ユーザー訪問 
医療法人成春会北習志野花輪病院 
「着手成春」の医療を支えるECHELON Smartの採用により紹介検査の増加など地域医療に貢献
高スループットと高画質が検査の適応を拡大

2018-9-25


医療法人成春会北習志野花輪病院

1982年に千葉県船橋市に開院した医療法人成春会北習志野花輪病院は,人工膝関節置換術の豊富な実績を誇っている。同院では,その手術の適応の判断などに欠かせないMRIに日立社製1.5T MRI「ECHELON Smart」を採用し,2018年3月から稼働させた。同院の理念にある「着手成春」の医療を叶える装置として期待されるECHELON Smart導入の目的と使用経験を、根本昌幸院長と放射線科の小林啓作課長,小高真亮主任にうかがった。

人工透析と人工膝関節置換術を特色に地域に根づいた医療を提供

医療法人成春会は,1957年に千葉県船橋市に設立された。82年には北習志野花輪病院を開院。現在は同院のほか,花輪クリニック,花輪病院附属駅前クリニックの診療所2施設,習志野台地域包括支援センター,花輪ヘルパーステーションを擁している。理念には,「着手成春」を旨に,安全で安心な医療福祉に取り組み,地域に貢献することを掲げ,急性期・慢性期医療から介護までのサービスを50年以上にわたって地域住民に提供してきた。
その中心施設の同院は,人工透析センターと人工関節脊椎センターを設置しているのが特徴だ。特に,人工関節脊椎センターは,人工膝関節置換術において,関東一円でもトップクラスの治療実績を有している。人工膝関節置換術のスペシャリストでもある根本院長は,これまで2400件を超える手術を行い,メディアでも数多く取り上げられるなど,実力は折り紙付きだ。その根本院長は,整形外科医にとって,MRIは重要なモダリティだと力説する。
「整形外科医にとって,MRIは頼りになる存在です。CTや単純X線写真では描出が難しい軟部組織を観察でき,高精度の診断が可能です」
同院は2009年に0.4Tの永久磁石型オープンMRI「APERTO Eterna」を導入。さらに,2018年3月には1.5T MRIのECHELON Smartに更新し,順調に稼働している。

根本昌幸 院長

根本昌幸 院長

小林啓作 放射線科課長

小林啓作
放射線科課長

小高真亮 放射線科主任

小高真亮
放射線科主任

 

トータルバランスに優れるECHELON Smartを採用

APERTO Eternaは,長年にわたり北習志野花輪病院の診断・治療を支えてきた。一方で,長期間使用していくうちに,より高画質な画像,そして,検査の適応拡大へのニーズが高まってきた。根本院長は,整形外科医がMRIに求める最も重要な要素は画質だと前置きした上で,「APERTO Eternaの画質も良かったのですが,肩腱板や関節軟骨などを詳細に観察するには,高磁場のMRIの方が有利だと考えました」と説明する。また,同院では,近隣の相撲部屋の力士が来院することもあり,APERTO Eternaではガントリ上下の空間が不足するほか,コイルを巻き付けられないことがあった。
そこで,同院では,1.5T MRIへの更新を計画。2017国際医用画像総合展(ITEM in JRC 2017)を見学したほか,日立のショールームである日立メディカルフォーラム柏で実機操作も体験するなどして,装置の選定を進めた。小林課長は,「MRIの更新に当たって,主に考慮したのは画質と価格とサポートですが,検査をマネジメントする立場から最も重視したのはサポートでした」と説明する。同院では,APERTO Eternaのほかに,CTも「ECLOS」を採用しており,日立のサポートには厚い信頼を置いている。これを踏まえて,最終的には,画質や操作性,静音化技術“Smart Comfort”,そしてサポートなど,トータルバランスに優れたECHELON Smartの採用を決めた。

力士の撮像では膝にも巻いて使用するFlex-Bodyコイル

力士の撮像では膝にも巻いて使用するFlex-Bodyコイル

 

高スループットMRIにより検査件数が飛躍的に増加

ECHELON Smartの導入に当たっては,施設を改装し,新しいMRI室を設けた。これにより,設置から稼働までの期間も既存のAPERTO Eternaで検査を行うことができ,検査を滞らせることなく,順調に稼働させることができた。小林課長は,「APERTO Eternaを使用しながら準備を進められ,稼働率を下げることなく導入できたメリットは大きいです」と述べている。また,小高主任は,「APERTO EternaとECHELON Smartのコンソールはほぼ同じ設計のため,7名の診療放射線技師全員がスムーズに扱えるようになりました」と,稼働直後の検査業務について話す。
ECHELON Smartの操作性の良さはスループットの向上につながり,装置の稼働率向上という,良い影響を同院にもたらした。このスループットの良さには,ECHELON Smartに搭載されている撮像断面設定を支援する“AutoPose”による操作の簡略化や,体動補正のアプリケーション“RADAR”による再撮像の減少も寄与している。また,「Flex-Bodyコイル」などのコイルもセッティングが容易で,検査時間の短縮に貢献する。小高主任は,「従来,平均30分程度を要していた検査時間が,15分以内へと大幅に短縮しました」と,ECHELON Smartのスループットの良さを強調する。APERTO Eternaでは1日平均15件程度,1か月で約160件の検査を施行していたが,ECHELON Smartの検査件数は,最初の1か月間で200件以上,さらに稼働から3か月目以降は300件以上へと伸びた。その内訳は,紹介検査が3〜4割,残りが院内からのオーダだという。ECHELON Smartの導入に際して,小林課長は近隣の病院,診療所を訪問し,新機種導入を周知した。この活動が実り,検査予約が増加したが,ECHELON Smartのスループットの良さのために待ち時間もほとんど発生していない。そして,待ち時間のない検査が評判を呼び,さらなる紹介検査の増加につながっている。

