Precise Intervention with Latest IVR-CT system 
東原大樹(大阪大学大学院医学系研究科放射線医学教室)
Session Ⅱ Maximize the Synergy of CT-related Systems

2018-11-22


東原大樹(大阪大学大学院医学系研究科放射線医学教室)

当院では2018年3月,IVR-CTの更新でシーメンスヘルスケアの「MIYABI Angio-CT(MIYABI)」が導入された。本講演では,最新のIVR-CTの運用を含めて,当院の放射線診断・IVR科におけるIVR手技の現況について述べる。

当院におけるIVRの概要

1.IVRの体制
当院のIVRは,放射線診断・IVR科に所属する専従スタッフ6名(常勤4名,非常勤2名+α)で,24時間365日対応している。当院のIVRは,血管撮影装置(IVR-CT,バイプレーンほか),X線透視装置(穿刺など非血管系手技),救命センターの血管撮影装置,ハイブリッド手術室などで施行し,年間の件数は1000〜1200件で増加傾向にある。このうち,IVR-CTでは500〜600件の手技を行っており,必要不可欠のユニットとなっている。

2.MIYABI Angio-CT
2018年3月に導入されたMIYABI(図1 右)で組み合わされている天井懸垂型血管撮影装置「Artis Q TA」は,低線量でもX線透視画像の画質が劣化せず,トータルの被ばく線量が大きく低減されている。また,スライディングガントリCT装置「SOMATOM Definition AS」はガントリがコンパクトになり,ボア径が80cmの大口径となったことで,IVR手技時のワーキングスペースが広くなった。また,ガントリが動くスライディングレールがフラットになって段差がなくなったことで,室内で患者を載せたベッドやストレッチャーの移動がスムーズになったことも利点である。

図1 MIYABI Angio-CT

図1 MIYABI Angio-CT

 

最新アプリケーションによるIVR手技

IVR-CTを用いた手技では,肝細胞がん(HCC)における肝動脈化学塞栓術(transcatheter arterial chemoembolization:TACE)と穿刺の割合が多い。当科におけるMIYABIを用いた代表的な手技について紹介する。

1.syngo Embolization Guidance
HCCに対するTACEの主な治療手段としては,リピオドールを使うconventional lipiodol-TACE(c-TACE)と薬剤溶出性ビーズを用いたTACE with drug-eluting beads(DEB-TACE)があるが,両者には治療成績に差がなく,使い分けについて明確なガイドラインはない。いずれを選択するにしても,塞栓時には腫瘍の栄養血管を同定することが重要である。シーメンスヘルスケアのIVR-CTでは,栄養血管の同定と塞栓のプランニングを行う“syngo Embolization Guidance(Embolization Guidance)”が利用できる(図2)。Embolization Guidanceでは,Cone Beam CT(DynaCT)画像もしくはCT画像を用いて独自のアルゴリズムで栄養動脈を自動検出し,その走行ルートをX線透視画像上に重ね合わせて表示できる。

図2 syngo Embolization Guidance

図2 syngo Embolization Guidance

 

以下,Embolization Guidanceが有用だった症例を紹介する。症例1は,術前のEOB造影MRIでS4とS2にHCCが見つかりTACEとなった。血管造影では腫瘍濃染像は不明瞭だったが,CTAPとCTHAでは造影MRIに一致して,早期濃染と後期相でのwashoutが認められ,さらに新たなHCCも見つかった。Embolization Guidanceでターゲットを設定すると1cmのマージンをつけて抽出され,栄養動脈の候補がピックアップされる(図3)。過塞栓を避けるため,血管を3本に絞りTACEを行った。S2領域のHCCは,やはり血管造影像では腫瘍濃染は,はっきりと確認できなかったが,Embolization Guidanceで示された角度で撮影すると栄養血管が描出され,カテーテルを進めて超選択的なc-TACEが施行できた(図4)。
TACEにおけるEmbolization Guidanceの有用性は,栄養動脈を効率良く検出して超選択的TACEが可能であり,経験の浅い若手のIVR医でも一定レベルのTACEを行えることである。また,アプリケーションの使い勝手が良く,手技の正確性の向上と時間短縮が期待できる。さらに,あらかじめ透視画像の角度が把握できるので血管撮影の反復を回避し,被ばく線量の低減にもつながる。3D画像で検出,同定した栄養血管の走行ラインは透視画像上に重ね合わせることができ,ガイドワイヤやカテーテル操作のガイダンスとしても有用性が高いと感じられた。

