技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)

2014年3月号

US Today 2014 領域別超音波最新動向

超音波診断装置「Aplio」シリーズの新しい血流イメージング技術
Superb Micro-vascular Imaging

小林 康一(超音波事業部)

被ばくのない超音波診断は,診断からフォローアップまで幅広い臨床領域で用いられており,特に近年,がんや腫瘍の確定診断から治療方針の決定,治療後の効果判定に有効な診断方法として,その有用性が高まっている。有効な治療を行うためには,がんや腫瘍を早期に発見し,検査を行うことが必要だが,従来のカラードプラ法による観察では,微細で低流速の血流の描出に技術的な限界があった。このため,超音波造影剤を使って検出能を高める手法も使われているが,適応部位の制限や患者の負担から,その適用に制約があった。
このような現状を鑑み,東芝は,造影剤を使わない状態でも従来より微細で低流速の血流を描出可能とした新しいイメージング技術“Superb Micro-vascular Imaging (SMI)”を開発し,プレミアムクラス超音波診断装置「Aplio 500」およびシリーズ機種に搭載可能とした。

■Superb Micro-vascular Imaging(SMI)

東芝はすでに,2001年から高分解能のドプラ技術“Advanced Dynamic Flow(ADF)”により,従来のカラードプラ法やパワードプラ法よりも微細な血流の描出を実現していた。この技術をベースに,プレミアムクラス超音波診断装置Aplioシリーズの先進のアーキテクチャである“High Density Beamforming”と“Real-time Application Platform”によって,さらに低速の血流検出能を高フレームレートで実現したのがSMIである。

■SMIの特長と利点

図1 SMIの概要

図1 SMIの概要

これまでのドプラ技術の進歩は,血流をより高分解能で描出することを主眼に開発されてきた。SMIは,これに加え,より低い流速をとらえることを目的に開発された,新しい血流イメージング技術である(図1)。低い流速域で血流描出の妨げとなっていたのは,血流以外の対象物からくる不要なドプラ信号(モーションアーチファクト)だった。従来の技術ではこの両者を区別することができず,モーションアーチファクトとともに血流信号も失っていた。これに対し,新しいSMIでは,モーションアーチファクト特有の特徴を解析し,臨床上必要な情報のみを取り出すことに成功した(図2)。

図2 従来の手法とSMIによる血流イメージングの比較

図2 従来の手法とSMIによる血流イメージングの比較

 

■SMIに期待される臨床的有用性

SMIは,造影剤が適用されない場合でも,低流速検出能に優れた血流イメージングを提供することが可能である。がんや腫瘍,関節リウマチなどの早期診断や治療方針の決定などをサポートし,さらに造影剤を使うことで,より感度の良い確かな診断に貢献することが期待されている(図3,4)。

図3 SMIによる肝臓の描出

図3 SMIによる肝臓の描出
(データご提供:川崎医科大学検査診断学・
畠 二郎先生)

図4 SMIによる腎臓の描出

図4 SMIによる腎臓の描出
(データご提供:川崎医科大学検査診断学・
畠 二郎先生)

 

図3 SMIによる肝臓の描出(動画)

図4 SMIによる腎臓の描出(動画)

 

*Aplio,Dynamic Flowは東芝メディカルシステムズ(株)の商標です。

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/

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