被ばく低減をめざす,第1回小児心臓CTスキルアップセミナーを開催

2020-2-3

CT

医療被ばく


会場風景

会場風景

日本小児心臓CTアライアンス主催の第1回「小児心臓CTスキルアップセミナー」が2020年2月2日(日),東京大学医学部附属病院新中央診療棟7階大会議室で開催された。日本小児心臓CTアライアンスは,2019年9月に設立された国内の小児心臓CTの被ばくや撮像法の最適化を目的とする組織で,前田恵理子氏(東京大学医学部附属病院放射線科)が代表を務める。小児心臓CTにおける各地域の代表的先進施設の放射線科医をはじめ,専門知識を持つ診療放射線技師,研究者が中心となり,質の高い小児心臓CTの普及・啓発活動を目標としている。今回はその活動の第一弾として,小児心臓CTスキルアップセミナーを開催した。当日は,全国各地から放射線科医,小児科医,診療放射線技師など約70名が参加。第1部の専門医による先天性心疾患の講演に始まり,第2部の撮影実習,第3部の読影実習まで,終日のプログラムが組まれた。

冒頭,開会の挨拶に立った前田恵理子代表は,小児心臓検査はアジア圏ではMRIよりCTの方が優先されることが多いが,国内の小児心臓CTの実効線量(mSv)は0.3 mSvから21.3 mSvまでと71倍もの差があり,施設間のバラツキが非常に大きいと指摘。今回のようなスキルアップセミナーなどの啓発活動を通じて小児心臓CT被ばくの適正化を図り,技術革新をALARAに反映させる意識改革の必要性を強調した。

司会:今井瑠美 氏(成育医療研究センター)

司会:今井瑠美 氏
(成育医療研究センター)

代表:前田恵理子 氏(東京大学/日本小児心臓CTアライアンス)

代表:前田恵理子 氏
(東京大学/日本小児心臓CTアライアンス)

 

 

プログラム第1部の「先天性心疾患の理解」では,東京大学医学部附属病院の小児科と心臓外科の医師によるレクチャーが行われた。まず,同院小児科講師の犬塚亮氏が,「先天性心疾患の診断と小児科医がCTに求めること」をテーマに講演。心臓CTの役割は,心外構造・心内構造の把握,胸骨と心臓の関係の把握,気管形態・気道狭窄の把握であり,主に外科手術の術前検査を担うとした。近年,心臓CTデータによる3Dプリンティングの進歩も著しく,心臓カテーテル検査では主に血流の測定や血行動態の定量化などの機能評価が行われ,形態評価の側面はCTに置き換わりつつあると述べた。先天性心疾患の診断名の考え方や病態,血行動態の考え方,治療法の考え方など,心臓CTを施行する上で必要な知識について,画像とシェーマを駆使して解説。それらを把握して,撮影条件や造影剤投与ルート・タイミング・鎮静方法を決定する必要があると述べた。
次に,同院心臓外科准教授の平田康隆氏が,「先天性心疾患の代表的な治療手技と術後CT」をテーマに講演。二心室と単心室に対する手術に分類し,それぞれの多くの術式をシェーマを用いて詳述した。術後,心臓外科医はCTで何を見たいかについては,心外病変(吻合部の狭窄や開存)を挙げ,BTシャント,動脈スイッチ術,総肺静脈還流異常手術,グレン手術,フォンタン手術,ノーウッド手術について具体的に解説した。特に,グレン,フォンタン循環の場合は静注部位により撮影タイミングが通常とは異なるので注意が必要と述べた。先天性心疾患の複雑な病態と術式を理解・把握した上での心臓CTが求められるため,放射線科とのコミュニケーションがきわめて重要と言える。

犬塚 亮 氏(東京大学)

犬塚 亮 氏
(東京大学)

平田康隆 氏(東京大学)

平田康隆 氏
(東京大学)

 

 

第1部終了後の昼食の時間には,協力会社であるキヤノンメディカルシステムズ社の鳥越留美子氏から,RSNA2019における同社展示内容の報告があった。

鳥越留美子 氏(キヤノンメディカルシステムズ)

鳥越留美子 氏
(キヤノンメディカルシステムズ)

   

 

第2部「撮影の基本と撮影実習」,第3部「読影実習」は,参加者を6班に分けて実施された。
第2部では,前田氏が「小児CTの被ばく低減」をテーマに,多くのデータや統計を示しつつ,放射線感受性が高い乳幼児の生涯癌発症リスクを50万人に1人以下の無視できるリスクまでもっていきたいと述べた。
続いて,東京大学医学部附属病院放射線部の井野賢司氏が,「低線量・低侵襲撮影のコツ」と題して,同院の小児心臓CT撮影方法を紹介した。具体的には,Aquilion ONE/ViSION FIRST Edition(キヤノンメディカルシステムズ)により回転速度:0.275 s,管電圧:80 kV,管電流:SD 40(FC03 ,5 mm厚),ECG同期volume撮像,Target CTA@40%,1 beat, 0.275 s,造影剤:イオヘキソール300,2 mL/kg,FIRST(Cardiac str)再構成で撮影している。その後,同院で使用しているインジェクタ,模擬心電図,固定具を用いたポジショニング,QC・QA機器については,それぞれの製造・販売企業の協力による実習が6班に分かれて行われた。

井野賢司 氏(東京大学医学部附属病院)

井野賢司 氏
(東京大学医学部附属病院)

   

 

乳幼児用真空固定具(六濤)によるポジショニング

乳幼児用真空固定具(六濤)によるポジショニング

インジェクター(根本杏林堂)の小児モード(20mLシリンジとアダプター)設定

インジェクター(根本杏林堂)の小児モード(20mLシリンジとアダプター)設定

   
模擬心電図(クロノスメディカルデバイス)の設定

模擬心電図(クロノスメディカルデバイス)の設定

放射線診断用QC・QA(東洋メディック)の設定

放射線診断用QC・QA(東洋メディック)の設定

 

第3部の読影実習では,代表的な先天性心疾患のCT画像をスクリーン6台に表示し,日本小児心臓CTアライアンスのメンバーの放射線科医による読影実習が行われた。

2会場,6班に分かれて行われた読影実習(協力:PSP)

2会場,6班に分かれて行われた読影実習
(協力:PSP)

 

 

 

 

第3部の後半には,前田氏による難易度の高い症例の読影実習が行われて閉会となった。小児心臓CTスキルアップセミナーは年2回,各地で開催する予定であり,第2回目は国立循環器病研究センター(大阪)にて今秋,開催される見込みである。

 

●問い合わせ先
日本小児心臓CTアライアンス
http://pediatric-cardiac-ct.kenkyuukai.jp/special/?id=32157

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