技術解説(AZE)

2014年8月号

Women's Imaging 2014 最新技術[Breast Imaging]

灌流から診るMRI乳がん解析ソフトウェア

乳がんの画像診断において,MRIは中心的な役割を担います。そのため,撮像される機会が多く,腫瘍の悪性度を評価するためにさまざまな角度からアプローチされます。これらに対し画像解析装置には数多くのデータを効率的に解析し,わかりやすく性状を可視化する手段が臨床の現場から求められてきました。
本稿では,灌流の観点から乳腺領域におけるMRIデータ解析ソフトウェアを紹介します。

●Dynamic 4Dソフトウェアによる“Wash out map”

乳がんに対するMR画像診断では,造影によって複数時相を撮像するダイナミック造影検査が一般的に施行されています。乳がんは早期濃染とピーク信号値に対して15%程度の造影剤洗い出し(Wash out)が見られるという特徴を有するため,読影医は関心領域(ROI)でのタイムインテンシティカーブ(TIC)を描画することによって腫瘍の性状評価を行っていました。今回開発したWash out mapは,複数時相データのすべてのピクセルでTIC計算を行い,ピークの信号値,最終フェイズの信号値からWash outの強度に合わせて画像をカラーマッピングする機能です(図1)。これによって,腫瘍性状の局在を把握することが容易になります。
また,従来のTIC描画では,ピークフェイズを一意的に設定する必要があったため,例えば組成の異なる腫瘍が画像中に混在した場合に,それぞれの腫瘍に対して適切なピークフェイズを設定することが困難でした。この問題に対し,Wash out mapはすべてのピクセルでピーク信号値を検出し,ピクセルごとに適切なWash outの算出を可能にします。このため,人為的な操作が介入することなくWash outの強度を計算できるため再現性が高く,DICOM保存することでPACS上での計測も可能になります。

図1 Wash out map 洗い出し強度から腫瘍の性状を評価可能

図1 Wash out map
洗い出し強度から腫瘍の性状を評価可能

 

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本稿では日常のMRI乳がん診断で必須とされるダイナミック撮影の解析機能を中心に紹介しました。今後も有用な撮影法や解析法はさまざまに出現し,早期発見や適切な治療への連携に役立てられると考えます。「データの見やすさ」にこだわったわれわれの解析ソフトが診断の一助になれば幸いです。

 

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