技術解説(コニカミノルタ)

2021年12月号

技術から見えるDRシステムの最前線

単純X線検査において動画撮影を実現するデジタルX線動画撮影システム─X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」新画像解析の紹介

元木 悠太[コニカミノルタジャパン(株)ヘルスケアカンパニーIoT事業統括部病院戦略部]

当社は,単純X線検査は静止画という従来の常識から,“時間軸”という次元を加えた動画撮影によって,新たな価値を提供するデジタルX線動画撮影システム(Dynamic Digital Radiography)を展開している。撮影した動画像は,X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)*」によるさまざまな画像解析機能により,診断価値向上に貢献できると考えている。
動きの可視化・定量化,動きに伴う信号値変化の抽出など,当社独自の画像解析技術を持つKINOSISの新しい画像解析機能,およびそれらによって実現が期待される臨床的価値について紹介する。

■KINOSISの新画像解析

1.“LM-MODE”─癒着・浸潤の観察への期待
肺野内の構造物の視認性を向上させ,特異的な動きの観察をしやすくする“FE-MODE”がすでに搭載されているが,今回追加されたLM-MODEは,呼吸に伴う各領域の移動量を計測することにより,動きの傾向をカラー表示にて1枚の解析画像にサマライズする(図1)。動画像であるFE-MODEを読影する前に,LM-MODEのサマリ画像にて肺野内の動き低下領域の有無・程度を確認することで,あらかじめ癒着・浸潤の有無を疑うことができるため,診断をより効率化することができる。実際に,FE-MODEを使用することで中等度以上の胸膜癒着が予測でき,症例によっては隣接臓器への評価にも有用であるとの報告がなされている1)。従来のCTやMRIで困難であった術前での癒着・浸潤観察に貢献し,術式や手術時間の最適化,手術室マネジメントなど,経済的な費用対効果も期待できると考える。

図1 FE-MODE画像(左)およびLM-MODE画像(右)

図1 FE-MODE画像(左)およびLM-MODE画像(右)

 

2.“PH2-MODE”─肺野内血流量の定量化への期待
心臓領域から抽出された信号波形(心拍波形)と類似する肺野内の信号値変化を解析し可視化する“PH-MODE”をすでに搭載しているが,今回追加されたPH2-MODEでは,心拡張期のフレームを基準フレームとし,肺野内の各フレームから差分することにより,心拍波形と同期する信号を抽出する。さらに,複数のフレーム画像から1枚のMIP画像を生成するサマライズ機能も搭載した(図2)。また,KINOSISには,Webで参照可能なビューワ機能が搭載されており,PH2-MODEで生成された領域ごと信号値比や,ある一定の閾値を下回る信号値低下領域の面積を計測し,該当領域をカラー表示する機能も搭載している(図3)。
PH2-MODEは,心拍波形と同期する信号の変化量が表現可能であり,血流量の定量評価がなされることが期待されている。すでに肺血流シンチグラフィと類似する症例報告がされており2),簡便で低侵襲な肺血栓塞栓症,慢性血栓塞栓性肺高血圧症などの血流欠損の診断ツールとしての役割が期待される。

図2 PH2-MODE画像(左)およびサマリ画像(右)

図2 PH2-MODE画像(左)およびサマリ画像(右)

 

図3 Web配信ビューワで参照可能な信号値低下領域のカラー表示機能

図3 Web配信ビューワで参照可能な信号値低下領域のカラー表示機能

 

コニカミノルタは,診療上のプライマリ画像診断検査として広く利用されている単純X線撮影により得られる情報の価値を高め,診断精度向上に貢献したいと考えている。また,独自の画像処理技術により,患者にとって,より効率的な診療を提供し,医療費抑制につながる新たな価値を提供するとともに,医療の質の向上に貢献していく。

*X線動画解析ワークステーション「KINOSIS」は,「画像診断ワークステーション コニカミノルタ DI-X1」(製造販売認証番号:230ABBZX
00092000)の呼称です。

●参考文献
1)髙田宗尚 : 第2回X線動態セミナー第2部臨床研修報告─X線動態解析による肺血流評価 : 肺血流シンチグラフィとの比較. INNERVISION, 35(3): 70, 2020.
2)Yamasaki, Y., Abe, K., Hosokawa, K., et al. :
A novel pulmonary circulation imaging using dynamic digital radiography for chronic thromboembolic pulmonary hypertension. Eur. Heart J., 41(26): 2506, 2020.

 

【問い合わせ先】
コニカミノルタジャパン(株)
URL http://www.konicaminolta.jp/healthcare/

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