深層学習アンサンブルモデルを用いたMRI画像による脳腫瘍診断(2025/9/1)
2025-11-4
脳腫瘍は,画像として他の疾患にしばしば類似するため,正確かつ早期の診断は依然として大きな課題である。現在,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いたモデルが開発されているが,多くのモデルは単一の手法に依存しており,脳腫瘍画像の複雑な構造に十分に対応できていない。こうした課題を踏まえ,合同研究チームはMRI画像を用いた脳腫瘍診断のためのアンサンブルモデルを開発した。
8月8日にScientific Reportsに掲載された研究によると,研究チームはEfficientNetB5,ResNet50,CNNの3つのモデルを組み合わせた新たなアンサンブルモデルを構築した。データセットには,「異常なし」,「グリオーマ」,「髄膜腫」,「下垂体腫瘍」の4つのカテゴリーに分類された22,000枚以上のMRI画像が含まれている。結果として,MRI画像の全体的な分類正答率は,テストセットで99.4%,検証セットで99.48%,クロスデータセットで99.31%と非常に高いパフォーマンスを示した。さらに,予測の不確実性をエントロピーで評価したところ,0.3093と低い値を示し,診断予測の高い正確性が示唆された。解釈性はGrad-CAM,Guided Grad-CAM,SHAP,SmoothGrad,LIMEで担保している。誤分類の傾向としては,髄膜腫で多くなるという。
本アンサンブルモデルは優れた診断精度が期待される一方で,今後は実臨床データを用いたさらなる検証が必要である。また,研究者らは「複雑なアンサンブルモデルであるため,高度なコンピューターリソースが整った環境下でのみトレーニングが可能であり,今後はプルーニング,量子化,知識蒸留などを通じてモデルサイズの軽量化を図る必要がある」と述べている。
【参照論文】
Advanced dynamic ensemble framework with explainability driven insights for precision brain tumor classification across datasets
