RSNA2025 Siemens Healthineers - MRI 
ヘリウムフリーのMRIとして,新たに0.55Tの「MAGNETOM Free.XL」と,1.5T MRIの最上位機種「MAGNETOM Flow.Elite」の2機種が登場

2025-12-2

シーメンスヘルスケア

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ヘリウムフリーの0.55T MRIの新製品「MAGNETOM Free.XL」

ヘリウムフリーの0.55T MRIの新製品
「MAGNETOM Free.XL」

Siemens Healthineersは,密閉型ドライマグネットと独自の冷却技術である「DryCool technology」を搭載したヘリウムフリーMRIとして,0.55Tの「MAGNETOM Free.XL」と,1.5T MRIの最上位機種「MAGNETOM Flow.Elite」の2機種を新たに発表した。

MAGNETOM Free.XLは,「MAGNETOM Free.Star」,「MAGNETOM Free.Max」と同様にFreeプラットフォームを採用しており,低磁場装置でありながら1.5T MRIに近い高画質を実現している。最大の特徴は,ガントリ開口径が,前面は100cm,中心部は80cmと広い設計となっていることで,IVR対応の装置として紹介された。
従来,IVRにおいては超音波やCTガイド下に手技を行うことが一般的であるが,MRIは組織コントラストが良好なことに加え,被ばくがなく,非造影で撮像できるという利点がある。特に,肝臓や骨軟部の腫瘍など,CTでコントラストがつきにくい病変ではMRIの有用性が高いことから,MAGNETOM Free.XLの製品化に至った。
通常,MRIガイド下に穿刺を行う際には,穿刺針による金属アーチファクトが問題となる。そこで,Siemens Healthineersは,手術器具や血管内治療用のデバイスなどを提供するクックメディカルとコラボレーションし,0.55T MRIに対応した穿刺針を開発した。また,テーブルは,術中MRIで使用される脱着式の「Nexaris」が採用されている。さらに,IVR手技中のリアルタイムイメージングでは強力なグラジエントが求められるため,MAGNETOM Free.XLでは新たに,XL Gradientシステムが搭載された。それにより、心臓MRIの撮像にも新たに対応する。

MAGNETOM Flow.Eliteは,日本では2025年11月に販売が開始されている。開口径70cmのワイドボアを採用し,AIを活用したさまざまな機能や,新設計のブランケットコイル「BioMatrix Contour coils」と音響システムなどが特徴となっている。
BioMatrix Contour coilsは,柔軟かつ軽量な素材で作られており,患者の負担を軽減することができる。サイズはS,M,L,XLの4種類が用意されているが,これらのうちXLサイズのコイルは1枚で90センチをカバーできるため,近年,需要が高まっている全身MRIでの有用性が大きい。また,MRIの撮像時に発生する熱を逃がすために,XLサイズのコイルには複数の穴が空いていることも特長である。また,コイルにはいずれも,心拍同期撮像を支援する「BioMatrix Beat Sensor」,呼吸同期撮像を支援する「BioMatrix Respiratory Sensor」,ポジショニングを支援する「BioMatrix Position Sensor」などのセンシング技術が搭載されている。これらのうち,BioMatrix Position Sensorでは,内蔵されたコイルの位置情報をGPSのような機能によって自動認識する。ボディモデルを学習したAI「Select&GO」と組み合わせることで,1回のタッチ操作で全身の撮像ポジショニングを完了するため,セッティングを大幅に簡略化することができる。

1.5T MRIの最上位機種「MAGNETOM Flow.Elite」

1.5T MRIの最上位機種「MAGNETOM Flow.Elite」

 

90cmの範囲をカバーできるXLサイズのブランケットコイル

90cmの範囲をカバーできるXLサイズのブランケットコイル

 

心拍同期撮像を支援する「BioMatrix Beat Sensor」

心拍同期撮像を支援する「BioMatrix Beat Sensor」

 

さらに,MAGNETOM Flow.Eliteの特徴的な新技術として,「ComfortSound」が紹介された。これは,音響システムをヘッドコイルに搭載したもの。ヘッドホンは使用せず,専用のクッションを両耳の脇に置くことで,頭部をしっかりと固定しつつ,撮像音や環境音を低減し,同時に音楽やオペレータの声を非常にクリアに聞けるようになる。

ワイヤレスの音響システムをヘッドコイルに搭載した「Comfort Sound」

ワイヤレスの音響システムをヘッドコイルに搭載した「Comfort Sound」

 

これらのほか,AIの技術として,画像再構成技術「Deep Resolve」が2D撮像に加えて3D撮像に対応したことや,心臓撮像における断面設定の自動化技術「myExam Cardiac Assist」,心臓の撮像位置設定や撮像条件設定の自動化などを包括した「AutoMate Cardiac」,呼吸による動き補正技術「HeartFreeze」など,心臓検査を支援する機能などが紹介された。

心臓撮像における断面設定の自動化技術「myExam Cardiac Assist」

心臓撮像における断面設定の自動化技術「myExam Cardiac Assist」

 

心臓の撮像位置設定や撮像条件設定の自動化などを包括した「AutoMate Cardiac」

心臓の撮像位置設定や撮像条件設定の自動化などを包括した「AutoMate Cardiac」

 

呼吸による動き補正技術「HeartFreeze」

呼吸による動き補正技術「HeartFreeze」

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