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埼玉医科大学病院における被ばく線量管理システム「FINO.XManage」の導入・運用と今後の展望 
安江 章則(埼玉医科大学病院中央放射線部)埼玉医科大学病院 × FINO.XManage(コニカミノルタジャパン)

2020-10-5

被ばく線量管理ケーススタディ

はじめに

埼玉医科大学病院は,病床965床,診療科37科,1日の外来患者約2000人の規模を有する特定機能病院であり,埼玉県西部地区の基幹病院となっている。常勤放射線科医14名(専門医6名),常勤診療放射線技師53名(放射線管理士14名)で,日本診療放射線技師会の「医療被ばく低減施設認定」を,2020年4月1日に,第123号として承認された病院である。また,線量管理を行うに当たり,医療放射線安全管理Support Group(SG)を発足し,診療放射線技師5名で実務活動を行っている。

導入の目的

被ばく線量管理システム導入の目的は,2018年度の診療報酬改定で新設された画像診断管理加算3や頭部MRI撮影加算への対応であった。また,当時医療被ばく低減施設認定を取得するための準備を行っており,体重別線量データの集計を行うのに非常に苦労した経験から,システムの必要性を実感していた。さらに,2020年4月1日より施行された「医療法施行規則の一部を改正する省令」に対応するためでもあった。最終的に,被ばく線量管理システムは線量の管理や最適化を行うツールとして非常に有用であると考え,導入を決定した。

システム選定理由

当時発売されていた線量管理システムのベンダー数社のシステムを対象に選定の検討を行ったが,当院のセキュリティポリシーでクラウドを使用する許可が下りないことや,当院が線量管理と線量の最適化を行っていく上で満足するシステムがなかったことで,システムの選定を悩んでいた(図1)。そのタイミングで,コニカミノルタ社より線量管理システムを開発していく上で,「ぜひとも現場の声が聴きたい」と共同開発のお話をい
ただき,われわれも実務を担う現場がほしい機能を盛り込んだ,パッケージ機能だけでない,施設運用や装置に適したシステム構築が可能なシステムを望んでいたので,コニカミノルタ社の「FINO.XManage」を導入することに決定した。

図1 当院の被ばく線量管理システムの選定条件

図1 当院の被ばく線量管理システムの選定条件

 

システム構成

システム構成は,被ばく線量管理システムFINO.XManage,DICOM画像検像システム「NEOVISTA I-PACS QA」(共にコニカミノルタ社)で構成され,一般撮影マネージメント機能“RADInsight”は,FINO.XManageに実装されている(図2)。これにより,被ばく線量管理システムとDICOM画像検像システムをリンクさせることで,異常値が出た場合の画像・撮影部位・撮影長などの確認や,CT画像におけるDICOM画像を利用したSD計測,SSDEの自動算出(図3)機能などを,システム上で行える利点がある。
各装置との接続は,PACSとのDICOM Q/R接続と検討の結果,接続費用やDICOM画像のプライベートタグ情報の利用などを考慮して,PACS接続ではなく直接接続方法を採用した。これにより,RDSR情報を出力できない機種であっても,DICOM画像のタグ情報から必要な情報(プライベートタグ情報も含む)を選択し,入手することが可能となった。また,Webブラウザ経由で,院内すべてのRIS端末やHIS端末よりFINO.XManageを起動・操作することも可能である。

図2 当院のシステム構成図

図2 当院のシステム構成図

 

図3 SSDE自動算出画面

図3 SSDE自動算出画面

 

運用・評価方法

「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(医政発0312第7号)や画像診断管理加算3,頭部MRI撮影加算の施設基準の中に,「関係学会等の策定したガイドライン等を参考に,被ばく線量の評価及び被ばく線量の最適化を行うものであること」「関係学会の定める指針に基づいて,適切な被ばく線量管理を行っていること」と記載されている。FINO.XManageは,被ばく線量管理システムとしてさまざまな機能が盛り込まれているが,実際に線量の管理や最適化を行う上で,具体的に何をすればよいのか,各関係学会のガイドラインなどを熟読した経験がある。
そこで,われわれは,これらのガイドラインなどを踏まえ,被ばく線量管理システムを使用してどのように線量の管理や最適化を行えばよいのかを検討した。基本となる考えは,以下のとおりである。

