技術解説(フィリップス・ジャパン)

2021年8月号

Women's Imaging 2021 最新技術

“Anatomical Intelligence Ultrasound”技術搭載 超音波診断装置「EPIQ Elite」~より迅速かつ再現性に優れた解析を実現するマシンインテリジェンス~

超音波診断装置「EPIQ Elite」は,診断精度を新しいレベルに引き上げる高度なインテリジェンスを備えたマシンであり,そのアーキテクチャの中心を“Anatomical Intelligence Ultrasound(AIUS)”技術が担っている。AIUSは,高度な臓器モデル化,パターンマッチング,定量化機能によって,迅速かつ再現性に優れた解析を実現する。本稿では,その機能の一部を紹介する。

●乳腺領域におけるAIUS“AI Breast”

AI Breastは,マットレス内蔵の「テーブルトップ型磁場発生装置」と,位置センサ内蔵の「eL18-4 EMT」トランスジューサとの組み合わせにより,スキャン中のトランスジューサの位置情報を把握し,乳房のボディマーク上にリアルタイムにプローブマークを追従させる。プローブマークの配置を自動化することで,検者の主観を省いたより精度の高い位置情報の記録が可能となり,検査時間の短縮にもつながる。そのほか,走査軌跡の可視化や,乳頭腫瘤間距離(NTD)の自動計測など,客観性向上に役立つ機能を併せ持つ(図1)。

図1 AI Breast (1) 自動で追従するプローブマーク,(2) 走査軌跡の可視化,(3) 乳頭腫瘤間距離の表示

図1 AI Breast
(1) 自動で追従するプローブマーク,(2) 走査軌跡の可視化,(3) 乳頭腫瘤間距離の表示

 

●心機能解析におけるAIUS “Dynamic HeartModelA.I.”

がん患者にとって心機能検査は,術前の評価はもとより,化学療法や放射線治療に伴う心毒性の評価も予後にかかわる重要な検査項目となる。Dynamic Heart ModelA.I.は,心尖部四腔像の3Dデータを取り込むと,心臓形態の膨大なナレッジデータベースから空間的なパターンフィッティングを行うことで,全自動で左心房・左心室の容量解析を開始し,左室駆出率(EF)や左房容積などを算出する(図2)。検者の技術に依存せず,より簡単に精度の高い検査結果を提供するため,がん治療関連心機能障害(CTRTD)評価にも役立つ。

図2 Dynamic Heart ModelA.I.

図2 Dynamic Heart ModelA.I.

 

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