GEヘルスケア・ジャパンが「GE Healthcare Japan Edison Seminar 2020 Series 2」を開催
——MR,CT,核医学の最新技術とその臨床応用についてエキスパートが講演

2020-10-5

GEヘルスケア・ジャパン

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MR,CT,MIの3セッションが用意されたGE Healthcare Japan Edison Seminar 2020 Series 2

MR,CT,MIの3セッションが用意された
GE Healthcare Japan Edison Seminar 2020 Series 2

GEヘルスケア・ジャパン(株)は2020年10月3日(土)に,「GE Healthcare Japan Edison Seminar 2020 Series 2」をオンライン形式で開催した。昨年も開催されたEdison Seminarであるが,今回は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のためWebセミナーに変更。9月19日(土)の基調講演とシンポジウムが行われたSeries 1に続き,Series 2では「MR関連セッション」「CT関連セッション」「MI関連セッション」の3セッションが設けられ,それぞれのエキスパートが同社モダリティの最新技術解説とその臨床報告について講演した。

開会に当たって,まず同社代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏が事業戦略を紹介した。「Precision Health実現に向けて」と題したプレゼンテーションで多田社長は,超高齢社会と労働人口減少により,今後,医療従事者のマンパワーが不足すると指摘。医療提供における質と効率の向上,キャパシティ確保の必要性に言及した。そして,COVID-19に対する取り組みとして,病床管理ソリューション,Tele ICU(遠隔モニタリングツール),コンテナ型の簡易CT室「CT in Box」を紹介した。さらに,多田社長は,精密な診断・治療・観察による一人ひとりに合った質の高い医療を効率的に提供するプレシジョン・ヘルスのコンセプトを提示。その実現に向け,パートナシップとプラットフォームによるエコシステムを構築すると述べ,社会共創基盤の必要性を訴えた。

多田荘一郎 氏(代表取締役社長兼CEO)

多田荘一郎 氏(代表取締役社長兼CEO)

 

●MR関連セッション:定量的マルチパラメトリックMRIの基礎から最新動向まで

最初に行われたMR関連セッションでは,京都府立医科大学放射線医学教室教授の山田 惠氏が座長を務め,順天堂大学医学部附属順天堂医院放射線科助手の藤田翔平氏が「定量的マルチパラメトリックMRIがもたらすData-driven画像診断の将来」をテーマに講演した。藤田氏は,定量的指標を用いるData-driven画像診断が従来の画像診断の補完的な役割を果たしうるとして,現状の視覚的評価を主体とした画像診断の課題について,客観性に向上の余地があることを指摘した。その上で,Data-driven画像診断の必要条件として,定量性(quantitative),標準化(standardized),高速性(High-throughput)を挙げて理由を説明した。その上で,藤田氏は,課題を解決する技術として,定量的マルチパラメトリックMRIを紹介。1回のスキャンで複数の定量マップを取得できること,定量的評価が可能なこと,定量マップがあればコントラスト強調画像も作成できることなどの特長を解説した。これを踏まえて,定量的マルチパラメトリックMRIの定量マップから得られたコントラスト強調画像によるVisually-driven,定量的指標を用いたData-drivenを融合した,近い将来の画像診断の姿を示した。さらに,藤田氏は,定量的マルチパラメトリックMRIの技術として,MR fingerprintingとSynthetic MRI(GE社製“MAGiC”)の原理を説明。MAGiCの技術を発展させた3D MAGiCについても症例画像を提示した。このほか,藤田氏は,定量マップからMR angiographyを作成する技術やアルツハイマー病における定量的指標を用いた診断なども解説。そして,定量的マルチパラメトリックMRIの今後の展開について触れ,合成画像のクオリティを向上する技術としてFLAIRに対して深層学習(ディープラーニング)を用いた画像再構成,体動補正技術として3D prospective motion correctionを紹介した。

座長:山田 惠 氏(京都府立医科大学)

座長:山田 惠 氏(京都府立医科大学)

藤田翔平 氏(順天堂大学)

藤田翔平 氏(順天堂大学)

 

