日本CT技術学会の第14回学術大会が開催
2026-7-21
「継続は力なり,CT技術もまた然り」がテーマ
特定非営利活動法人日本CT技術学会は2026年7月17日(金),18日(土)の2日間,三島市民文化会館ゆうゆうホール(静岡県三島市)で第14回学術大会を開催した。テーマは「継続は力なり,CT技術もまた然り」。大会長を瓜倉厚志氏(茨城県立医療大学大学院),実行委員長を平入哲也氏(順天堂大学医学部附属静岡病院)が務めた。17日に行われた開会挨拶の中で,瓜倉大会長は,同学会が2012年に発足し,2013年に第1回大会を開催して,今回で14回目を迎えたことに謝意を示した。さらに,テーマについて触れ,小さな積み重ねがエビデンスとなって新技術につながるとし,発表を論文化し新たなエビデンス構築につなげてほしいと述べた。続いて挨拶した理事長の松原孝祐氏(金沢大学)は,参加者と協賛企業への謝辞を述べ,学術大会を14回継続してきたことを踏まえて学会の発展を評価した。また,自身が2026年7月に第3代理事長に就任したことを報告し,歴代理事長の思いを引き継ぎ,学会の発展に尽力すると強調した。
大会長:瓜倉厚志 氏(茨城県立医療大学大学院)
実行委員長:平入哲也 氏(順天堂大学医学部附属静岡病院)
理事長:松原孝祐 氏(金沢大学)
17日にはTCAセミナーが設けられ,石原敏裕氏(国立成育医療研究センター)が座長を務め,2題の講演が行われた。先に登壇した髙根侑美氏(東北大学病院)は「CT画像の物理評価の最前線:時間分解能評価の本質とトレンド」をテーマに講演した。髙根氏は,時間分解能について,装置スペックだけでなく時間感度分布や周波数特性で評価すべきと説明。測定手法の進展を紹介した上で,AIによる体動補正技術の登場により,時間分解能が「測る指標」から「補正する性能」となってきたと指摘。統合した評価指標の確立が課題だと述べた。2人目に登壇した三好利治氏(岐阜大学医学部附属病院)は「造影CT検査における臨床研究の最前線:造影手法の変化と傾向」と題して,患者負担軽減と新たな造影技術という2つの観点から,低速注入による肺動脈造影やデュアルエナジーCTを用いた膵がんの治療効果判定などの例で解説した。
同じく,17日には,優秀論文講演が行われた。小林隆幸氏(帝京大学)を座長に,庄司友和氏(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター)が「小児先天性心疾患CT検査におけるSize-Specific Dose Estimatesを用いた線量管理手法の提案」をテーマに講演した。庄司氏は独自開発の小児体型ファントムで,造影剤による高いCT値がSSDE算出に及ぼす影響を検証。造影剤使用下でもSSDEが有効な指標であることを実証したことなどを説明した。Japan DRLs 2030を見据えたプロトコールの標準化に言及した。
優秀論文講演後には,松原理事長が庄司氏に表彰状を授与
2日目18日には,シンポジウム「スペクトラルシェイピングCTの物理と臨床実装―被ばく低減と画質最適化の再考―」をテーマに,原 孝則氏(中津川市民病院)と髙田 賢氏(大垣市民病院)が座長を務め,4名が発表した。最初に,川嶋広貴氏(金沢大学)が「付加フィルタがもたらすX線イメージングにおけるトレードオフ」をテーマに,付加フィルタが低エネルギーX線をカットし検出器線量を高めて被ばくと画質を両立させる原理を解説。効果は組織のエネルギー依存性に左右され,軟部組織では有効だが,骨や造影剤ではコントラスト低下が大きいと述べた。また,銀(Ag)とスズ(Sn)という材質の違いはあまりないことなどに言及した。2番目に大橋一也氏(名古屋市立大学医学部附属みどり市民病院)が「スペクトラルシェイピングCTの大学附属病院による臨床応用」と題し,付加フィルタを使用した金属アーチファクト低減や高分解能撮影などを紹介した。続く佐藤英幸氏(順天堂大学医学部附属順天堂医院)は,「Ag additional filterによるスペクトラルシェイピング技術」と題し,銀フィルタが表面線量低減とダークバンドアーチファクト抑制に有効であると説明。ディープラーニング画像再構成技術を併用した大腸CTなど腹部領域での使用経験なども報告した。4番目に登壇した丹羽伸次氏(中津川市民病院)は「スペクトラルシェイピングの物理特性に基づく臨床実装:Snフィルタの活用」と題し,スズフィルタ単独の線量低減効果に言及したほか,肺がんCT検診への適用について解説した。
シンポジウム「スペクトラルシェイピングCTの物理と臨床実装―被ばく低減と画質最適化の再考―」の総合討論
18日には特別講演も行われ,瓜倉氏を座長に,遠藤正浩氏(静岡県立静岡がんセンター)が「肺癌のCT診断:超高精細CTの時代を迎えて」と題して講演した。遠藤氏は,マトリックスサイズを2048まで高めた超高精細CTが従来の512マトリックスに比べて胸部領域における描出能が優れ,肺腺癌の浸潤度評価や胸壁浸潤の診断精度が向上していると説明。一方で,すりガラス陰影については,従来CTの方が病変の広がりをとらえやすい場合があるとし,技術の使い分けの重要性を強調した。また,肺がんは典型像だけでなく,瘢痕様陰影や間質性肺炎様陰影,クリプトコッカス症との鑑別を要する症例など多様であり,thin slice画像による多断面観察と経時的な変化の追跡が診断の質を高めると述べた。さらに,フォトンカウンティングCTについては,線状構造や微小結節の描出に優れることなどを説明した。
遠藤正浩 氏(静岡県立静岡がんセンター)
すべての学術プログラムの終了後には表彰式,次回⼤会⻑挨拶,閉会の挨拶へと進んだ。閉会の挨拶では,平入氏が参加登録者は324人であったと報告した。なお,次回第15回学術大会は,2027年7月9日(金),10日(土)の2日間,にぎわい交流館AU(秋田市)を会場に行われる。大会長は大村知己氏(秋田県立循環器・脳脊髄センター)が務め,テーマには「知を醸し,技を磨く―CT技術の研鑽―」が掲げられた。
第15回学術大会大会長:⼤村知⼰ 氏(秋⽥県⽴循環器・脳脊髄センター)
会場となった三島市民文化会館ゆうゆうホール
ホワイエでのポスター展示
スタンプラリーといった企画も用意された企業展示
大橋一也氏(名古屋市立大学医学部附属みどり市民病院)と市川勝弘氏(金沢大学)の共同研究による「バーチャル内視鏡検査法」を特別展示
●表彰式
・最優秀研究発表賞
3次元テンソル画像解析を用いたCT画像のノイズ低減
田中洸太 氏(金沢大学大学院)
・優秀研究発表賞
雑音測定におけるROIサイズの影響:真度と精度の評価
保吉和貴 氏(山形大学医学部附属病院)
・優秀研究発表賞
Targeted spatial-frequency filtrationの性能評価:フルおよびハーフ再構成との比較
永澤直樹 氏(鈴鹿医療科学大学大学院)
●問い合わせ先
株式会社コームラ「日本CT技術学会第14回学術大会」係
TEL 058-229-5858
E-mail jsct2026@kohmura.co.jp
