技術解説(富士フイルム)

2023年1月号

医用画像ワークステーションガイド

「SYNAPSE VINCENT」における「REiLI」を用いた最新の臓器セグメンテーション紹介

浅野 一茂[富士フイルムメディカル(株)ITソリューション事業部3D営業技術グループ]

近年の医療現場では,CT,MRIのボリュームデータより作成された3D画像が画像診断や治療の支援に活用されている。その適用は幅広く,頭頸部から体幹部,四肢にまで至る。富士フイルムは,一般写真から医用画像にわたる広い領域を対象とした画像認識技術の開発に早くから取り組んできた歴史があり,2008年に医用画像3Dワークステーション「SYNAPSE VINCENT(以下,VINCENT)」をリリースした。VINCENTの最新版では,メディカル人工知能(AI)技術ブランド「REiLI」のディープラーニングをベースに設計された臓器セグメンテーションを多数搭載している。本稿では,富士フイルムの従来製品にはない新たな臓器セグメンテーションを紹介する。

■REiLIにより実現した「脳区域解析」

MR画像により脳の側頭葉内側部分(海馬近傍)の萎縮を観察することが,アルツハイマー病の診断に有効であることが報告されている。「脳区域解析」は,REiLIによる深層学習をベースに開発された臓器セグメンテーションにより脳を26領域に区域分けし,容積評価を可能とした(図1)。これにより,客観的な評価が可能となり,今後さまざまな脳疾患の評価への活用が期待される。

図1 脳区域解析による脳の自動セグメンテーション

図1 脳区域解析による脳の自動セグメンテーション

 

■手術シミュレーションの新たな領域へと展開する「膵臓解析」

膵臓3D画像における血管構築は,膵臓周囲のさまざまな動脈と静脈が対象となり,医師や診療放射線技師が3D画像作成に多くの時間を費やしているのが現状である。「膵臓解析」は,REiLIの深層学習をベースに開発された臓器セグメンテーションにより,従来の機械学習では自動抽出が難しかった膵臓,膵管,膵臓周囲の動静脈,胃・十二指腸など新たな領域の抽出が可能となり(図2),3D画像作成にかかる時間と労力の削減が見込まれる。

図2 膵臓解析にて作成した3D画像

図2 膵臓解析にて作成した3D画像

 

■肺動静脈分離技術を単純CT画像へ拡張

従来の画像認識技術による血管認識は,造影CTの画像を使用することを前提としていたが,REiLIの深層学習をベースに開発された臓器セグメンテーションにより,単純CTの画像からでも血管抽出を行うことが可能となった。VINCENT V6.7より「肺切除解析」に実装された肺動静脈分離技術を紹介する。従来,肺動静脈の分離には造影が必須であったが,本技術により造影剤アレルギーや腎機能低下などの理由で造影剤が使用できないケースでも肺動静脈が分離でき,術前シミュレーション画像の作成サポートが可能となった(図3)。

図3 単純CTを用いた肺動静脈分離(肺切除解析)

図3 単純CTを用いた肺動静脈分離(肺切除解析)

 

本稿では,VINCENTの新たな臓器セグメンテーションについて紹介した。
REiLIを利用した臓器セグメンテーションにより,3D画像作成を従来のマニュアル作成よりも簡単なプロセスで作成することが可能である。さらに,VINCENTはサーバクライアント型運用も可能であり,電子カルテなどの院内端末で場所を選ばすに使用できる。これにより,術前画像の作成,カンファレンス,術中閲覧といったさまざまなシーンで活用することが可能となる。今後,ユーザーからの要望や学会のトレンド,臨床ニーズなどを取り入れ,さらに臨床現場を支援できるような機能を充実させていきたい。

3D画像解析システム SYNAPSE VINCENT
販売名:富士画像診断ワークステーション FN-7941型
認証番号:22000BZX00238000

 

【問い合わせ先】
営業本部マーケティング部
TEL 03-6419-8033
URL https://www.fujifilm.com/fms/

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