技術解説(フィリップス・ジャパン)

2021年12月号

技術から見えるDRシステムの最前線

“Eleva Tube Head”による新たなワークフロー

橋本 裕輝[(株)フィリップス・ジャパン DXRクリニカルサポートスペシャリスト]

フィリップスは,ヘルスケア領域において「患者のより良い健康の実現」「患者・家族の満足度向上」「医療従事者の環境の改善」「不要な医療コストの削減と収益改善」という4つの目標を掲げている。その一翼を担うフィリップスの一般撮影装置の歴史は深く,1896年に現・フィリップスのX線撮影装置拠点である旧・ミュラー社が,世界初の商用型X線管をレントゲン博士に提供したところから始まり,125年経過した今も,ドイツのハンブルクにおいて開発が行われている。一般撮影は,予防,診断,治療というあらゆる分野で重要な役割を担っており,最も検査数の多い検査の一つである。フィリップスでは,迅速な検査を長く安定して実現するために,プレミアムデジタル一般撮影装置「DigitalDiagnost C90」を開発した。本稿では,DigitalDiagnost C90に搭載されている機能の一つである“Eleva Tube Head”による新たなワークフローを紹介したい。

■多機能型X線管支持装置モニタEleva Tube Head

フィリップスは,ワークフローを改善することによって患者負担,そして,医療従事者の負担を軽減するために,DigitalDiagnost C90にEleva Tube Headを搭載した。操作コンソールだけでなく,検査室内でも一連の検査オペレーションを実現することにより,ワークフローの改善や検査時間の短縮を図る機能である。Eleva Tube Headは,12インチのカラータッチモニタを搭載し,後述する4つの機能により,一般撮影におけるワークフローを改善,検査時間の短縮を図り,患者・医療従事者の負担を軽減する。

1.Welcome Screen
“Welcome Screen”とは,患者情報確認機能である(図1)。患者情報を取得後,Eleva Tube HeadにWelcome Screenが表示され,患者氏名,生年月日,年齢,IDなどの患者情報が表示される。これにより患者の取り違い防止に貢献する。

図1 Welcome Screen

図1 Welcome Screen

 

2.Live Camera
DigitalDiagnost C90のコリメータ部にはCCDカメラが搭載され,Eleva Tube Headのモニタ,およびコンソールでポジショニングの状況を確認することができる。これにより,迅速なポジショニングの実現をサポートする。これを“Live Camera”と呼ぶ(図2)。

図2 Live Cameraの映像

図2 Live Cameraの映像

 

3.撮影条件変更機能
Eleva Tube Headは,撮影時にコンソールと同様に,検査室内で撮影部位,撮影条件,焦点サイズの変更,自動露出機構の採光野選択など,すべての撮影パラメータを変更することができる(図3)。これにより,操作室に戻ることなく検査室で変更操作を可能とすることで,迅速な検査を実現し,ワークフローの改善に寄与する。

図3 撮影条件変更画面

図3 撮影条件変更画面

 

4.Review image viewer
Eleva Tube Headは,操作室のコンソールだけでなく,検査室内のモニタでも確認することができる(図4)。検査室のEleva Tube Headで撮影した画像を確認することで,シームレスな検査を実現する。

図4 “Review image viewer”での画像確認

図4 “Review image viewer”での画像確認

 

本稿では,DigitalDiagnost C90において,ワークフローを改善し,医療従事者と患者に検査環境の改善をもたらすべく開発したEleva Tube Headを紹介した。フィリップスは,今後も患者中心,医療従事者にフォーカスしたソリューションを提案し続けたい。

 

【問い合わせ先】
お客様窓口
TEL 0120-556-494
URL www.philips.co.jp/healthcare

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