RSNA2025 Siemens Healthineers - CT
フォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha class」の能力を最大限に引き出す人工知能(AI)ソフトウエアの開発に注力
2025-12-2
PCD-CTの最上位機種であるDual Sourceの
「NAEOTOM Alpha.Peak」
Siemens Healthineersは,2021年にフォトンカウンティングCT(PCD-CT)「NAEOTOM Alpha」を発表し,2024年にはPCD-CTのラインアップを拡大し「NAEOTOM Alpha class」として3機種を販売している。さらには,2040年までにSiemens Healthineersのすべての販売するCT装置をPCD-CTにするというビジョンを掲げるなど,PCD-CTの開発においては卓越した成果を出し続けている。そんなSiemens Healthineersが今回のRSNAで見せたのは,PCD-CTが最大限活用される世界に,さらに一歩近づくためのAIの活用である。
PCD-CTでSingle Sourceの「NAEOTOM Alpha.Prime」は,バリアン社の肝臓のアブレーションシステム(写真右端:日本未発売)や超音波(写真左端のモニタ)とも連携可能
NAEOTOM Alpha classは,全世界の35か国以上で稼働しており,この4年間で約250万人の患者の診断に貢献したほか,1000編以上の査読ずみ科学論文が報告されている。これまで積み重ねられてきた実績や得られた高精度かつ情報量の多いデータをAIアルゴリズムの開発に活用し,生産性の向上や治療との連携を図るなど,臨床で日常的に,効率的に使用できる環境を構築することが大きなねらいだ。
その一例として,「syngo.CT Coronary Cockpit」(W.I.P.)が紹介された。syngo.CT Coronary Cockpitでは,冠動脈全体の主要血管と分枝のラベリングや,中心線に沿った冠動脈内腔と外膜側のセグメンテーション,プラークの可視化・定量化など,経皮的冠動脈形成術(PCI)をガイドするデータ解析が自動化されており,さらには得られた解析結果が血管撮影装置側のソフトウエア(W.I.P.)に自動で送信されるなど,モダリティを超えたシームレスな連携が図られている。syngo.CT Coronary Cockpitで得られたデータから,プラークの破綻しやすさといったリスクの評価や,石灰化病変の把握が可能となり,PCIの手技を支援するほか,解析処理に要する時間の大幅な短縮が可能になる。
PCIを支援する「syngo.CT Coronary Cockpit」(W.I.P.)
また,撮影を支えるAIの機能として,「myExam Companion」が紹介された。これは,患者情報や検査目的に合わせた最適な検査プロトコールを自動で作成するほか,検査後には必要な画像や解析結果を自動で作成し診断医に転送するもので,検査者の経験や技量に依存しない一貫性のある検査を可能とする。このほか,NAEOTOM Alpha classでは,MPRやCPRなどの画像作成や,スペクトラル解析など,従来はワークステーションで行っていた作業がすべてコンソールで自動化されており,ワークフローの改善や読影効率および質の向上に貢献している。ブースでは,実際の貢献度を示すグラフが提示された。
「myExam Companion」によって経験に依存しない一貫した検査を実現
NAEOTOM Alphaではさまざまな自動化機能により,読影効率や質の向上に貢献
なお,PCD-CTのうち,今回のRSNAでは最上位機種であるDual Sourceの「NAEOTOM Alpha.Peak」と,Single Sourceの「NAEOTOM Alpha.Prime」の2機種が展示された。NAEOTOM Alpha.Peakは,検出器幅:2×6cm,撮影速度:737mm/s,時間分解能:66msを実現。また,NAEOTOM Alpha.Primeは,検出器幅:1×6cm,撮影速度:345cm/s,時間分解能:125msで,上位機種で得られる画質や機能は維持しつつ,導入しやすい普及機として開発された。NAEOTOM Alpha.Primeでは,グループ企業であるバリアン社の肝臓のアブレーション用の装置や超音波診断装置と連携するソフトウエアなども紹介された(日本での展開は未定)。
さらに,今回展示はされなかったが,2025年11月には,PCD-CTの新製品として,放射線治療計画支援機能を追加した「NAEOTOM Alpha.Prime for RT」がリリースされており,今後,PCD-CTの新たな展開が期待される。
これらのほか,RSNA2024で発表された32スライスの頭部専用のモバイルCT「SOMATOM On.site」(薬機法未承認)が展示され,ICUモデルに加えて,救急車両で使用するMSUモデルが追加されたことがすでに報告されており,据置型のCTと遜色のない高画質を得ることができる。
32スライスの頭部専用のモバイルCT「SOMATOM On.site」(薬機法未承認)
