技術解説(富士フイルム)

2020年1月号

DR System Update 2020

低線量で高鮮鋭・高コントラストなX線動画像を提供する外科用Cアーム型デジタル透視システム「COREVISION(コアビジョン)」シリーズのご紹介

整形外科手術や血管内カテーテル外科治療は,外科用Cアームを用いて患部の状態をX線透視しながら外科手術が行われる。近年では,患者の患部を大きく開腹しない低侵襲な外科手術が患者QOL(quality of life)向上として注目され,モバイルCアームの関心も高まっている。外科用Cアームで得られるX線動画像は,体内に挿入した処置具の位置や患部の様子が把握できるよう高鮮鋭な画像と,X線量の低線量化が求められている。

■ISS方式の動画用フラットパネルディテクタの開発

「COREVISIONシリーズ」(図1)のフラットパネルディテクタ(以下,FPD)は,X線エネルギーの変換効率を高める当社のISS方式*1を採用した。
このISS方式は,2009年から当社のデジタルX線画像診断システムで採用しているフラットパネルディテクタ技術である。一般的なFPDは,X線の入射面(患者側)にシンチレータ層,出射側にTFTパネル(検出器)を配置する方式であるが,ISS方式は入射面にTFTパネル,出射側にシンチレータを配置している。
これにより,X線の入射面側で発光した最も強い光をTFTパネルの最も近い部分で検出でき,シンチレータ層の光の拡散の影響が受けにくいため,光の強度が強く,ボケの少ない潜像画像を得ることが可能である(図2)。このようにして得られた潜像を,当社のエレクトロニクス技術によって処理し,低ノイズなデジタル画像を提供できる。
当社のフラットパネルディテクタ技術を応用し,外科用モバイルCアーム分野では,大画面の31cm×31cm(12インチのI.I.検出センサの照射野同等エリアをフルカバー)で150μmの高精細な画素サイズの動画用FPDを開発した。

図1 「COREVISIONシリーズ」 a:販売名:X線透視診断装置 CoreVision SD/ 認証番号:第230ABBZX00038000号 b:販売名:X線透視診断装置 CoreVision LD/ 認証番号:第230ABBZX00037000号 c:販売名:X線透視診断装置 CoreVision 3D/ 認証番号:第230ABBZX00033000号

図1 「COREVISIONシリーズ」
a:販売名:X線透視診断装置 CoreVision SD/ 認証番号:第230ABBZX00038000号
b:販売名:X線透視診断装置 CoreVision LD/ 認証番号:第230ABBZX00037000号
c:販売名:X線透視診断装置 CoreVision 3D/ 認証番号:第230ABBZX00033000号

 

図2 従来方式とISS方式のFPD構造と画像形成の比較 ISS方式は従来方式に比べて感度向上と解像度維持を両立する。

図2 従来方式とISS方式のFPD構造と画像形成の比較
ISS方式は従来方式に比べて感度向上と解像度維持を両立する。

 

■動画処理“ダイナミックコアエンジン”の開発

従来の一般的なX線動画像のノイズ除去方法は,X線動画像を構成する連続的な静止画(フレーム*2)を単純に重ね合わせ,その平均値を基に画像処理を行う方法が用いられている。この従来方法は,フレーム間で観察部位が局所的に動いた場合,残像の発生や,鮮鋭性の低下につながる。
当社は,長年のX線静止画像で培った画像処理技術をX線動画像に応用し,X線動画像を構成する1枚1枚のフレームにノイズ低減処理を施し,患者の体が動いた領域に合わせて前後のフレームを重ねることで鮮鋭度の低下を抑制する動画技術と,画像全体のコントラストを最適化する画像処理技術“Dynamic VisualizationⅡ”で構成した,動画処理ダイナミックコアエンジンを開発した。
対象部位のX線吸収量の違いにより発生する白つぶれや黒つぶれの抑制などの画像処理を高速に行うことで,整形分野では,脊椎固定術で使用される固定用スクリューをより鮮明な画像を見ながら挿入することができるほか,血管外科分野のガイドワイヤやカテーテルの動きに対する視認性の改善も期待できる。
このダイナミックコアエンジンにより,少ないX線量でもクリアな画像を提供しつつ,最大で約50%のX線量でもほぼ同等の画像が提供できる。

■高画質な3D再構成画像を術中に確認

「COREVISION 3D」では,手術中に対象部位を180°相当のスキャンが可能で,これにより3D再構成画像を描出できる。脊椎の圧迫骨折による椎体間固定術や膝などの人工関節置換術で,体内に挿入したインプラントやスクリュー,固定プレートの位置などを,さまざまな角度からその場で観察することができる。
これにより,治療精度が向上するとともに,手術時間の短縮化,患者の負荷軽減につながることを期待している。

*1 Irradiation Side Samplingの略。センサー(TFTパネル)を,X 線照射面側に配置する方式。従来方式のFPDに比べ,より減衰が少ない段階のX線エネルギーを光信号に変換でき,X線エネルギーの変換効率を高めることができる。
*2 動画像を構成する静止画像の1コマを指す。

 

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