高画質化に伴い検査の適応も拡大

ECHELON Smart導入後の変化は,撮像部位にも現れている。APERTO Eternaでは骨軟部の撮像が多かったが,ECHELON Smartでは,頭部や肝臓などの上腹部,前立腺や骨盤内女性臓器などの下腹部の比率が増えている。また,APERTO Eternaでは困難だった下肢血管の非造影検査の件数も伸びている。これは,ECHELON Smartによって高精度の画像が得られるようになり,検査の適応が拡大したことが理由に挙げられる。紹介元の医療機関でも画質が評価され,紹介検査の増加に結び付いている。
画質向上を目的にECHELON Smartを導入した根本院長も,その画像に十分満足しており,「馬尾症候群では,馬尾神経も高精細に描出でき,神経1本1本の腫れまで詳細に観察できます。また,前十字靭帯損傷での半月板や靭帯などの軟部組織も明瞭な画像を撮像できています」と評価している。特に,DIXON法“FatSep”では,良好な脂肪抑制画像が得られている。さらに,膝の検査では,脂肪抑制画像と元画像を約3分の短時間撮像で同時に取得できる“Multi Contrast”によって,診断の精度を高めている。

■症例1:骨壊死

60歳代,男性。患部が腫れて痛みを訴えて来院。MRI上,骨壊死と診断。 a-1:PDWI(Multi Contrast) a-2:T2WI(Multi Contrast)    FOV:160mm,TR=4083,TE=14.8/88.8 b-1:FatSep T2WI-元画像(Multi Contrast) b-2:FatSep T2WI-脂肪抑制画像(Multi Contrast)    FOV:160mm,TR/TE=4083/84

60歳代,男性。患部が腫れて痛みを訴えて来院。MRI上,骨壊死と診断。
a-1:PDWI(Multi Contrast) a-2:T2WI(Multi Contrast)
   FOV:160mm,TR=4083,TE=14.8/88.8
b-1:FatSep T2WI-元画像(Multi Contrast)
b-2:FatSep T2WI-脂肪抑制画像(Multi Contrast)
   FOV:160mm,TR/TE=4083/84

 

■症例2:多発性子宮筋腫

50歳代,女性。後壁側に長径85mmほどの筋層内筋腫の存在が明瞭。腹側はじめ長径30~50mm程度の筋層内筋腫の多発。子宮内腔の過伸展と頂部付近に長径35mmの内膜下筋腫も指摘できる。 a:T2WI,FOV:250mm,TR/TE=5577/100 b-1:FatSep T1WI-元画像(Multi Contrast) b-2:FatSep T1WI-脂肪抑制画像(Multi Contrast)    FOV:250mm,TR/TE=690/13 c-1:CE-FatSep T1WI-元画像(Multi Contrast) c-2:CE-FatSep T1WI-脂肪抑制画像(Multi Contrast)     FOV:250mm,TR/TE=690/13

50歳代,女性。後壁側に長径85mmほどの筋層内筋腫の存在が明瞭。腹側はじめ長径30~50mm程度の筋層内筋腫の多発。子宮内腔の過伸展と頂部付近に長径35mmの内膜下筋腫も指摘できる。
a:T2WI,FOV:250mm,TR/TE=5577/100
b-1:FatSep T1WI-元画像(Multi Contrast)
b-2:FatSep T1WI-脂肪抑制画像(Multi Contrast)
   FOV:250mm,TR/TE=690/13
c-1:CE-FatSep T1WI-元画像(Multi Contrast)
c-2:CE-FatSep T1WI-脂肪抑制画像(Multi Contrast)
   FOV:250mm,TR/TE=690/13

 

ECHELON Smartを活用し地域住民に「着手成春」の医療を

わが国では,地域医療における連携と機能分化が進められており,高騰する医療費の伸びを抑えるためにも,高額医療機器の共同利用が促進されている。このような状況において,ECHELON Smartにより,近隣医療機関の紹介検査を積極的に受け入れている北習志野花輪病院は,地域住民にとって心強い存在だ。一方で,紹介検査の増加は,経営の観点からも,同院の収益に大きく貢献している。今後,心臓MRIや乳房MRIも検討していきたいという同院は,これからも「着手成春」の医療を地域住民に提供していくに違いない。

(2018年7月4日取材)

 

 

医療法人成春会北習志野花輪病院

〒274-0063
千葉県船橋市習志野台2-71-10
TEL 047-462-2112
http://www.hanawa.or.jp/kitanara/
診療科目:17科

 

  モダリティEXPO

 

●そのほかの施設取材報告はこちら(インナビ・アーカイブへ)


【関連コンテンツ】
TOP