日数制限に対応できるよう運用を開始しています。このシステムは算定根拠のツールとして、市が公認しています。
地域連携システムを持続させていくためのビジネスモデルが不確定な中、北見市の北まるnetの取り組みが参考になれば幸いです。

図1 入院時情報提供書システム 一度情報入力をすれば、2回目以降はデータを複製し、変更内容の修正だけで作成できます。

図1 入院時情報提供書システム
一度情報入力をすれば、2回目以降はデータを複製し、変更内容の修正だけで作成できます。


(ケアビジョン Vol.2(2019年10月1日発行)より転載)
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