キヤノン,CZT検出器と高精細イメージング技術を融合させたフォトンカウンティングCTを発売
2026-4-17
国産初のPCCTとして多くの期待を集めて登場したUltimion
キヤノン(株)は,テルル化亜鉛カドミウム(CZT)を用いたフォトンカウンティング検出器を搭載した国産初のフォトンカウンティングCT(PCCT)となる新製品「Ultimion(アルティミオン)」を2026年4月17日より発売する。これに先立ち,報道機関向けの記者説明会を4月8日(水),キヤノン下丸子本社(東京都大田区)で開催した。
冒頭に4月1日からキヤノン副社長執行役員メディカルグループ管掌(キヤノンメディカルシステムズ会長)に就任した瀧口登志夫氏が挨拶し,「CZT検出器を搭載したPCCTの開発が予定通りに終了し,新製品として発表することができた。キヤノンが50年に渡って積み重ねてきたさまざまなCTの要素技術と,レドレン社のテルル化亜鉛カドミウム(CZT)が融合してこれを実現した。開発に当たっては,臨床研究用プロトタイプを2022年から日本,欧州,米国で導入して,世界の著名な医療機関,臨床医と連携しながら,PCCTの有用性についてのエビデンスを蓄積してきた。今回,その成果をUltimionという形で結実することができた。キヤノンがめざすPCCTは,画質の向上にとどまらず,がんの診断能の向上や治療効果の判定など診断や治療への応用にも可能性を秘めており,今後,キヤノンがめざすプレシジョンメディシンへのさらなる貢献が期待できる」と述べた。
瀧口登志夫 氏
(副社長執行役員メディカルグループ管掌)
Ultimionという名称は,CT装置の究極を象徴する「ultimate」と,これまでのブランド名(Aquilion)でユーザーになじみの深い「-ion」の接尾語を組み合わせたもの。メディカル事業部画像診断システム事業部副事業部長の杉原直樹氏は,「Ultimionは真のCTをめざし,キヤノンが持つあらゆる技術を集約して“究極のCT”として製品化したものだ。Ultimionは,キヤノンCTの新しいブランド名として,今後,市場に広げていきたいと考えている」と述べた。
杉原直樹 氏
(画像診断システム事業部副事業部長)
Ultimionは,半導体検出器としてCZTを用いることで高効率で安定したX線の検出を実現していること,さらにAIを活用した画像再構成技術によって検出器が取得したフォトンデータを最大限に活用して,高精細な画像をより低被ばくで取得することを可能にしている。CZT検出器は,従来PCCTが苦手とされる高X線出力領域でも安定して動作し,設計の自由度が高くより効率的なX線の検出を可能とすることから被ばく低減にも寄与する。また,これらの特徴と半導体技術を組み合わせることで,検出器画素の微細化を可能にして高精細CT画像を実現する。Ultimionでは,同社のフラッグシップであるAquilion ONE / INSIGHT Editionで培われてきた最新のADCTの技術が投入されており,0.24秒/回転,微小な焦点サイズを持つ低管電圧/高出力が可能な新型X線管などが利用できるほか,自動化技術であるINSTINXによって最適なワークフローによるPCCTの運用が可能になる。Ultimionのプロダクトマネージャーを務めるメディカル事業部メディカルシステム第一開発センター主幹の西島 輝氏は,競合製品と比較したUltimionのアドバンテージについて,「独自のCZT検出器による高レベルで効率的,安定的にPCCTを使用できること,また,弊社がADCTで培ってきたCTの要素技術,高精細,AI画像再構成,大容量データ転送技術などを融合させることで,新たな価値を提供できる」とした。
西島 輝 氏
(メディカルシステム第一開発センター主幹)
現状でPCCTは製品としてシーメンスヘルケアが先行するが,キヤノンのUltimionが登場したことで,市場においてはようやく製品の選択肢が増えたことになる。Ultimionの実勢価格は6億円を想定しており,大学病院や研修施設をターゲットにして,年間で50台の導入をめざす(グローバル市場を含む)。
●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon
