ITEM2026 フィリップス・ジャパン ブースレポート
世界初のAI搭載マルチエナジースペクトラルCT「Verida」など革新的なソリューションで医療の課題解決に挑む
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2026-4-30
フィリップス・ジャパンブース
フィリップス・ジャパンは,製品・ソリューション・サービスの提供を通じて「Better care for more people(より良いケアをより多くの人へ)」の実現をめざしている。ITEM 2026でもMRIやCTをはじめとした最新のソリューションを多数展示し,これらがどのように医療現場の課題解決に貢献するかという切り口で紹介した。
プレス向けに行われたブースツアーでは,3月1日付で代表取締役社長に就任した安部美佐子氏が挨拶した。日本国内での事業展開についてコメントした安部社長は,「日本市場に適したソリューションを提供していくことを目標の一つとしている。日本国内にまだ導入されていない製品やサービスも,カスタマイゼーションやサードパーティとの協業を通じて日本に合った形で提供することに努め,今後も日本の医療に貢献していきたい」と述べた。また,今年も海外からエグゼクティブが来日し,視察や国内顧客とのミーティングに臨んだ。フィリップスでは,このような機会を通して日本からのフィードバックを得ることに重点を置いており,得られた声や要望は製品開発に生かされている。
ブースでは,世界初のAI搭載マルチエナジースペクトラルCTである新製品「Verida(ヴェリーダ)」やヘリウムフリーMRI「BlueSeal」シリーズの新製品,新型超音波画像診断装置「Flash 5100 POC」をITEM初展示し,来場者の注目を浴びた。このほか,Image Guided Therapy(IGT)やヘルスケアITでも,医療の現場が直面する課題をいかに解決するかにフォーカスを当てた展示が行われた。
3月1日付で就任した安部美佐子代表取締役社長
●CT:Smart, Simple, Spectralな検査を実現するAI統合マルチエナジースペクトラルCT「Verida」
●MRI:1.5TヘリウムフリーMRI「BlueSeal」シリーズのラインアップが拡充
●超音波:POC向けの新製品「Flash 5100 POC」が登場
●ヘルスケアIT:心機能解析の労力・時間を削減し働き方改革を支援する「MR Cardiac Suite」
●Image Guided Therapy(IGT):効率的なワークフローでインターベンションの需要増大に応える「Azurion」プラットフォーム
●CT:Smart, Simple, Spectralな検査を実現するAI統合マルチエナジースペクトラルCT「Verida」
CTの新製品「Verida」は,2層検出器を搭載したマルチエナジースペクトラルCTとして世界で初めてイメージングチェーン(撮影から画像再構成に至る画像取得)の工程にAIを統合した装置である。フィリップス独自のマルチエナジースペクトラルCTは,2層構造の検出器で高・低エネルギー成分のX線を検出することで,ミスレジストレーションのない画像を取得し,全例でレトロスペクティブにスペクトラル画像を得られるCT装置で,2016年に第一世代,2021年に第二世代を発表し,進化を続けてきた。
今回発売されたVeridaは,検出器がAI画像再構成に最適化した第三世代の「Nano Panel Prism Precise detector」へと進化。「Smart. Simple. Spectral.」をコンセプトに,高速・高画質・低被ばくな撮影,高いスループット,全検査でのスペクトラル解析を提供することで,医療従事者の負担軽減や,安全で高品質な検査の実現をめざして開発された。
画像再構成においては,Multi-pass AIアルゴリズムを用いたAI画像再構成「Spectral Precise Image」によりコントラスト向上とノイズ低減を実現している。Multi-pass AIアルゴリズムでは2つのCNN(畳み込みニューラルネットワーク)が組み込まれ,1st passで解剖学的構造とノイズ成分に分離し,ノイズ成分を補正,その補正されたノイズ成分を解剖学的構造に付与して2nd passで最終画像を生成することで,より精度の高いノイズ除去,自然な質感のスペクトラル画像の生成を可能にしている。画像再構成は,最大毎秒145枚の高速再構成により検査終了後30秒以内に画像を表示でき,スループット向上を支援する。ブースでは患者アウトカムの向上にフォーカスした展示を行い,医療課題となっている膵臓がんの早期発見や心不全パンデミックにおけるSpectral Precise Imageのメリットを臨床画像とともに紹介した。膵臓がんや肝細胞がんでは1mmスライスでも高画質画像を得られることや,心臓CTではAI技術を応用した「Precise Cardiac」を併用することで,高心拍例でもブレのない画像を得られることをアピールした。
「Smart. Simple. Spectral.」がコンセプトの世界初AI統合マルチエナジースペクトラルCT「Verida」
第三世代の「Nano Panel Prism Precise detector」を展示
AI画像再構成「Spectral Precise Image」による膵がんの1mmスライススペクトラル画像
Spectral Precise Imageと「Precise Cardiac」の併用で高心拍症例の冠動脈の描出が向上
●MRI:1.5TヘリウムフリーMRI「BlueSeal」シリーズのラインアップが拡充