●CT関連セッション:深層学習を用いた画像再構成技術の臨床でのメリットとdual energy CTへの適用

続くCT関連セッションでは,浜松医科大学放射線診断学・核医学講座教授の五島 聡氏が座長を務め,三重大学医学部附属病院中央放射線部准教授の市川泰崇氏が「Deep learning画像再構成法(DLIR)の臨床活用と今後の展望」をテーマに講演した。市川氏は,CTの画像再構成法について,FBP法からIR法,そしてディープラーニングを用いた再構成法(DLIR)へと進歩していると述べ,GE社のDLIRの技術である“TrueFidelity Image”の解説をした。DLIRは,FBP法で撮影した高画質画像を教師データとしており,CTから出力された生データに対し学習ずみdeep neural network(DNN)を用いて画像再構成を行う。さらに,市川氏は,DLIR,FBP法,IR法(ハイブリッドIR法)の画質について症例画像を用いて説明した。腹部単純CT,腹部造影CTいずれもDLIRが最もノイズを抑えた画像となり,ハイブリッドIR法との比較検討では,35〜38%のノイズを低減し,CNRも平均61±11%向上しているという結果が得られたという。また,被ばく線量を30%低減した場合でもハイブリッドIR法よりもDLIRの方がノイズを抑えた画像を取得できた。加えて,市川氏は,低線量CTにおけるDLIRについても,FBP法とハイブリッドIR法よりもノイズ低減ができていると述べた。このほか,市川氏は,冠動脈CTでの高解像度モード,低線量小児心臓CT,低線量胸部CTの画像を提示して,DLIRにより被ばく低減を図っても高画質画像を得ることが可能だと述べた。このDLIRは,これまでsingle energy CTのみの適用であったが,dual energy CTでも使用することができるようになった。市川氏は,dual energy CTの症例画像を提示しながら,低Kev画像におけるDLIRによるノイズ低減や物質弁別画像における造影効果判断の精度向上といったメリットを紹介した。また,dual energy CTにおけるDLIRの物理評価結果も示し,ノイズ視覚評価,区間分解能,ヨード密度精度評価において良好な結果が得られ,画質改善にも有用であると説明した。

座長:五島 聡 氏(浜松医科大学)

座長:五島 聡 氏(浜松医科大学)

市川泰崇 氏(三重大学)

市川泰崇 氏(三重大学)

 

●MI関連セッション:治療と治療を融合した“Theranostics”の最新動向や京都大学のRI施設を紹介

MI関連セッションでは,金沢大学医薬保健研究域核医学教授の絹谷清剛氏が座長を務め,京都大学大学院医学研究科放射線医学講座画像診断学・核医学講師の石守崇好氏が,「Theranosticsを志向した分子イメージング—京都大学新RI施設における展望—」をテーマに講演した。石守氏は,まずTheranosticsについて,“therapeutics(治療)”と“diagnostics(診断)”を組み合わせた造語で,両者を融合した治療に役立つ分子イメージング・核医学だと説明。体内で放射線薬剤による照射を行うRI内用療法について,β線,α線の核種や,増加し続けている国内での治療実績を示した。その上で,石森氏は,具体例として甲状腺疾患に対する放射性ヨード内用療法,リンパ腫に対する放射免疫療法,PDG-PET/CTによる悪性リンパ腫の治療効果判定などについて症例画像を交えて解説した。また,2016年に承認されたα線核種である223Raによる去勢抵抗性前立腺がんの骨転移についても紹介した。さらに,石守氏は,腫瘍の分子イメージングと内用療法に関して,ソマトスタチン受容体を発現する神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体放射性核種療法(peptide receptor radionuclide therapy:PRRT)や,前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的とした分子プローブなどを説明した。このほか,石守氏は,2020年4月に新病棟へ移転したRI施設を紹介した。同施設にはGE社製のPET/CT「Discovery IQ」が3台,PET/MRI「Signa PET/MR」が1台,SPECT/CT「NM/CT 870 DR」が1台,「NM/CT 860」が3台導入されている。石守氏はこれらの装置の稼働状況などを説明した上で,講演のまとめとして,薬剤製造や画像診断装置,ソフトウエアの技術の進歩は著しく,最先端の技術を応用した診断・治療の発展が期待されると述べた。

座長:絹谷清剛 氏(金沢大学)

座長:絹谷清剛 氏(金沢大学)

石守崇好 氏(京都大学)

石守崇好 氏(京都大学)

 

MI関連セッション後には,スポンサードセッションとして,ロシュ・ダイアグノスティックス(株)遺伝子診断事業部マーケティング部遺伝子マーケティンググループの三浦俊昭氏が「コロナ禍での結核『結核患者を見逃すな』」と題したプレゼンーションを行った。最後に,GEヘルスケア・ジャパン執行役員・イメージング本部長の毛受義雄氏が,COVID-19診療に取り組む医療従事者に感謝の言葉を述べた上で,これからも患者や医療従事者に求められるものを提供し社会に貢献していきたいと述べ,セミナーを締めくくった。なお,GE Healthcare Japan Edison Seminar 2020は,2020年10月7日(水)〜21日(水)にオンデマンド配信される。

毛受義雄 氏(執行役員・イメージング本部長)

毛受義雄 氏(執行役員・イメージング本部長)

 

●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コーポレート コミュニケーション
TEL 0120-202-021
www.gehealthcare.co.jp

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