コニカミノルタ,「X線動態」を用いた独自の心臓弁逆流評価手法に関する研究成果が九州大学より発表
ファロー四徴症の術後評価の負担軽減や効率化に期待

2026-6-29

X線装置

コニカミノルタ


コニカミノルタ(株)(以下 コニカミノルタ)は,九州大学病院放射線部の山崎誘三助教,九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学分野の石神康生教授,九州大学病院総合周産期母子医療センターの山村健一郎准教授,循環器内科の坂本一郎特任助教(研究当時)らの研究グループが,コニカミノルタの「X線動態」を活用して,肺動脈弁逆流の重症度を簡便かつ迅速に定量評価できる手法を開発したことを発表した。この評価手法は,ファロー四徴症の術後評価の負担軽減と効率化が期待できる。また,この研究成果は放射線科領域で世界的に権威ある学術雑誌である「Radiology」に掲載された。本研究グループにはコニカミノルタも参加している。

【研究の背景】

ファロー四徴症は最も頻度の高いチアノーゼ性先天性心疾患である。治療のためには一般的に心臓手術が必要になる。現在では多くの患者が手術により成人期を迎えているが,術後に合併症として肺動脈弁逆流が起きることが多く見られ,重症化すると右心不全や不整脈のリスクが高まるため,生涯にわたる経過観察と適切なタイミングでの肺動脈弁置換術が必要である。
現在,肺動脈弁逆流の定量評価には心臓MRI検査が標準とされているが,検査可能な施設が限られていることに加え,高度な専門知識を持つ検査者・読影者が必要であり,検査コストが高いことや,閉所恐怖症の患者やペースメーカーを装着した患者には検査が困難であるという課題があった。また,もう一つの評価手法である心臓超音波検査は簡便で広く利用可能である一方で,術後の解剖学的変化により画質不良となることが多く,定性的評価にとどまるため重症度判定の信頼性に限界がある。
このような背景から,心臓MRI検査と心臓超音波検査の課題を克服する,簡便かつ定量的な評価法の開発が求められている。

【研究の内容と成果】

本研究では,「X線動態」で得られる肺動脈の画素値変化を「波形」として抽出・解析する新しいアプローチにより,肺動脈弁逆流の重症度を定量評価する手法を開発した。ファロー四徴症術後患者58名と健常ボランティア14名を対象とした検証では,本評価手法により得られる指標(Max PV slope)は心臓MRI検査で測定した逆流率と高い相関(R=0.87)を示した。さらに,重症肺動脈弁逆流(逆流率>30%)の検出において,感度93%,特異度94%,診断精度93%,AUC 0.98という診断能を達成した。
本評価手法は心臓超音波検査で重症度判定が困難な症例において,心臓MRI検査の必要性を判断する簡便かつ患者への負担が少ないスクリーニング検査として機能することが期待される。また,閉所恐怖症やペースメーカーの装着により心臓MRI検査が施行できない患者の代替検査としても期待されている。
成人先天性心疾患患者は世界的に増加している一方で,地方や医療資源の限られた地域では専門的な心臓MRI検査へのアクセスが制限されている。本評価手法の普及により,こうした医療格差の是正にも貢献できると期待される。
本研究の成果は放射線科領域で世界的に権威ある学術雑誌である「Radiology」に掲載された。「X線動態」を用いた新たな評価手法の有用性・価値が示されたものと考えている。

【X線動態(DDR:Dynamic Digital Radiography)とは】

「X線動態」は,X線で撮影した連続画像を高速に取得し,臓器などの動きを動画として可視化できるコニカミノルタ独自のX線撮影技術である。呼吸や心拍,関節の動きなどを詳細に観察することができるため,診断に有用な情報を静止画よりも多く提供する。胸部単純X線画像の正面・側面2枚分程度の線量で動的情報を取得できる点も大きな特長である。
さらに,高度な画像処理・解析モードを備えており,単なる動画表示にとどまらない機能的評価により,従来の単純X線撮影では得られない機能情報を視覚化・解析することができる。

【論文情報】

掲載誌:Radiology
タイトル:Novel Dynamic Chest Radiography Technique for Assessing Pulmonary Regurgitation in Repaired Tetralogy of Fallot
著者名:Yuzo Yamasaki, Koji Sagiyama, Tomoyuki Hida, Takuya Hino, Megumi Ikeda, Kosuke Tabata, Daisuke Toyomura, Kenichiro Yamamura, Ichiro Sakamoto, Masateru Kawakubo, Ryoichi Watanabe, Hidetake Yabuuchi, Hyemoon Chung, Jongmin Lee, Kousei Ishigami.
DOI:10.1148/radiol.252344

※ファロー四徴症(Tetralogy of Fallot)は,心室中隔欠損,肺動脈狭窄,大動脈騎乗,右室肥大の4つの特徴を持つ先天性心疾患である。チアノーゼ性先天性心疾患の中で最も頻度が高く,出生約3,500人に1人程度の割合で発生する。

「X線動態」は,コニカミノルタ(株)の商標または登録商標。

 

●問い合わせ先
コニカミノルタ(株)
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/index.html

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