X線動態画像セミナー(コニカミノルタ)

第4回X線動態画像セミナー[2022年10月号]

第1部 ポータブル(集中治療)

動態回診車AeroDR TX m01の使用経験

髙倉 永治(聖マリアンナ医科大学病院画像センター)

当院の集中治療室(ICU)・高度治療室(HCU)(計30床)では1日平均15件のポータブル撮影を行っている。本講演では,救命救急センターの重症病棟における回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」(コニカミノルタ)を用いたX線動態撮影の経験を報告する。

動態回診撮影のワークフロー

動態回診撮影とは,回診車にてX線パルス照射を行って機能動態を撮影する検査で,ベッドサイドや人工呼吸器装着時でも撮影できる。この動態回診撮影のワークフローにおいて,通常の静止画撮影と異なる部分として,オーダ内容の確認,機器セットアップ,ポジショニング,撮影,ホスト出力,「KINOSIS」での解析がある(図1)。
オーダ内容の確認では撮影目的に加え,ME機器装着の有無,息止めの可否,人工呼吸器装着の有無といった患者の状態を確認し,依頼医と最適なプロトコール検討を行う。
ポジショニングについては,当院では再現性を考えて座位撮影は行っていない。動態撮影では,両肩上に直接X線領域を設ける,ディテクタ受光面同等まで照射野を広げるなどの推奨条件があるが,基本的には静止画撮影と変わらず撮影可能である。
動態撮影では,検査開始後に1撮影目まで約25秒,連続撮影する場合(息止めと自由呼吸下など)には,1撮影目の曝射(15秒間)終了から2撮影目開始まで約50秒の待ち時間が生じる。その間は患者の呼吸を整えたり,撮影の説明をするなど準備に充てることができるため,運用上の大きな問題はない。また,撮影開始から2〜3秒でファーストビューが確認できるため,ポジショニング不良にも即座に対応できる。
回診車からKINOSISへのホスト出力は,静止画と同様のワークフローで可能だが,無線で転送を行う場合,無線環境によっては(当院ではIEEE802.11gを使用)時間を要するため,状況によっては有線LANケーブルを使用することもある。動態撮影では,KINOSIS解析まで含めると1検査あたりの所要時間は静止画撮影よりも長くはなるが,撮影自体は静止画撮影と大きく変わらずに検査を行うことができる。

図1 動態回診撮影のワークフロー

図1 動態回診撮影のワークフロー

 

AeroDR TX m01の操作性・使い勝手

当院は2023年1月にリニューアルを予定しており,新病院では重症病棟が合計67床へと増床され,重症病棟の廊下は約100メートルにもなる。回診撮影での移動距離が長くなるが,AeroDR TX m01の走行性能は良好であり,新病棟でも快適に使用できると考える。バッテリーについては,動態撮影では電力消費が大きくなるため,撮影可能数の把握が必要と考える。
AeroDR TX m01は,当院使用の他社製回診車と比べると,見た目は大きく感じられるが,横幅は最小でコンパクトである。コントロールソフトウエア「CS-7」を操作するメインモニタは19インチと大きいことから視認性が高く,次の手技への移行もスムーズに行える。
X線管球操作部の操作性については,技師から以下のような意見が集まった。

・管球角度を変える操作性が良く,座位撮影が多い施設に有用。
・ハンドルセンサが反応しにくいことがあったが,センサの感度設定を上げることで解決した。
・FPDと管球の角度が表示されるため再現性を確保できる。
・管球がパーキングポジションに入りにくいが,慣れることで対応できる。
・1人でも運用しやすいように,メインモニタでも撮影条件が確認できるといい。

AeroDR TX m01には,動態撮影のために3種類の付加フィルタが内蔵されている(図2)。撮影条件キーに連動して自動で選択・使用できるため撮影ワークフローに影響しない。現在,動態撮影に使用しているが,静止画撮影への適用も検討していく。
今後,ユーザーとメーカーが密に協力し,課題解決に取り組むことが望まれる。

図2 選択できる付加フィルタ

図2 選択できる付加フィルタ

 

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