技術解説(GEヘルスケア・ジャパン)

2022年3月号

腹部画像診断におけるITの技術の到達点

肝臓領域の新たなAFD機能─Liver ASSIST Virtual Parenchyma

柴草 高一(GE Healthcare Japan Interventional営業推進部)

近年は“AFD”という言葉はかなり一般化してきた。言わずもがな“automated(tumor)feeder detection”の略であり,栄養血管の自動探索アプリケーションのことである。
コーンビームCTデータ(以下,CBCT)を用いたAFDとして,弊社では,2012年に“FlightPlan for Liver(以下,FPFL)”を世界に先駆けて市場投入し,弊社製3Dワークステーション「Advantage Workstation」にて使用可能となった(図1)。

図1 Advantage Workstation VS7

図1 Advantage Workstation VS7

 

■AFDの進化:“Liver ASSIST V.I.”と“Embo ASSIST”

その後,FPFLは,Liver ASSIST V.I.というアプリケーションに進化を遂げた。FPFLでは1つの結節にしか対応できなかったが,Liver ASSIST V.I.では同時に12個の結節まで栄養血管自動探索が可能となり(図2),加えて,“Virtual Injection(V.I.)”という,マウス操作によるカーソル位置の変更で血管の連続性をリアルタイムに確認できる機能も加わった(図3)。
さらに,2019年には“Embo ASSIST”という,腹部のみならず対象領域を限定せずに活用できるアプリケーションにまで進化し,複雑なangio architectureを持つ脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻のフィーダー探索において有効活用されている(図4)。

図2 Liver ASSIST V.I.

図2 Liver ASSIST V.I.

 

図3 Virtual Injection

図3 Virtual Injection

 

図4 Embo ASSIST

図4 Embo ASSIST

 

■AFDのさらなる進化:“Liver ASSIST Virtual Parenchyma”の登場

そして,2020年の北米放射線学会(RSNA)にて,再び肝臓領域の新たなアプリケーションとして紹介させていただいたのが,“Liver ASSIST Virtual Parenchyma”(以下,LAVP)である(図5)。弊社が得意とするディープラーニングを用いたビッグデータ解析技術により開発されている。
本アプリケーションでは,栄養血管を探索するまではLiver ASSIST V.I.とまったく同様であり,腫瘍濃染をターゲットとして候補となる栄養血管の自動探索,各断面画像との並列表示&カーソル連動,そして,Virtual Injectionを用いた血管連続性の確認を行うことができる。
LAVPでは,特定の栄養血管上にカーソルを置くことで,その枝から塞栓されるであろう肝臓の区域を画像表示できる機能が新たに加わった。Liver ASSIST V.I.の結果とともに,カーソル位置に応じたVirtual Injection,ならびに塞栓予測範囲とその境界線を表示可能である(図6)。
分子標的薬の登場もあり,日本肝臓学会による『肝癌診療ガイドライン』の治療アルゴリズムも,AFDが登場する前の時代と比較すると大きく様変わりした。また,施設によっては,肝動脈化学塞栓術(以下,TACE)の件数が減少しているところもあるかと思われる。しかし,実際にTACEを行う先生方にとっては,治療の複雑さ自体は大いに増しているのではないかと予想する。「そもそも栄養血管特定が難しい」……という悲鳴めいた声もしばしば聞くところである。
難渋症例において,術者の生産性を高めるアプリケーションを開発することはメーカー側の責務と考える。上記背景の中で,術者に対して,「より迅速に,より確信が持てるような情報の提供」ということを意識して開発されたのが,本アプリケーションによるAFD機能である。
困難な治療に立ち向かう諸先生方をサポートする有意義なツールになれば幸いである。

図5 Liver ASSIST Virtual Parenchyma

図5 Liver ASSIST Virtual Parenchyma

 

図6 ターゲットに連続性のない栄養血管の場合のLAVP結果

図6 ターゲットに連続性のない栄養血管の場合のLAVP結果

 

アドバンテージ ワークステーション
医療機器認証番号:20600BZY00483000

 

【問い合わせ先】
Interventional営業推進部
TEL 0120-202-021
URL https://www.gehealthcare.co.jp/about/inquiry

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