MRIでは,1.5TヘリウムフリーMRI「BlueSeal」シリーズの拡充がアナウンスされた。BlueSeal は,7Lの液体ヘリウムで超電導状態を維持する「BlueSealマグネット」を搭載した70cmワイドボアの1.5T MRIシステムで,液体ヘリウムを密閉封入しているため補充が不要で,クエンチパイプもなく設置の自由度が高いことが特長である。7Lの液体ヘリウムを使用することで,最大4時間の停電状態での磁場耐久性を実現しており,電力ひっ迫時に計画停電(通常3時間程度)が行われた場合にも,通電後すぐに検査が可能である。
今回,マグネットの名称を冠した「BlueSeal」シリーズが「BlueSeal XE」と「BlueSeal QE」の2機種となった。BlueSeal XEは,使用金属量を最適化した新設計の「Efficient Shield Cryostat」により高い傾斜磁場強度(46mT/m,225mT/m/ms)を実現し,確信度の高い診断を追求したフラッグシップモデル。一方,BlueSeal QEは,軽量でフレキシブルなコイルセッティングが可能な「Smart Fit Coil」に対応し,ワークフロー向上を重視したモデルとなる。いずれのモデルにも,高速化と高画質化を両立するDual AIエンジン「SmartSpeed Precise」や,検査ワークフローを向上させる自動化支援機能「SmartExam」を搭載している。SmartExamでは心臓検査に拡張した「SmartHeart」が新たに登場し,SmartSpeed AIを併用した高画質なサーベイランスから,AIによるスライス断面の自動設定,ワンタッチでのスキャンなどが可能になった。プランニングではSCMR準拠を含む14断面の自動設定に加え,関心領域やナビゲーターエコー,心臓に合わせたスタック幅の設定もAIにより自動化されており,複雑な心臓MRI検査におけるオペレータの負担軽減,再現性の向上に貢献する。
心臓領域ではクリニカルアプリケーションも追加された。呼吸同期技術併用の自由呼吸下心臓シネ「Cine FreeBreathing」や非剛体レジストレーションによる動き補正の「Cardiac Motion Correction」,定量撮像と専用解析ソフトウエアによる解析で心筋パーフュージョンを定量化する「CardiacQuant Perfusion」などの活用により,息止め困難な患者においても心臓MRIのデータ収集の安定性を高め,より精度の高い定量化や解析を支援する。
製品ラインアップが拡充したヘリウムフリーMRI「BlueSeal」シリーズ
Dual AIエンジン「SmartSpeed Precise」では高速撮像と高画質化を両立
心臓MRIのクリニカルアプリケーションを追加
●超音波:POC向けの新製品「Flash 5100 POC」が登場
超音波診断装置では,新製品の「Flash 5100 POC」やITEM2025で発表した「EPIQ Elite Elevate」を展示した。ITEM初披露となった「Flash 5100 POC」はポイントオブケア(POC)領域に最適化した装置で,高い操作性・画像品質・堅牢性を有し,救急や重症病棟,麻酔科などを主なターゲットに提供していく。21.5インチの縦型タッチパネルデイスプレイと,トラックパッドと最小限のボタンだけのシンプルなコントロールパネルで構成されており,トレースや計測なども含めてタブレット端末のような直観的な操作性が特長である。国内販売向けに日本語表示のローカライズがなされていることに加え,次に操作可能なボタンが強調表示されるガイダンス機能(ネクストステップガイダンス)も搭載され,超音波検査に不慣れなスタッフでも使いやすい工夫がなされている。縦型タッチパネルデイスプレイはアンチグレアで,ベッドサイドでも反射を抑制して見やすい画面表示を実現している。重量はバッテリー込みで56.6kgと軽量だ。
据置型上位機種から単結晶トランスデューサやアプリケーションを継承しており,POC検査においても質の高い画質の取得を支援する。トランスデューサは,S5-1セクタやL12-3リニア,C6-2コンベックスなどに加え,超高周波マイクロリニア(mL26-8)や2Dの経食道トランスデューサも使用可能で,幅広い領域をカバーする。検査時には,画面上でトランスデューサを選ぶだけで条件がプリセットされ,簡便に使用できる。
縦型タッチパネルデイスプレイを搭載した超音波診断装置
「Flash 5100 POC」
タッチパネルデイスプレイとコントロールパネルで直観的に操作可能
UIは国内向けにローカライズされている
ガイダンス機能(ネクストステップガイダンス)が搭載され,超音波検査に不慣れなスタッフにも使いやすい
EPIQ Elite Elevateは,高画質と操作性,高度な自動化技術により,検査者依存性を抑え,検査の質の向上・均質化を図ったユニバーサル・プレミアム装置である。展示では,脂肪肝の病期進行を予防するための早期スクリーニング診断に貢献する機能を中心に紹介した。肝線維化の自動定量評価アプリケーション「Auto ElastQ」は,フレーム選択やROI設定,計測を自動化することで,検査時間を約60%短縮し,検査者によるバラツキを軽減することをアピールした。
「EPIQ Elite Elevate」の「Auto ElastQ」では肝臓の線維化評価の計測を自動化
●ヘルスケアIT:心機能解析の労力・時間を削減し働き方改革を支援する「MR Cardiac Suite」