○最低限行うべきことを決めよう。
○可能なかぎりシンプルな方法を考えよう。
○担当者の負担が少ない継続可能な方法にしよう。

この3つの考えを念頭に置いて,下記に示す方法で管理と最適化を行うことを決定した。さらに,線量が低く,管理・記録対象医療機器ではないが,被ばく相談件数が最も多い一般撮影においても,線量管理を行うことを決定した。本稿では,当院の被ばく線量管理システムを用いた管理方法について,CTと一般撮影を中心に紹介する。

1.線量管理方法

(1) 診断参考レベル(diagnostic reference level:DRL)や各種ガイドラインなどとの比較検討
(2) 施設基準値(自施設で決めた値)の設定を被ばく線量管理システムにて求める。ただし,自施設の中央値がDRLと近い値の場合は求めない。
(3) 画質の担保については,CTはSDで管理,一般撮影はExposure Index(以下,EI)で管理する。

2.CTにおける管理方法

(1) 検査プロトコール別にて標準体型の体重別データを抽出し,箱ひげ図を作成する。
(2) 中央値の線量とDRLとの比較検討を行う。
(3) (1)の内境界点内での最大値にて同時に施設基準値を求める。ただし,自施設の中央値がDRLと近い値の場合は求めない。
(4) 中央値のSD値をシステム上で計測し,値を送信して当院規定のSD値*と比較する(図4)。
(5) (4)が規定値外の場合,線量の最適化への検討を行う。
(6) (4)が規定値内の場合,外れ値にあるSD値を測定し,当院規定のSD値と比較する。
(7) (6)が規定値内の場合,外れ値でも適正線量と判断し,規定値外の場合は原因究明を行い,必要があれば線量の最適化への検討を行う。
(8) 撮影条件を変更した場合は,放射線科専門医とともに視覚評価を行う。

図4 SD計測・送信画面

図4 SD計測・送信画面

 

3.一般撮影における管理方法

(1) 検査プロトコール別にて標準体型の体重別・身長別のデータを抽出し,箱ひげ図を作成する。
(2) 中央値の線量とDRLとの比較検討を行う。
(3) (1)の内境界点内での最大値にて同時に施設基準値を求める。ただし,自施設の中央値がDRLと近い値の場合は求めない。
(4) 中央値の線量指標target EI(以下,EIT)値と当院の規定とする目標線量指標EIT値により,偏差指標Deviation Index(以下,DI)による評価を行う。
(5) (4)が施設DI規定値外の場合,線量の最適化への検討を行う。なお,当院の施設DI規定値は−2≦DI≦2とした。
(6) (4)がDI規定値内の場合,外れ値にあるEI値とEIT値にてDIによる評価を行う。
(7) (6)がDI規定値内の場合,外れ値でも適正線量と判断し,DI規定値外の場合,原因究明を行い,必要があれば線量の最適化への検討を行う。
(8) 撮影条件を変更した場合は,放射線科専門医とともに視覚評価を行う。

今後の展望

当院では,被ばく線量管理システムのオプションとして開発された,一般撮影マネージメント機能のRADInsightを最近導入した。これにより,技師別の部位別再撮影率や検査時間などのデータも自動集計できるようになった。今後は,このデータを用いて個人の苦手な撮影や,時間が掛かってしまう検査を洗い出し,再教育や検査補助具の必要性の判断,新人教育などに役立ていきたい。

* 当院規定のSD値:日本放射線技術学会『X線CT撮影における標準化〜GALACTIC〜(改訂2版)』の値を基本としている。

 

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(月刊インナービジョン2020年10月号 決定版!! 被ばく線量管理ケーススタディ II)
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