技術解説(富士フイルムメディカル)

2026年3月号

腹部領域におけるUSの最新技術

腹部領域における「ARIETTA DeepInsight x」シリーズの高画質化技術とアプリケーション

三戸森祥子[富士フイルム(株)メディカルシステム事業部]

超音波診断装置は,低侵襲で,被検者の身体に大きな負担を掛けることなくリアルタイムに体内を画像化することができ,腹部領域をはじめ,幅広い臨床場面で用いられている。今回開発した「ARIETTA DeepInsight x」シリーズは,AI技術*1を活用して開発したノイズ除去技術である「DeepInsight技術」など,実績のある高画質技術に加え,当社の長年の技術開発で培ってきた多彩なアプリケーションにAI技術*1を融合させることで,ワークフローを改善した。加えて,microvascular flow imaging(MVFI)技術や,進化した減衰計測機能「iATT」により,腹部領域において,次世代の超音波診断を牽引することをめざす。本稿では,主にプレミアムモデルである「ARIETTA 850 DeepInsight x*2(図1)と,ハイエンドモデルである「ARIETTA 750 DeepInsight x*3」の特長について紹介する。

図1 ARIETTA 850 DeepInsight x

図1 ARIETTA 850 DeepInsight x

 

■特 長

1.ノイズ除去技術DeepInsight技術
DeepInsight技術は,ノイズ除去により,豊かな階調表現と高い視認性を提供する高画質技術である。画像処理開発においてAI技術*1を活用し,電気ノイズを低減,組織の情報をより引き出すことで,SNRが向上し,観察対象部位の内部表現や辺縁の識別向上が期待される。

2.検査のワークフローを改善する機能「iRecognize」*4
iRecognizeは,ボディマーク/プローブマークを自動で設定する機能である。AI技術*1を活用した断面認識技術により,超音波画像の解析を行い,腹部の診断画像から構造物の形状を検出し,これらの検出結果を反映したボディマーク/プローブマークを表示する。日本消化器がん検診学会,日本超音波医学会,日本人間ドック学会の3学会共通で発表された「腹部超音波検診判定マニュアル改訂版 (2021年)」1)に掲載されている推奨記録25断面に対応しており,手順の削減やルーチン検査の短時間化が期待される。

3.血流感度と体動ノイズ抑制とのバランスを実現したDFI
「Detective Flow Imaging(DFI)」は,微細な低速血流を感度良く描出するMVFI技術である。本シリーズでは,クラッタ除去技術「Wall Motion Reduction PLUS」を加えることで,低速血流の弁別能をさらに引き出し,感度と視認性の高い画像を提供する。検出した信号強度のバラツキを判定することで,各部位の体動量に応じたクラッタノイズ低減を行うことが可能である(図2)

図2 DFI「Wall Motion Reduction PLUS」

図2 DFI「Wall Motion Reduction PLUS」

 

4.肝脂肪化の推定が可能な減衰計測機能iATT
iATTは,肝臓内における超音波の減衰量を非侵襲的に計測し,肝臓の脂肪量を定性的に評価する指標(ATT)を提供する機能である。被検者への負担が少なく肝脂肪化の程度を評価できるため,定期検査などで脂肪肝の早期発見に貢献することが期待される。ARIETTA DeepInsight xシリーズでは,iATTがさらに進化し,計測深度を変更可能となった。計測値のバラツキの要因となる体表からの多重反射を避け,World Federation for Ultrasound in Medicine and Biology(WFUMB)ガイドライン2)に準拠した計測深度の設定が可能である(図3)

図3 iATT

図3 iATT

 

5.操作が簡便になったRVS
「Real-time Virtual Sonography (RVS)」は,超音波画像と他モダリティ画像をリアルタイムに並列表示する機能であり,超音波検査だけでは発見しづらい小さな病変の発見や,治療部位の決定など,安全かつ正確な治療への貢献が期待される。ARIETTA DeepInsight xシリーズにおけるRVSは,検査開始時のCT,MRIなどのデータ検索や,造影CTボリュームデータと超音波画像との位置合わせが自動化*1,4され,操作手順が簡略化された。検査者の習熟度に左右されにくい操作性を実現し,検査の短時間化も期待できる。また,「Powered Anatomy」*1,4は,あらかじめインポートしておいた造影CTデータを超音波診断装置上で輝度解析し,領域分類された結果をCT画像または超音波画像上へ重畳表示する機能で,描出部位の位置関係の把握を容易にすることが期待される(図4)

図4 RVS「Powered Anatomy」

図4 RVS「Powered Anatomy」

 

ARIETTA DeepInsight xシリーズは,診やすい画像とともに,多彩なアプリケーションによるワークフローの向上,検査時間の短縮が期待され,検査の効率と生産性の向上に貢献することをめざす装置である。

*1 AI技術の一つである機械学習またはディープラーニングを用いて開発,設計したものであり,自動的に装置の性能,精度は変化しない。
*2 販売名:超音波診断装置 ALOKA ARIETTA 850 医療機器認証番号:228ABBZX00147000
*3 販売名:超音波診断装置 ARIETTA 750 
医療機器認証番号:301ABBZX00007000
*4 自動化機能の結果は検査者の確認が必要であり,必要に応じて結果を修正可能

●参考文献
1)腹部超音波検診判定マニュアル 改訂版(2021年). 日本消化器がん検診学会雑誌, 60(1): 125-181, 2022.
2)Ferraioli, G., Barr, R.G., Berzigotti, A., et al. : WFUMB Guideline/Guidance on Liver Multiparametric Ultrasound : Part 1. Update to 2018 Guidelines on Liver Ultrasound Elastography. Ultrasound Med. Biol., 50(8): 1071-1087, 2024.

 

●問い合わせ先
富士フイルムメディカル株式会社
https://www.fujifilm.com/fms/

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