技術解説(富士フイルムメディカル)

2017年11月号

FPDの進化とDigital Radiographyの新次元

FPD搭載X線透視診断装置における整形外科領域向けアプリケーション“トモシンセシス” “HyperVIEW(長尺撮影機能)”

壁谷秀太郎((株)日立製作所ヘルスケアビジネスユニット開発統括本部第二製品開発本部ソフト開発部計測システムグループ)

従来,X線透視診断装置は,胃や腸などの消化管領域の検査に使用されることが多かったが,近年ではさまざまな領域向けのアプリケーションが開発され,多目的に使用されている。
本稿では,日立のX線透視診断装置「CUREVISTA」「EXAVISTA」に搭載可能な整形外科領域向けアプリケーション“トモシンセシス”“HyperVIEW(長尺撮影機能)”について紹介する。

■トモシンセシス

トモシンセシスは,映像系の角度を変えながら連続的に撮影し,得られた投影データにコーンビームCT再構成アルゴリズムを用いることで,コロナル断層画像を作成する機能である。再構成して得られる数十枚の断層画像から,前後の重なりを避けて注目する断面のみを表示できる。
しかしながら,金属などの高吸収体に対して再構成を行うと,その周りにアーチファクトが発生し,診断に影響があることが一般的に知られている。その課題を解決するために,日立では,金属アーチファクト低減技術“HiMAR”を開発した。

●HiMAR(High Quality Metal Artifact Reduction)
投影画像から金属部分を抽出し,金属投影データを作成。一方,抽出した金属情報を使用して,金属部分を低減した金属低減投影データを作成する。作成したそれぞれのデータを基に,再構成した画像から金属アーチファクトを低減した断層画像を作り出す。
HiMARによって,骨や骨梁の観察に影響を与える金属アーチファクトが低減される(図1)。

図1 HiMAR適用の断層画像

図1 HiMAR適用の断層画像

 

■HyperVIEW(長尺撮影機能)

HyperVIEWは,映像系を平行移動させながら,スリット状に絞ったX線で連続的に撮影し得られた画像を結合し,1枚の長尺画像を作成する機能である。
結合の際に,撮影部位によっては画像間の接合ズレや,濃度差などが問題となる場合がある。日立では,プロジェクタなどの映像機器において階調・色補正などの画像処理技術を開発してきており,これらの技術をX線画像に応用することで,接合ズレ・濃度差が抑えられた,診断に有用な長尺画像を得ることを可能にした。これらを可能にした2つの補正処理を紹介する。

・ゲイン補正:スリット画像間の濃度差を解析し,画像全体の濃度が最適となる補正値を算出する。その補正値に基づき,各スリット画像の濃度を補正することで,長尺画像全体の濃度ムラを改善する。

・ブレンディング補正:スリット画像の接合領域に対して,周波数成分ごとに解析を行い,接合ズレやボケを改善する。
さらに,全脊椎や全下肢を長尺撮影する場合,X線の吸収差のある部位を1枚の画像に収める必要がある。その場合,黒潰れした画像となりがちであるが,長尺用の“DRC(Dynamic Range Compression)処理”を適用することで画像全体が描出され,コントラストが向上した画像となる。

これら複数の処理により,人工膝関節置換術(図2 a)では,大腿骨頭から足関節までが表示できるので,術前術後の計測を容易に行うことができる。また,脊椎側彎症(図2 b)では,頸椎から腰椎まで安定した濃度で描出できるため,アライメントの確認が行いやすい。

図2 HyperVIEWの長尺画像

図2 HyperVIEWの長尺画像

 

紹介したトモシンセシスはEXAVISTAに,HyperVIEWはCUREVISTAとEXAVISTAに搭載可能である。
日立では今後も継続して,さまざまな領域に有用なアプリケーションの開発を行っていく。

* CUREVISTA,EXAVISTA,HyperVIEW,HiMARは株式会社日立製作所の登録商標です。
* 汎用X線透視診断装置CUREVISTA
 医療機器認証番号 219ABBZX00109000
* 汎用X線透視診断装置EXAVISTA
 医療機器認証番号 220ABBZX00236000

 

【問い合わせ先】
ヘルスケアビジネスユニット グローバル事業統括本部
URL http://www.hitachi.co.jp/healthcare

TOP