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富士通Japan 電子処方箋運用開始に向けた電子カルテシステムの対応について

2023-1-16

電子処方箋がやって来る

いよいよ2023(令和5)年1月に電子処方箋の運用が開始される。本稿では,電子処方箋運用において弊社が想定している電子カルテシステム(以下,電子カルテ)に求められる機能などについて,代表的な業務の流れを基に紹介する。

患者受付から処方箋発行まで

電子処方箋管理サービスの導入においては,医療機関にオンライン資格確認等システムが導入ずみであることが前提となる。電子カルテと電子処方箋管理サービス間でのファイルのやり取りは,資格確認端末にインストールされているオンライン資格確認等連携ソフトウエアを利用し,既設のオンライン請求ネットワークを介して行う。オンライン資格確認等連携ソフトウエアは社会保険診療報酬支払基金(以下,支払基金)から提供されており,電子処方箋に対応したものがアップデート配信される予定である。
まず,患者が来院して顔認証付きカードリーダーで受付する際に,処方箋発行形態(電子処方箋または紙の処方箋)を選択する。発行形態は電子カルテと連携し,診察時でも患者の意向により医師が電子カルテ上で変更可能とする。電子カルテで処方を入力し,確定前の処方箋情報を作成したら,電子処方箋管理サービスに処方箋情報を送信する。電子処方箋管理サービスは,医療機関・薬局をまたいで過去に処方・調剤された薬剤を対象に重複投薬等チェックを行い電子カルテに結果を返す。電子カルテは,チェック結果を表示する画面および結果に対するコメント入力ができる機能が必要となる。
なお,電子処方箋では利用可能な項目コードが決められている。医薬品はレセプト電算コード,YJコード,一般名コードのいずれかを使用し,用法は支払基金が公開予定のJAMIコードに準拠した用法マスタの用法コード,用法名称を使用するため,医療機関にて事前にマスター整備が必要となる。
処方内容を確定した後は,医師の電子署名を付与した電子処方箋ファイルを作成し電子処方箋管理サービスへ送信する。電子署名は「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠し,医師等の国家資格が検証できる必要があるため,HPKIカードによる電子署名機能の実装が想定される。電子処方箋管理サービスは,電子処方箋ファイルを登録すると,処方箋の引換番号,処方箋ID,処方箋参考情報を記載した「処方内容(控え)」のPDFファイルを電子カルテに返す。電子カルテは,「処方内容(控え)」を印刷し患者へ渡す。患者が紙の処方箋を選択した際も,処方箋情報を電子処方箋管理サービスに登録し,返ってきた引換番号を紙の処方箋へ印字し患者へ渡す。

薬局での調剤後

患者が薬局にて調剤を受けると,調剤結果が電子処方箋管理サービスに登録される。電子カルテは,処方箋IDを基に電子処方箋管理サービスへ調剤ずみ電子処方箋ファイルを要求し取得する。調剤ずみ電子処方箋ファイルは,薬剤師により薬局のシステムで電子署名されており,電子カルテは署名検証を行った上で調剤結果を表示する画面の実装が必要となる。
なお,電子カルテにおいては,医師の指示に基づく分割調剤を行う場合およびリフィル処方箋を発行する場合は,電子処方箋管理サービスに電子処方箋ファイルを送信せず,従来どおり紙の処方箋を発行することになっているが,薬局システムにおいては,薬剤師の判断による分割調剤や,複数の電子処方箋ファイルに対する調剤結果を1つにまとめ,それぞれの電子処方箋ファイルに対して,まとめた同じ調剤結果を登録する仕組みが実装されることになっている。これらの調剤結果を医師が電子カルテで参照する際には,薬剤師による分割調剤がなされたこと,複数の調剤結果がまとまっていることに気づけるように,表示画面上での工夫が必要である。
また,オンライン資格確認等システムの薬剤情報閲覧機能においては,電子処方箋管理サービスの処方,調剤情報(処方箋由来)も閲覧可能となる。オンライン資格確認等システムから取得する薬剤情報(XML形式)に追加される処方箋由来の項目を取得し,情報閲覧できるように改修が必要となる。

医療現場と患者にメリットがある電子処方箋

電子処方箋は,レセプト由来の薬剤情報に加えて処方箋由来のリアルタイムな処方・調剤情報が閲覧可能となること,医療機関と薬局間で調剤結果等の共有が容易になること,複数の医療機関・薬局をまたがった実効性のある重複投薬防止等が可能となるなど,医療現場および患者の双方にとってメリットのある仕組みとなっている。医療現場での診療プロセスの中で,電子処方箋をより快適にかつ便利にお使いいただくためには,システムの操作性やレスポンスに十分に配慮した設計・開発が必要不可欠である。

 

問い合わせ先
富士通Japan株式会社
ソリューションビジネス本部
ヘルスケアソリューションビジネス統括部
URL:https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/healthcare/
TEL:03-6252-2701

 

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ITvision No.46(2022年6月25日発行)転載
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