コニカミノルタ,パスツール研究所およびバイオアキシャル社と創薬支援システムの開発で共同研究を実施
~新薬の開発をスピードアップさせる先進的バイオイメージング技術~

2016-6-6

コニカミノルタ


コニカミノルタ(株)は,パスツール研究所(フランス パリ)およびバイオアキシャル社(フランス パリ)と,創薬に生かすバイオイメージング技術について,共同研究を開始した。

●共同研究の内容

今回の3者の共同研究では,in vivo*用蛍光ナノ粒子及び観察システムの開発を目指す。
このシステムは,マウス体内での薬剤の動きや分布を直接観察すること,さらには臓器や細胞に到達した薬剤が細胞の働きに与える影響を観察する(ライブセルイメージング)ことで,薬剤の効果や作用機序の観察を実現し,薬効の正確な評価の支援が期待できるもの。
コニカミノルタは同社の開発する蛍光ナノ粒子およびその画像の解析技術を活用し,パスツール研究所のもつ創薬ニーズに必要なイメージング技術,バイオアキシャル社のナノメーターレベルでの画像を提供できる超解像画像観察装置と技術的連携および協力することにより,新しいインビボイメージング技術を開発,提供していく予定。

* in vivo(イン・ビボ)とは,"生体内で(の)"という意味で,マウスなどの実験動物を用い,生体内に直接被験物質を投与し,生体内や細胞内での薬物の反応を検出する試験のこと。

●コニカミノルタの保有技術

新薬の開発では,候補となった薬剤の臨床試験における薬効発揮の成功率が低いことが課題となっている。この解決策のひとつとして,候補薬剤の検討において,細胞内での薬の作用をタンパク質の定量などに基づいた詳細な解析を用いることが有効であり,そのための革新的なイメージング技術が求められている。また,細胞イメージングや生体イメージングの研究開発に利用されている蛍光検出技術の一分野として,有機蛍光色素を用いた検出技術がある。従来の有機蛍光色素を用いた標識材技術は,感度や定量性(量を測定する精度)が低い,褪色する,という課題があった。

コニカミノルタは,写真フィルムで培った銀塩粒子開発技術を応用し,これらの課題を解決できる,従来の蛍光色素の約3万倍の輝度と,高い光耐久性を持つ蛍光ナノ粒子の開発に成功している。さらに,この蛍光ナノ粒子と抗体を結合するなど生体物質への親和性をもたせる「ナノ粒子表面修飾法」と,「蛍光輝点解析ソフト」を開発し,細胞やがん組織切片のタンパク質を1粒子ずつカウントする「1粒子蛍光イメージング」に基づいて定量することにも成功している。

コニカミノルタの保有技術

 

●事業展開への展望

コニカミノルタでは,体外診断分野で,2015年7月からナノ蛍光粒子を活用した病理標本作製サービス提供を日本市場で開始し,多くの製薬メーカーや創薬関連企業から好評を得ている。体外診断のサービス事業化を推進する一方で,さらに,今回の共同研究で開発したインビボの基盤技術をもとに,コニカミノルタは,ナノテクノロジー材料技術と画像技術を活用し,製薬の創薬研究の効率と確度を向上させるサービス事業にも参入する予定。当初は,この共同研究の一環として,製薬会社からの受託を受け,顧客の保有する薬の候補薬剤を細胞や動物に投与し,その様子をナノオーダーで観察することで薬効や副作用予測,スクリーニングなどを行う。本技術は,グローバルに多くの製薬メーカーや創薬関連企業から興味を持たれており,臨床試験の成功率向上への寄与に大きな期待が寄せられている。また,現状のPET(陽電子放射断層撮影法)イメージングに代る,ヒトの治験や治療診断におけるがん等疾病の状態を可視化診断する光イメージング造影事業への展開を想定している。

今回の共同研究は,コニカミノルタの新たな蛍光ナノイメージングに関するマテリアル技術が,パスツール研究所,バイオアキシャル社というフランスの先進的研究機関によって高く評価されたことで実現できたものと考えている。

*本研究の一部は,国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「国際研究開発・実証プロジェクト/コファンド事業/フランスBpifranceとの国際研究開発・実証事業」プロジェクトの委託を受けている。

 

●問い合わせ先
コニカミノルタ(株)広報グループ
TEL 03-6250-2100
http://www.konicaminolta.jp

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