図3 症例1:Embolization Guidanceによる栄養血管の検出

図3 症例1:Embolization Guidanceによる栄養血管の検出

 

図4 症例1:3D画像の角度に合わせて透視撮影することで栄養動脈を描出

図4 症例1:3D画像の角度に合わせて透視撮影することで栄養動脈を描出

 

2.IVR-CTによるCT透視下手技
非血管系のIVRでは,膿瘍ドレナージや画像ガイド下生検が多い。穿刺手技のガイドに使用する画像モダリティとしては,超音波,X線透視,DynaCT,CT透視がある。IVR-CTでのCT透視は,操作性,ターゲットの視認性は良いが,CTのため頭尾方向の穿刺にはある程度習熟が必要とされる。MIYABIでは穿刺針先端の視認性が高く,深部病変で周囲に血管があるような手技で有用である。ただし,被ばくに関しては注意が必要である。以下,CT透視下のドレナージと生検の症例を紹介する。

1)ドレナージ
症例2は,70歳代,男性,閉塞性黄疸を呈した膵頭部がん術後で,挙上空腸の拡張と通過障害があり,再発腫瘍が疑われた。いったんENBD(endoscopic nasobiliary drainage:内視鏡的経鼻胆管ドレナージ)チューブで症状は改善したが,患者の負担を考慮してドレナージルートの変更が検討された。経皮ルートのPTBD(percutaneous transhepatic biliary drainage:経皮経肝的胆管ドレナージ)が検討され,超音波ガイド下のPTBDを行ったが,胆管気腫のため穿刺は困難だった。そこで,ENBDチューブより空気を注入して,肝内胆管と挙上空腸を拡張し,CT透視下でドレナージを施行した。術前CTを確認してルートを決定し,肝内胆管への穿刺を確認後,造影剤を注入。胆管の位置を確認後,ワイヤを挿入してPTBDを留置し,内瘻化に成功した(図5)。

図5 症例2:CT透視下で肝内胆管の穿刺を確認

図5 症例2:CT透視下で肝内胆管の穿刺を確認

 

2)生検
当院におけるCT透視下での体幹部生検は,経年的に増加しており,特に2014年から,腎腫瘍に対する経皮的凍結療法を導入したことで急増している。今後も,分子標的薬導入によるバイオマーカー検査や,局所療法の適用拡大の可能性から,需要は増えることが予想される。症例3は,60歳代,男性,腹腔動脈根部に後腹膜腫瘍を認める。CA19-9も正常範囲内だが,膵がんの可能性を確認するためCT透視下生検を行った。深部腫瘍のため大血管を避けて穿刺ルートを決定する必要があり,少量の造影剤を注入し,血管走行を確認した上で穿刺針を進めることで生検を施行,膵がんと診断された(図6)。

図6 症例3:CT透視下生検

図6 症例3:CT透視下生検

 

3)IVR-CTによる経皮的アブレーション治療(凍結療法)
当院では,2014年から凍結療法を導入している。対象はT1a,4cm以下の腎細胞がんで,治療には冷凍手術器を用いる。高圧ガスのジュール・トムソン効果による急速凍結でアイスボールを形成し,細胞障害や血流うっ滞によって腫瘍を障害する。治療に当たってはCT透視下で凍結針を進め,術中もCTを撮影することでアイスボールの確認を行い,下行結腸など周辺臓器を損傷しないように治療を行っている。症例4は,右腎下極に4cmを超える腎がん(cT1b)があり,頭尾方向に長く,腎洞内への突出もある症例で穿刺難易度が高かったが,CT透視により多断面で針先を確認することで,ぎりぎりまで針先を進めてしっかりと治療することができた(図7)。

図7 症例4:腎がんの凍結療法 多断面による穿刺針の確認で頭尾方向に長い腫瘍を確実に穿刺

図7 症例4:腎がんの凍結療法
多断面による穿刺針の確認で頭尾方向に長い腫瘍を確実に穿刺

 

まとめ

最新IVR-CTでは,Embolization Guidanceなど有用なアプリケーションを使うことで,難度の高い穿刺手技も高い精度で遂行可能になっている。シーメンスヘルスケアの次世代IVR-CTシステム「nexaris Angio-CT」の登場で,血管撮影装置とCT装置の融合が深まって,あたかも1つのモダリティのように機能するため,今後,IVR手技のワークフローはさらに洗練されていくことが期待される。

 

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