富士フイルム,X線撮影業務の現場を“スマート”に変革する新しいカセッテDRを発売

2014-11-26

富士フイルム

X線装置


カセッテDRの新ラインナップ「CALNEO Smart」

カセッテDRの新ラインナップ「CALNEO Smart」

富士フイルム(株)は,高画質・低線量と軽量化とユーザビリティの向上を両立した新しいDR方式カセッテサイズデジタルX線装置(以下,カセッテDR)「CALNEO Smart」の発売にあたって,2014年11月25日(火)に記者向け新製品発表会を東京ミッドタウンで開催した。

CALNEO Smartは,CRに比べて1/4の線量での撮影が可能になっているほか,シェルデザインの採用などでX線撮影業務をトータルに“革新”するカセッテDR(ワイヤレスFPD)の新ラインナップで,富士フイルムメディカルが販売する。パネルはGOS(ガドリニウムオキサイドサルファ)とCsI(ヨウ化セシウム)の2種類から選べ,サイズも14×17,17×17インチが提供される。

会見では最初に,富士フイルム執行役員メディカルシステム事業部長の後藤禎一氏が,「メディカルシステム事業の位置づけと,拡大するカセッテDRマーケット」について説明し,メディカルシステム事業については2016年度までに現在の売上高3820億円から,15%プラスの4400億円をめざすとし,同社の成長基盤の1つと位置づけられることを紹介した。今回発売されたCALNEO Smartは,フィルムやCRからの転換,救急や災害医療への対応など今後市場の拡大が予想される領域で,富士フイルムの技術を結集したカセッテDRであり,医療現場での課題を解決し医療の質の向上に寄与できる製品だと述べた。

後藤禎一 氏(メディカルシステム事業部長)

後藤禎一 氏
(メディカルシステム事業部長)

早川利郎 氏(メディカルシステム開発センター長)

早川利郎 氏
(メディカルシステム開発センター長)

佐々木康夫 氏(岩手県立中央病院)

佐々木康夫 氏
(岩手県立中央病院)

 

続いて,執行役員R&D統括本部メディカルシステム開発センター長の早川利郎氏が,CALNEO SmartとVirtual Gridの技術的ポイントを説明した。CALNEO Smartは,1) X線照射面側に光センサーを圧着したIIS(Irradiation Side Sampling)方式,低濃度領域の粒状性を改善した新開発のノイズ低減回路の搭載,そして新しい画像処理ソフトウエア“Virtual Grid”によって,CRに比べて25%の線量で撮影が可能,2) X線撮影室だけでなく,病棟や手術室,救急医療などカセッテDRの用途の拡大に伴う多様性なニーズに対応するため,マグネシウム合金とシェル型フレームの採用で軽量化と堅牢性を両立させ,検査でのハンドリングを向上。バッテリー交換式では世界最軽量の2.6kg(14×17インチ,17×17インチは3.2kg)を実現すると同時に,耐荷重性能310kg,防水規格IPX6準拠など,厳しい使用環境に対応できる堅牢性を保っている。また,新スリープ機能で最長18.5時間の待機を可能にしたほか,最大100枚の画像データを内蔵メモリに保存できるメモリーモード撮影機能など使いやすさを向上する機能を搭載,3) 富士フイルムが独自に開発した高い抗菌性能と持続性を併せ持つ抗菌コート技術「HYDRO AG」をカセッテ全面にコートし表面に付着した汚れが落としやすく,清潔で衛生的な使用が可能などが特長となっている。

抗菌コート技術「HYDRO AG」でパネル全体をコート

抗菌コート技術「HYDRO AG」でパネル全体をコート

 

ドッキングスタンドなど機能的で使いやすいデザインを採用

ドッキングスタンドなど機能的で使いやすい
デザインを採用

シェルデザインによってエッジ部分がハンドリングしやすいラウンド形状となっている。

シェルデザインによって
エッジ部分がハンドリングしやすい
ラウンド形状となっている。

 

早川氏はCALNEO Smartについて,「iPhoneやiPadが生活を変えたように,多忙で繁雑な作業の多いX線撮影現場を“スマート”に変革することを1つのコンセプトに開発を行った。これまで難しかったカセッテDRの課題を富士フイルムの技術開発によって解決することができた」と述べた。

最後に,岩手県立中央病院副病院長で中央放射線部長の佐々木康夫氏が,「最先端のグリッドがもたらす臨床効果」を講演した。Virtual Gridは,散乱線の画像成分の推定技術を用いて画像処理を行うことで,グリッドを使わずに散乱線の影響を除去し,画質を向上する画像処理ソフトウェア。金属製のグリッドを使わずに画像処理によって,画像コントラストと粒状性を向上でき,撮影業務の効率化や診断能の向上が期待できる。佐々木氏は,X線撮影におけるグリッドの役割と撮影における課題,Virtual Gridを用いた今後の期待について述べ,「Virtual Gridでは,診断精度の高い画像の取得,診療放射線技師の撮影時の負担軽減,また低線量での撮影によって被ばく低減が期待できる。この技術革新によって,今後新たな画像診断の可能性が広がることが期待される」と述べた。

 

●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
マーケティング部
TEL 03-6419-8033
http://fms.fujifilm.co.jp/

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