技術解説(AZE)

2019年8月号

Women's Imaging 2019 最新技術

「AZE VirtualPlace」による“MRI Breast image”解析

乳がん検査において,MRIは広がり診断,質的診断,多発病変の検出に優れると言われる。今回は腫瘍の良悪性判定に活用できる“ダイナミック4D解析”“DWI解析”,および,乳がんの遠隔転移の評価で可能性が示唆されているbody DWIを用いた“DWI定量評価”について紹介する。

●ダイナミック4D解析

本解析では,乳房MRI検査において最も重要とされる造影MRIを用いてtime-intensity curve(TIC)の描出が行える。washout計算ツールも搭載しており,乳がんなどの悪性度の判断検討や局在把握が可能である。当社独自のレジストレーション機能により,呼吸や姿勢による腹部および乳房領域の形態変化に応じて,剛体・非剛体位置合わせを1クリックで一括補正でき,精度良くTICを作成できる。

●DWI解析

複数の拡散強調画像(DWI)から,計算によって任意のb値のDWIを表示することができる“Computed DWI機能”を搭載。撮像時間を増加させずに,背景乳腺の排除や乳がんの描出に適切な任意のb値でDWIを推定することができる。また,同時にADCマップを作成することができ,腫瘍領域のADC値のヒストグラム形状解析や化学療法の治療効果を反映するとされる指標(尖度,歪度)を算出することも可能である。

●DWI定量評価

全身拡散強調画像(body DWI)は前立腺がんの骨転移やその治療効果の判定に使用されることが知られているが,骨転移は乳がんでも肝臓,肺,脳転移と並んで頻度が高い。最近では,乳がんの骨転移診断においてもbody DWIが有用な可能性があることが報告されている。
DWI定量評価(図1)では,DWIとADC画像のそれぞれの設定閾値に当てはまる領域を抽出し,その体積から定量評価を行える。領域はリストで一覧表示され,それぞれ位置情報を有するため,T2画像などほかのシリーズ画像を参照し,位置情報をリンクさせて複数のイメージで腫瘍領域を確認することができる。本解析では,データベース登録により,画像での過去比較や,時系列での体積の遷移の定量評価が可能で,経過観察において客観的な評価の助けとして活用できる。

図1 DWI定量評価解析

図1 DWI定量評価解析

 

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