技術解説(コニカミノルタ)

2020年6月号

US Today 2020 超音波検査・診断最前線

超音波診断装置「SONIMAGE HS2」における高画質化と操作性向上技術について

糠谷 優之[コニカミノルタ(株)ヘルスケア事業本部超音波事業統括部超音波開発部]

2020年2月,超音波診断装置「SONIMAGE HS2(以下,HS2)」(図1)をリリースした。2014年に販売開始以来,高精細画像と直感的な操作性で高い評価を得てきた超音波診断装置「SONIMAGE HS1(以下,HS1)」のテクノロジーを継承しながら,さらに2つの独自高画質化技術を搭載するとともに,操作性を向上させた。本稿では,HS2に搭載した高画質化と操作性向上技術について解説する。

図1 SONIMAGE HS2と搭載プローブ

図1 SONIMAGE HS2と搭載プローブ

 

●“Dual Sonic”技術による高画質化

浅部から深部の描出能をより向上させるため,Dual Sonic技術を搭載した。従来は,開口内すべての素子に同一の送信波形を入力していたが,本技術では,送信開口を中央部と辺縁部に分割し,開口中央部では独自の3周波混合送受信技術(Triad Tissue Harmonic Imaging)を使った広帯域の送信波形,辺縁部では深部で有効に働く低周波成分を多く含む深部用の送信波形を使用した(図2)。2種類の送信波形により最適な超音波ビームを形成することで,浅部領域での音響ノイズ混入を抑制し,高い分解能を実現するとともに,送受信効率の最大化により,深部の描出能向上も同時に達成した。

図2 Dual Sonicの原理図

図2 Dual Sonicの原理図

 

●“iXRET”技術による高画質化

フレームレートを維持しながら分解能を向上する技術として,iXRET(eXtended Resolution Enhancement Technology)を搭載した。機械学習を活用して構築した独自の画像処理技術により,従来のリアルタイム性能向上技術では課題となっていたアーチファクトを抑えながら,少ない音響線数で取得された超音波画像の解像度向上を実現した。iXRETは,Bモード画像とカラードプラ画像の両方に適用可能であり,特にカラードプラ画像では,ノイズと血流の判別能が上がり,微細な血流の視認性が向上した画像を提供可能となった(図3)。

図3 iXRETの効果

図3 iXRETの効果

 

●操作性向上技術

(1) SNV(Simple Needle Visualization)機能:穿刺針の動きと推定される変化を検出し,Bモード画像上に穿刺針を強調表示する機能である。穿刺角度依存やフレームレートの低下なく針の視認性を上げることができる。
(2) Vascular NAVI機能:血流計測のために調整が必要な各種パラメータを瞬時に自動調整することで,血管検査を簡便に行えることに加え,血管壁の自動検出アシスト機能によりflow volumeを簡単に算出する機能である。タッチ操作やトラックボールで修正を簡単に行うことができ,効率的に計測することが可能となる。
(3) MPA(Multi Parameter Adjuster)機能:表示深度を変更するだけで,あらかじめ深度ごとに設定した画質パラメータを自動的に適用する機能である。例えば,表示深度を浅くすると高周波に,深くすると低周波や台形走査へ自動的に切り替わるので,検査効率の向上が可能となる。
(4) デジタル性能の向上:高パフォーマンスCPUの採用などにより,操作にかかわる各種レスポンスタイムをHS1の1/2〜1/3程度に短縮し,システムメモリ容量と画像保存領域をHS1の2倍に拡大した。より効率的な診療が可能となる。

ポータブル型装置の重要性が高まっている現場において,HS2が診療の質向上とワークフローの効率化に貢献することを期待する。

 

●問い合わせ先
コニカミノルタジャパン(株)超音波事業部
TEL 03-6324-1080
https://www.konicaminolta.jp/healthcare/

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