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RSNA2018 日立製作所 - MRI 高機能アプリケーションを搭載した3T MRI「TRILLIUM OVAL Cattleya」を発表

2018-11-26

ブース正面に設けられたMRIエリア

ブース正面に設けられたMRIエリア

RSNA 2018 MRI

Hitachi Healthcare(日立製作所)のMRIエリアでは,新製品の3T MRI「TRILLIUM OVAL Cattleya」に加え,最新のシステムソフトウエア“ORIGIN6”搭載の1.5T MRI「ECHELON OVAL」,静音性や省エネ機能,高い設置性が特徴の1.5T MRI「ECHELON Smart」,北米中心に展開する1.2TオープンMRI「OASIS」の4台のモックアップが展示された。今回展示されたのはすべて超電導MRIであるが,日立の特徴である永久磁石型オープンMRIは,これまでに全世界で6300台以上の販売実績がある。
TRILLIUM OVAL Cattleyaは,3T MRI「TRILLIUM OVAL」の横幅74cmのオーバルボアによる開放性や4ch-4port独立制御による独自のRFシミング技術,高いワークフローはそのままに,多彩な高機能アプリケーションを搭載。洋ランの女王と言われるカトレアを愛称に,リニューアルデビューとなった。日本国内では11月15日に薬機法承認を取得し,近日中にリリース予定となっている。TRILLIUM OVALからのアップグレードにも対応する。

新製品の3T MRI「TRILLIUM OVAL Cattleya」

新製品の3T MRI「TRILLIUM OVAL Cattleya」

 

TRILLIUM OVAL Cattleya

 

磁化率定量化撮像法“QSM”は局所的な磁化率差を推定するもので,磁化率強調画像“BSI”の撮像で同時にQSMマップを取得できる。QSMマップを用いて脳萎縮が始まる前の鉄沈着を評価することで,早期認知症をすくい上げる研究が行われており,認知症への早期介入に貢献することが期待されている。
非造影パフュージョン“3D ASL Perfusion”は,一般的なASLのシーケンスである高速撮像の3D GRASEに加え,3D isoFSEシーケンスの使用が可能になり,より歪みの少ないASL perfusion画像を取得できるようになった。ラベリングにはpCASLが用いられ,ラベリング設定が容易な点も特徴となっている。
“LiverDrive”は,肝臓のEOB造影検査の肝細胞相の撮像において横隔膜ナビゲーターを併用することで,自然呼吸下で高分解能の画像を取得することができる。
また,isoFSEシーケンスの前にMPGパルスのプリパルスとして印加することで,血流の乱流の影響を除去する“isoMSDE”も実装された。一般的にMSDEシーケンスはB1不均一となりアーチファクトが発生しやすいが,4ch-4port独立制御のRFシミング性能もあり,B1不均一の影響の少ない画像を取得できる。

“QSM”と“BSI”を同時に取得

“QSM”と“BSI”を同時に取得

 

高速撮像と高画質撮像に対応する“3D ASL Perfusion”

高速撮像と高画質撮像に対応する“3D ASL Perfusion”

 

一連の肝臓EOB検査を自然呼吸下で撮像可能な“LiverDrive”

一連の肝臓EOB検査を自然呼吸下で撮像可能な“LiverDrive”

 

動脈瘤を形成した頸動脈解離も明瞭に描出する“isoMSDE”

動脈瘤を形成した頸動脈解離も明瞭に描出する“isoMSDE”

 

さらに,日立では,SPEED,COMFORT,QUALITYをコンセプトにMRIアプリケーションの開発を進めており,会場では取り組みの一部を紹介した(以下,すべてW.I.P.)。
“Iterative Processing”(W.I.P.)と32チャンネル頭部コイルの組み合わせでは,DWIも含めた頭部ルーチン検査の高速撮像をめざしている。研究では,従来は15分ほどを要している頭部ルーチン撮像が,Iterative Processingにより3分弱まで高速化できており,急性期脳梗塞の診断など緊急性の高い検査への貢献が期待される。COMFORTとしては,4ch-4portによる局所的なRFシミングによりSARを低減する技術を開発している。肩や乳房など局所的な撮像においても,従来は撮像範囲以外にもRFが照射されていたが,独自のシミング技術によりRF照射を撮像部位に限局することで,対象部位以外の発熱を抑制でき,より安全な検査を提供する。また,QUALITYでは定量化技術の開発を進めており,最新の取り組みとしてミエリンマップ(W.I.P.)と造影濃度マップ(W.I.P.)を紹介した。さらに,より安定的なASL Perfusionをめざした“3D Multiphase ASL Perfusion”(W.I.P.)も新たな取り組みとして展示した。従来は1つのPLDからASLを取得し,CBFマップを得ていたのに対し,3D Multiphase ASL Perfusionでは複数のPLDからASLを取得してカーブフィッティングによりCBFマップを出力する。人によって血流到達時間には差があるが,これにより安定したCBFマップを取得することができる。

4ch-4portによる局所的なRFシミングでSARを低減(W.I.P.)

4ch-4portによる局所的なRFシミングでSARを低減(W.I.P.)

 

最新のシステムソフトウエア“ORIGIN6”が搭載されたECHELON OVALは,2018年初めにリリースされた。ORIGIN6にはQSMがいち早く実装されたほか,金属アーチファクトを低減する“HiMAR”や非造影簡易血液循環撮像“ASL Perfusion”,2つのb値から任意のb値のDWIを計算で取得する“cDWI”が搭載され,臨床応用の範囲が広がっている。

“ORIGIN6”搭載の1.5T MRI「ECHELON OVAL」

“ORIGIN6”搭載の1.5T MRI「ECHELON OVAL」

 

静音化や省エネが特徴の1.5T MRI「ECHELON Smart」

静音化や省エネが特徴の1.5T MRI「ECHELON Smart」

 

北米中心に展開する1.2TオープンMRI「OASIS」

北米中心に展開する1.2TオープンMRI「OASIS」


キヤノンメディカルシステムズ