ヘルスケアITの展示では,2024〜2025年にかけてリニューアルした画像解析ワークステーション「Advanced Visualization Workspace 15」のデモンストレーションを行い,心臓MRI解析アプリケーション「MR Cardiac Suite」などを紹介した。MR Cardiac Suiteでは,データを受け取るとバックグラウンドで自動的に心筋(LV/RV)トレースが実行され,トレース結果はほかのシリーズの解析に引き継がれるため,画像解析にかかる労力と時間を大幅に削減することができる。自動トレースではAIに加えてmodel based fittingを用いることで,より精度の高いトレースが可能となっており,トレースの修正作業が少なくすむため,アプリケーションを起動してすぐに解析に入ることができる。解析者によるバイアスを除外できることも利点となる。解析では,遅延造影やT1/T2/T2* マッピング解析,パーフュージョン解析などのアプリを選択すると,多くの画像の中から解析に必要な画像が自動でビューワに読み込まれ,スムーズに解析を行うことができる。また,循環器解析のすべての結果を1画面に集約して参照できるダッシュボード機能も搭載している。近年,ファブリー病や心アミロイドーシス,心不全などの心臓病の新薬が発売され,疾患の診断,治療適応の判断においてマッピング解析が重要となることから,治療に直結するソリューションとして,また,医療従事者の働き方改革に貢献するソリューションとして提案した。
トレースが自動化された心臓MRI解析アプリケーション「MR Cardiac Suite」
解析結果が1画面で表示され読影効率の向上を支援
頭部領域のソリューションとしては,「Longitudinal Brain Imaging(LoBI)」を紹介した。LoBIは,2D/3D,FLAIR,T1,T2,ADC,DWI,SWIで活用可能な機能を備えた包括的アプリケーションで,神経変性疾患や腫瘍などのMR所見の経時変化を視覚的・定量的に解析することができる。2025年に正式公開された多発硬化症(MS)の診断基準では,白質病変におけるCentral Vein Sign(CVS)の存在が診断の補助的証拠として明記され,特に6個以上のCVS要請病変がある場合はMSの早期診断が可能であるとされた。LoBIでは,3D SWIと3D FLAIRからFLAIR* Imageを自動生成でき,1.5T MR装置においてもCVSの描出精度の向上が期待される。
FLAIR* Imageを自動生成が可能な「Longitudinal Brain Imaging(LoBI)」
●Image Guided Therapy(IGT):効率的なワークフローでインターベンションの需要増大に応える「Azurion」プラットフォーム
IGTブースでは,血管撮影の次世代プラットフォーム「Azurion」とFPD搭載のモバイルCアーム「Zenition 30」の展示が行われた。
シミュレータによる展示を行ったAzurionは,効率的なワークフローや造影剤量・被ばく線量低減に貢献することを紹介した。高齢化が進行する日本では心不全パンデミックの到来が予測されるが,Azurionはワンストップであらゆる操作を直観的に行えるユーザーインターフェイスにより,インターベンション需要の高まりに対応する。ベッドサイドに設置された「Touch Screen Module Pro」では,術者自身がタブレット端末を操作する感覚で簡単に画像の操作・解析ができること加え,iFRやFFRなどの生理学的指標,IVUSなど室内の周辺機器の情報を統合するイメージングシステム「IntraSight」の操作も可能で,ベッドサイドから移動することなく,必要な操作や情報の参照が可能となっている。これにより手技中のスタッフの移動を最小限に抑えることができ,手技時間の短縮やスタッフの負担軽減につながる。第三者機関による検証では,Azurionの導入により手技時間を17%短縮,手技後の患者退出までの時間を28%短縮,1日に治療できる患者数を1人増加などのワークフロー改善が示されている。
また,インターベンションでは,造影剤腎症や造影剤脳症などの合併症リスクを低減するため,造影剤使用の低減や最適化が求められる。「Diluted Contrast DSA」モードでは5〜10倍希釈の造影剤でも原液造影剤と同等の血管描出が得ることができる。また,他モダリティと透視像のフュージョンにより,造影や被ばくを抑制するアプリケーションも提案した。「EchoNavigator」は,超音波診断装置「EPIQ CVxi」のエコー画像と透視像をリアルタイムにフュージョンすることで,TAVIなどのSHD治療手技を支援する。最新モデルのR4では,三次元の解剖学的モデルを透視像に重ね合わせることができ,学習ツールや手技中のガイドとして活用されている。「VesselNavigator」は術前のCTやMRIの画像を透視像にフュージョンすることで,ライブイメージガイダンスとして活用でき,手技中の造影剤使用を大幅に低減できる。位置合わせは透視2方向で可能なため,CBCT撮影が不要で被ばくも低減でき,低侵襲化を推進する。
インターフェイスを操作可能なシミュレータで紹介した「Azurion」
ベッドサイドで画像の操作・解析が可能な「Touch Screen Module Pro」
10倍希釈の造影剤でも血管の視認性を保ち造影剤量を低減
「EchoNavigator R4」では三次元解剖学的モデルの重ね合わせ表示が可能に
●お問い合わせ先
社名:株式会社フィリップス・ジャパン
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