巻頭言 
MODERATOR 
内藤博昭 国立循環器病研究センター病院 院長

2013-11-25


内藤博昭

Definition Symposiumは2013年8月31日(土),第5回の開催を迎えた。

2管球搭載型Dual Source CTや,SOMATOM Definitionシリーズの意見交換を行うユーザー会としてスタートした本シンポジウムは,いまやCTの最新知見が報告される影響力のあるイベントへと発展した。これはもとより,SOMATOM DefinitionシリーズのCTが画像診断のパラダイムシフトを起こす力を持っているからにほかならない。

1972年にX線CTを発表したHounsfieldは,1979年にCormackとともにノーベル医学生理学賞を受賞している。ほぼ同時期の1973年に発表され,2003年にLauterburとMansfieldがノーベル賞を受賞したMRIと比べると,発表後10年に満たない受賞は,X線CTの臨床的有用性が高く評価されたためと言える。

X線CTはこれまで,時間分解能,空間分解能,コントラスト分解能,そして,カバレージの向上を目指して急速に進歩し,いまや装置としての性能はプラトーに達する域に至っていると言える。しかし,最近のさらなる進歩としてシーメンスでは,新しい検出器であるStellar Detectorを開発し,また,逐次近似を応用した画像再構成法の進歩は,SAFIREとして結実している。これらの技術は,X線被ばくの低減を求める社会的要請に応じた流れでもある。SOMATOM Definitionシリーズは,X線CTの性能の向上と被ばく低減の実現に向けて,常に先頭を走り,他をリードしてきた。

さらに,CTはX線の減弱を計測する測定器としての側面を持つことから,複数のX線エネルギーによる解析を行うことが可能である。2管球を有するSOMATOM DefinitionシリーズのDual Energy Imagingは,2つの異なるエネルギーのX線照射で得られる情報から,物性に応じた多様なCT値の測定ができるという特長があり,CTルネッサンスを起こす技術として注目されている。Dual Energy Imagingにおいても他をリードするSOMATOM Definitionシリーズは,臨床における実績を積み,進歩し続けている。

今回は3セッションが設けられたが,そのほか冒頭に,シーメンス・ジャパンとして初めて開催されたCT Image Contest 2013の受賞作品の発表も行われる。欧米では以前から行われていて,臨床画像のコンテストとして評価が高いと聞いている。3セッションにおける最新知見の報告とともに,実際の臨床現場で役立つCT画像の具体的な発表も加わり,非常に興味深い内容が期待できる本シンポジウムを私自身も楽しみにしている。


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