技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)

2019年11月号

放射線治療の技術動向

エレクタ社の強度変調回転放射線治療について

強度変調回転放射線治療(VMAT)は,従来法と比較して短時間で照射が完了できることから,臨床現場での利用が広まっており,今後も活用が広まっていくことが期待される。

エレクタ社では,フルフィールド5mm マルチリーフコリメータ(MLC)“Agility”と“IntelliBeam”システムの組み合わせにより,VMAT照射をより短時間に,より厳密で優れた線量集中性を実現している。

Agilityは,強度変調可能領域が40cm×40cmと広く,例えば,全骨盤領域などの広い照射範囲も照射野をスプリットしないで照射できるため,照射時間の短縮が可能である。また,リーフは最大6.5cm毎秒で駆動可能なため,強度変調の自由度は格段に向上する。

IntelliBeamは,治療計画装置「Monaco」との組み合わせで実現される,より柔軟にコントロールポイントを設定し,プランクオリティの担保と照射時間短縮を両立する技術である。従来のシステムでは,コントロールポイントは2〜4°ごとの一定間隔で設定され,それにより1アークあたりのコントロールポイント数は最大でも180程度に制限されていた。IntelliBeamでは,コントールポイントを2°以下の間隔にも設定でき,1アークあたり最大1024のコントロールポイントを設定可能である(図1)。その結果,従来よりも1アークあたり6倍の強度変調が可能であり,臨床で要求される線量指標を満たすのに要するアーク数を減らすことができ,時間短縮につながる。

エレクタリニアックでは,この2つの特徴的なシステムにより,従来のVMATとは一線を画する高いクオリティと照射時間の短縮が実現される。

図1 IntelliBeamのコントロールポイント例

図1 IntelliBeamのコントロールポイント例

 

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